全日病ニュース

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「14年度の報告から答えを急ぐべきではない」と都道府県に注意を喚起

「14年度の報告から答えを急ぐべきではない」と都道府県に注意を喚起

【地域医療策定GL】
西澤会長が常任理事会でGLの留意点を説明。「県医療審に病院団体参加の可能性」

地域医療策定GLに関する西澤会長の説明(要旨) 2015年度第1回常任理事会(4月18日)

●「はじめに」の最後に、さらっと「医療法での人員配置等についても、病床の機能区分に応じたものとしていく必要がある」と書かれた。これは、医療法は人員配置が一般病床と療養病床の別に定めているが、それを、4つの医療機能区分ごとに定める必要があるということを意味している。
 だが、実は、このことは、GL案をまとめた検討会ではまったく議論されていない。したがって、私個人はかなり問題のあることだと思っている。これは社保審医療部会のマターなので、恐らく、今後はそこで議論されることになるだろうが、充分かつ慎重な議論が必要である。
●「Ⅰ. 地域医療構想の策定」の冒頭に地域医療構想策定のプロセスを示す図があり、そこに「地域医療構想調整会議は、地域医療構想の策定段階から設置も検討」とある。地域医療構想調整会議というのは協議の場のことで、構想策定後の取り組みの中で出てくるものだ。それが「策定段階から設置も可能」とされ、都道府県に早期の設置を求めている。
 したがって、各支部においては都道府県からそういう話が出てくる可能性がある。まだであれば、調整会議を早く置くように都道府県に言っていただいた方がよいと考える。
●「1. 地域医療構想の策定を行う体制等の整備」の冒頭に、「地域医療構想は医療計画の一部」と記され、策定に当たっては医療審議会の意見を聞く必要があるとされた。その上で、都道府県医療審議会は「地域医療構想が医療計画に含まれることを踏まえた委員の選出を行う」と書かれた。
 都道府県医療審議会の構成員はもっぱら職能団体である医師会、歯科医師会、薬剤師会等が医療法施行令で明記されている。病院団体は法令には記載されていないが、実際には、多くの都道府県で病院団体が何らかの形で参加している。
 この書き振りは、地域医療構想の策定を踏まえると、今は別な形で医療審議会に参加している病院団体をきちんとした形で入れるべきと読める。この点は、今後、厚労省がその旨を都道府県に通知すると思われるので、ぜひ、そのことを承知しておいてほしい。
●「2. 地域医療構想の策定及び実現に必要なデータの収集、分析及び共有」では、地域医療構想の基礎となるデータの視点について説明、活用されるデータのリストを別紙に示している。ぜひ、どういうデータが使われるのか知っておいていただきたい。
●「3. 構想区域の設定」には、構想区域は現行の2次医療圏を原則とするものの、「二次医療圏と異なる構想区域を設定することも可能である」と書かれている。そして、その場合は、次期医療計画の策定の際に、「最終的には二次医療圏を構想区域と一致させることが適当」としている。
●「4. 構想区域ごとの医療需要の推計」で2025年の医療需要の推計方法が説明されている。その中に「医療資源投入量」というのが出てくるが、これは、患者に行なわれた診療行為を1日当たりの出来高点数で換算した値をいう。
 その際に、出来高点数の合計から入院基本料相当分とリハビリテーション料の一部が除かれる。つまり、リハについてはその一部を除いて計算されるわけで、これによって、医療需要したがって病床の必要量がある程度調整される余地が生じる可能性がある。
 この出来高点数で換算した医療機能区分の境界値が3000点、600点、225点とされたが、回復期と在宅の境のところに175点という値が入った点に留意してほしい。それともう一つ、当初は各医療機能ごとに病状が例記されていたが、最終的にそれは削除された。
●慢性期に関しては在宅医療等の需要と一体に推定されるわけだが、そのうちの入院医療が必要な患者数を推計する上で、2025年に受療率の地域格差を一定幅の中で縮小させる目標を設定する方法が採用された。この目標は現場にとって大変厳しいものがあるが、実は、都道府県からも強い異論が出たために特例が認められ、要件を満たす場合は、目標の達成時期を2025年から2030年に5年延長できることになった。
●その中に「慢性期機能及び在宅医療等の医療需要のイメージ」という図がある。現在、一般病床とか色々なところに慢性期あるいは在宅にふさわしい人がいるということで、どういう患者を「慢性期及び在宅医療等」として推計するかということを明らかにしている。
 これに関連して、「厚生労働省においても、地域の需要に円滑に対応できる医療法での人員配置等を整えることの検討を進める」と書いてある点に留意が必要だ。
●「8. 将来のあるべき医療提供体制を実現するための施策の検討」では、とくに、「(2)必要病床数と病床機能報告制度による集計数との比較」に注目していただきたい。
 まず、「都道府県は区域ごとの病床の機能区分ごとの必要病床数と報告制度による病床機能区分の集計数とを比較し、病床の機能の分化・連携における地域の課題を分析する必要がある」とある。これは、必要病床数が出たら、まずはそれと病床機能報告の数字とを比べて、どうしてそうなっているのかを多様な観点から分析するべきだということである。
●これに関連して、「病床機能報告制度は、初年度には、他の医療機関の報告状況や地域医療構想及び同構想の病床の必要量(必要病床数)等の情報を踏まえていないことから、個別医療機関間、二次医療圏等の地域間、病床の機能区分ごと等の比較をする際には、十分に注意する必要がある」との注意書きがある。
 これは、2014年度の報告は一種の試行であり、それをもって答えを急ぐべきではないということである。したがって、我々もすぐに慌てる必要はなく、近々示される機能別の必要病床数を見据えながら各医療機関の将来をきちんと考えていくべきかと考える。
●なお、GL案をまとめた検討会は恐らく夏には再開されるだろう。そこで、各都道府県の必要病床数等が明らかになると思われるが、それらの情報は厚労省によっても検討されることだろう。
 さらに、我々も各都道府県に必要なデータや資料を出していくことになるだろう。そうしたことを繰り返しながら、地域医療構想を進めていく議論や方策が展開されていくことになるのではないか。
 大切なことは、現状、各機能の過不足、分化と連携に関する各医療機関の将来の考え方などの情報が全部出揃ったときに、どう考えるかということではないか。
●「Ⅱ 地域医療構想策定後の取組」の「1. 地域医療構想の策定後の実現に向けた取組」には、策定後の取り組みとして、地域医療構想調整会議、各医療機関、都道府県における取り組みがいろいろ書いてあるので、ぜひ、参考にしていただきたい。
●「2. 地域医療構想調整会議の設置・運営」には、地域医療構想会議の設置と運営の具体的なことが書いてある。
 しっかり読んでいただいて、そのとおりに進めていただきたい。
●その「(3)設置区域等」には、「構想区域内の医療機関の規模・数等は多様であり、地域によっては構想区域での地域医療構想調整会議の設置・運営が困難な場合も想定されることから、こうした事情を勘案し、都道府県知事が協議をするのに適当と認める区域で設置することも可能とする」とある。
 また、議長について、「参加者の中から地域の実情に応じて、都道府県の関係機関、医師会の代表などから選出されることになる」とある。
 これについて、検討の段階で、我々はここに病院団体を追記すべきと要求したが、残念ながら実現しなかった。例えば、小さい区域で医師会代表の選出が難しくなったときに、今のままいくと行政が議長を務める可能性がある。それよりは病院団体から出れるところがあれば、その方が医療機関にとって望ましいわけだが、この点が医師会に理解されなかったのは残念である。

