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回答施設に72時間減算の算定なし!?
回答施設に72時間減算の算定なし!?
【中医協総会】
「調査対象病院の選定が適切であったのか」との声も
4月22日の中医協総会に、診療報酬改定検証部会は、2014年度改定検証の14年度調査分として、訪問看護と医療従事者負担軽減措置に関する実態調査結果(速報)を報告した。
その負担軽減措置の調査項目の中に「月平均夜勤時間超過減算の算定状況(14年4月~10月までの実績)」があるが、その結果は、72時間減算を「算定していない」という施設が病床規模別に71.2%~78.8%を占め、残りの21.2%~28.8%は「無回答」であった。
月平均夜勤時間72時間要件のみを満たさない場合には、特別入院基本料の算定にいたることなく、直近3月に限っては当該入院基本料の2割減算でよいという月平均夜勤時間超過減算は、前改定で、一般病棟では7対1と10対1から13対1と15対1に適用拡大された。
この緩和措置の拡大をめぐっては、支払側の連合の委員と日看協の専門委員が強く反対したが、診療側が粘り強く説得し、改定事項に盛り込むことで合意したいきさつがある。
ところが、改定検証調査によると、回答施設における算定はないという意外な結果となった。この結果に、診療側の鈴木委員(日医常任理事)は、「算定施設はゼロであったが、72時間規定にかかわる2割減算は看護師不足に悩む病院には有効な緩和措置であり、前改定で13対1と15対1に拡大したことはよかった」と述べ、安易な72時間減算不要論を戒めた。
同じく長瀬委員(日精協副会長)は、「72時間減算がゼロというのは考えにくい。回答施設は国公立が多く、中小病院の実態が出ているとは思えない」と述べた上で、「無回答の中身は分からないか」と事務局にたずねた。
調査は、勤務医の負担の軽減及び処遇の改善を要件とする診療報酬項目あるいはチーム医療に関する項目を算定している病院から無作為に抽出した1,000施設に調査票を送って実施され、417施設から回答を得た。
回答施設の開設者は、国、公立、公的、社会保険関係が43.6%を占めたが、医療施設動態調査(14年10月)では19%に過ぎないことから、確かに回答施設は公的が多い。
また、回答施設の病床数をみると平均289.4床と大きく、200床未満が68.9%占めている(前出データ)実態との乖離が否定できない。さらに、2割から3割が無回答という調査もあまり例がない。
この調査は「病院勤務医等の負担軽減及び処遇改善等を要件とする診療報酬項目を算定している病院、またはチーム医療に関する診療報酬項目を算定している病院の中から無作為に抽出」したとされている。
しかし、これらの算定項目には、72時間要件のみを満たさないことによる20%減算の特別入院基本料を算定している場合は算定できないという項目が少なくない。
病院関係者からは、72時間減算の算定有無をたずねる上で調査対象病院の選定が適切であったのか検証が必要ではないかとの声もあがっている。