全日病ニュース

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2015年度予算案決まる。医療・介護の自然増は3,000億円

2015年度予算案決まる。医療・介護の自然増は3,000億円

 政府は1月14日に2015年度予算案を閣議決定した。一般会計の歳出総額は96兆3,420億円。14年度当初予算より4,596億円の増加にとどめたため、新規国債発行額は前年度から4.4兆円程の大幅な減額となり、公債依存度も38.3%と、14年度の43.0%から大きく縮小される。
 15年度の消費税増収は国・地方で8.2兆円(14度は5兆円程度)。このすべてが、他財源の活用を含め、「社会保障の充実・安定化」に投入される。
 まず、「安定化」(年金)に3.02兆円。
 続いて「充実」に1.36兆円(うち国が単独負担する国費は0.68兆円)が費やされる。
 「充実」のうち、国と地方で負担する公費5,189億円(同2,392億円)が子供・子育て支援に投入される。医療分野については、国保等の保険料軽減措置の拡充、国保への財政支援拡充のほか、地域医療介護総合確保基金に1,628億円(同1,085億円)が投入される。
 そのほか、介護職員の処遇改善に784億円(同396億円)、「良好なサービスを提供する事業所等への配慮」に266億円(同135億円)、認知症施策の推進など地域_援事業の充実、介護保険1号保険料の低所得者軽減強化、などに使われる。
 こうした消費税増収分の使途を含む15年度の社会保障関係費は31兆5,297億円(32.7%)で、前年度から1兆30億円(3.3%)増えた。国の予算案としては、増えたうちの5,826億円が「社会保障の充実・公経済負担の増」に投入されることになる。
 一方、社会保障関係費等からなる厚生労働省所管の予算案は29兆9,146億円と、14年度から8,693億円(3.0%)増となった。そのうち社会保障関係予算は29兆4,505億円で、14年度から9,231億円(3.2%)増えている。
 ただし、概算要求の段階で4,400億円とされた医療・介護の自然増は約1,400億円圧縮され、3,000億円に抑えられた。

□2015年度厚生労働省所管予算案から(括弧内は14年度当初予算)

■安心で質の高い医療・介護サービスの提供
1. 医療・介護連携の推進  2 兆8,294億円(2兆7,634億円)
●地域医療介護総合確保基金による医療・介護提供体制改革【一部新規】1,085億円(602億円)
2. 医療提供体制の機能強化 349億円(389億円)
●地域医療確保対策
 ①地域医療構想作成のための研修の実施【新規】11百万円
 ②女性医師が働きやすい環境の整備【新規】21百万円
 ③専門医に関する新たな仕組みの構築に向けた支援3億円(3.4億円)
 ⑤特定行為に係る看護師研修制度の実施に向けた取組【一部新規】2.7億円(39百万円)
 ⑥医療事故調査制度の実施【新規】5.4億円
●2014年度改定における消費税財源の活用分 392億円(353億円)
3. 安定的で持続可能な医療保険制度の運営の確保 11兆1 , 9 3 9 億円(10兆8,638億円)
●各医療保険制度などに関する医療費国庫負担 11兆1,631億円(10兆8,373億円)
●国民健康保険への財政支援の拡充【新規】
 ①国民健康保険への財政支援の拡充 832億円
 ②国民健康保険の財政安定化基金の創設 200億円
●被用者保険の拠出金に対する支援308億円(265億円)
●協会けんぽの国庫補助割合等について(一部再掲)9,948億円(1兆189億円)
4. 安心で質の高い介護サービスの確保2兆7,767億円(2兆7,107億円)
●介護保険制度による介護サービスの確保【一部新規】2兆7,109億円(2兆6,899億円)
 ①介護保険制度による介護サービスの確保【一部新規】2兆6,201億円(2兆6,201億円)
 ②地域支援事業の充実【一部新規】798億円(698億円)
 平成27年度から新たに以下の取組を実施する。【新規】37億円
・在宅医療・介護連携の推進13億円(地域の医療・介護関係者による会議、在宅医療・介護関係者の研修等。市町村単位。新たに1/6程度の市町村で実施)
・地域ケア会議の開催 24億円