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新型法人 一般社団法人として認可。参加法人に基準病床制度の特例も
新型法人
一般社団法人として認可。参加法人に基準病床制度の特例も
【医療法人の事業展開等に関する検討会】
厚労省が最終案。医療法人制度見直し等とともに通常国会で医療法を改正
1月30日の「医療法人の事業展開等に関する検討会」に、事務局(厚労省医政局医療経営支援課)は新型法人制度の最終案を提示、次回(2月12日)にとりまとめたいと、議論を促した。
新型法人の最終案について、事務局は「政府および内閣法制局との協議を経て新型法人の骨格が固まった」と説明。内閣法制局の意見を受け入れ、名称案を「地域連携型医療法人」から「地域医療連携推進法人」(仮称)に変えて、医療法に書き込む方針を表明した。
「地域医療連携推進法人」の法人格は一般社団法人となる。
これについて事務局は、「我々としては医療法人の1類型に位置づける考えであったが、新型法人の主たる業務は参加法人の統一的事業実施方針の決定で、必ずしも医療施設の運営ではない。地域医療連携の推進を旨とするのであれば、医療法人でなくてもいいのではないかとの指摘をいただいた」と、法人格を変更した経緯を明らかにした。
その上で、「認可基準の中で医療法人の要件規定が援用される」と述べ、一般社団を医療法に位置づける特異な措置となることに理解を求めた。
新型法人にかかわる医療法改正案には、(1)法人も一般の医療法人社団の社員になることができることの明確化、(2)参加法人における病院間の病床再編に基準病床数の特例を認める措置、も含まれている。
事務局は、新型法人制度とともに、(1)透明性確保とガバナンス強化を目的とする医療法人制度の見直し、(2)医療法人分割における適格分割の規定、(3)社会医療法人認定取り消し時の収益業務継続特例を併せて措置する医療法改正案を通常国会に提出する方針を表明。いずれも次回に合意をとりつけたいとした。
医療法人制度の見直しは、医療法人に対する、①MS法人との関係適正化など法令遵守体制の確立、②理事長・理事の忠実義務・損害賠償責任等の明確化、そして、一定規模以上の医療法人に対する、③医療法人会計基準の適用、④外部監査と計算書類公告の義務づけ、からなる。
「地域医療連携推進法人」(仮称)の骨子
*前回からの変更点を中心に整理。前回までの新型法人制度のポイントは12月1月号を参照
● 都道府県知事は、一般社団法人のうち、一定の基準に適合するものを新型法人として認定する。
● 医療法人等を社員とする社団型を基本とする。
● 事業地域範囲内における病院、診療所、老健施設を開設する複数の医療法人その他の非営利法人を参加法人とすることを必須とする。地域包括ケアの推進に資する事業のみを行なう非営利法人も参加法人とすることができる。
● 営利法人を参加法人・社員とすることは認めない。
● 事業地域範囲を越えて病院等を開設している法人も、当該法人を参加法人とした上で、統一的な事業実施方針等の対象を当該地域の病院等に限る。
● 統一的な事業実施方針の決定を新型法人の主な業務とする。
● 基準病床制度の特例として、機能分化・連携を推進する上で参加法人の病床再編が有効であ場合、当該病院等間の病床の融通を認める。
● 新型法人による資金貸付、債務保証、出資を一定範囲で認めるが、租税回避となるような贈与は認めない。
● 新型法人は、その設立趣旨の達成に必要な関連事業を行なう株式会社に対して、一定割合以上とすることを条件に出資できる。
● 一般社団法人等への出資は、贈与とならない、基金への出資を認める。
● 新型法人自身による病院等の経営は、新型法人の業務に支障のない範囲として知事が認可した場合に限り認める。
● 社員は各一個の議決権を有するが、定款で別段の定めをすることができる。
● 参加法人の予算等重要事項に対する新型法人の関与の仕方として、意見聴取・指導を行なう一定関与と協議・承認を行なう強い関与のどちらにするかを、事項ごとに選択できる。
● 一般の医療法人社団について、法人も社員になることができることを明確化する。ただし、営利法人は社員になれない。
● 新型法人からの脱退については、貸付金の清算を条件として、任意に可能とする。新型法人の定款等で脱退手続を定めた場合でも、やむを得ない理由がある場合には、いつでも脱退可能とする。
● 新型法人の理事長はすべて都道府県知事の認可を経る。
● 新型法人における剰余金の配当は禁止する。新型法人の役員および社員に営利法人の役職員を就任させない。
● 新型法人には公認会計士等による外部監査の実施やホームページ等による財務諸表の公告を義務付ける。