全日病ニュース

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入院受療率補正目標設定で2案。資源投入量推移の機能区分基準案も

【12月25日のGL検討会】

入院受療率補正目標設定で2案。資源投入量推移の機能区分基準案も

 12月25日の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」に、事務局は、2025年の医療需要推計方法で、医療資源投入量の各医療機能を区分する基準の考え方(病床の機能別分類の境界点=表を参照)を提案した。
 医療需要の推計の考え方については、これまでの議論で、「入院から医療資源投入量が落ち着く段階までの患者数を高度急性期及び急性期の患者数とする」こと、「医療資源投入量が特に高い段階の患者数を高度急性期の患者数とする」こと、その場合に、「高度急性期機能には、救命救急病棟やICU、HCU等に入院するような患者像も参考に、患者数を区分する基準を考える」ことが提案され、概ね確認されてきた。
 以上の観点を踏まえ、事務局はこの日、新たに、医療資源投入量のベクトルにおいて、各機能を区分する境となる考え方を提示したわけだ。
 一方、慢性期と在宅医療等の需要推計については、「現在は療養病床で入院しているが、2025年には在宅医療等で対応する」という政策的視点から、「(両者を)一体の医療需要ととらえ、そのうち、どの程度の患者を慢性期の病床で対応するか、在宅医療等で対応するかは、現在、療養病床の入院受療率に地域差があることも踏まえ、医療資源投入量とは別の指標により設定する」という考え方を既に提案している。
 これについても、事務局はこの日、「その際、療養病床の入院受療率には地域差があることから、この差を補正していくが、地域の在宅医療や介護施設等の整備の見込みなどを踏まえて、地域が一定幅の中で補正する目標を設定」してはどうかとして、「(療養病床)入院受療率の補正目標の設定案」を2つ示した(図を参照)。
 A案によると、全国344の2次医療圏に、全国最小県にまで入院受療率を劇的に低下させる補正目標が与えられる。これに対して、B案は各県でもっとも高い医療圏の入院受療率を都道府県の中央値まで低下させ、それと等比的に他の医療圏は都道府県の最小値に向けて入院受療率を低下させるというもので、明らかにB案の方が激変の回避となる。
 「境界点」をめぐる議論で、社会保障制度改革推進本部の「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」に付設された「医療・介護情報の分析・検討WG」で医療需要推計方法を検討している松田構成員(産業医科大学医学部教授)は、「C1は診療報酬で1日3,000点、C2は1,000~500点」とする見解を表わした。
 「病床の機能別分類の境界点」と「入院受療率の補正目標の設定案」はまだ漠としたものであるため、この日は十分掘り下げるにはいたらなかった。