2014年度第11回常任理事会の抄録 2月14日

【協議事項】
●災害時医療支援活動幹事・副幹事病院の指定等について
 本会の災害時医療支援活動指定病院制度にもとづく、指定病院のある支部に幹事・副幹事指定病院の指定を、空白支部には指定病院の申請を要請することが承認された。
●総会開催案内送付時の同封資料について
 本会の総会開催に際して、全会員に送付する次年度事業計画と予算、前年度事業報告と予算等会議資料の取り扱い方法が了承された。資料の内容が総会直前の理事会に修正された場合の対応を定めたもの。
●人間ドック実施指定施設の承認
人間ドック実施施設として申請のあった以下施設の指定が承認された。
 □日帰り人間ドック千葉県 柏厚生総合病院日帰り人間ドック実施指定は479施設となった。
●入会者の承認(敬称略・順不同)
 正会員として以下の入会が承認された。
北海道 市立函館病院院長木村 純
福島県 郡山市医療介護病院院長原 寿夫
茨城県 鹿島労災病院院長山口邦雄
石川県 二ツ屋病院理事長西村勇人
在籍正会員は2,427人となった。
 準会員として以下の入会が承認された。
埼玉県 川越予防医療センター・クリニック
大阪府 赤尾クリニック
 在籍準会員は66人となった。
【主な報告事項】
●「2025年に生き残るための経営セミナー」第8弾の開催
 「2025年に生き残るための経営セミナー」第8弾を、「地域医療構想(ビジョン)策定に病院はいかに対応するか」と題して、3月1日に本部会議室で開催する旨の報告があった。講師は厚労省医政局地域医療計画課の北波孝課長と産業医科大学医学部の松田晋哉教授。
●2015年度介護報酬改定説明会の開催
 「2015年度介護報酬改定説明会」を2月24日に東京都内で開催する旨の報告があった。講師は厚労省老健局老人保健課の迫井正深課長
●第17回地域防災緊急医療ネットワーク・フォーラムの開催
 第17回地域防災緊急医療ネットワーク・フォーラムを3月14日に本部会議室で開催する旨の報告があった。
 テーマは「2020年東京オリンピックに向けたマスギャザリング対策(仮)」。
●「平成26年度医療の質の評価・公表等推進事業」事業報告会の開催
 「平成26年度医療の質の評価・公表等推進事業」の事業報告会を3月20日に本部会議室で開催する旨の報告があった。
●全日本病院学会マニュアルの改訂
 「全日本病院学会マニュアル」の改訂に関する報告があった。
●慢性期医療・介護療養病床のアンケート結果
 昨年10月に療養病床を有する会員病院対象にその実態を調査した結果の報告があった。
●病院機能評価の審査結果
 1月5日付で以下の13会員病院に病院機能評価の認定・更新が決まった。
□主たる機能(3rdG/Ver.1.0:順不同)
◎一般病院1
北海道 札幌南一条病院 更新
北海道 大塚眼科病院 更新
東京都 墨田中央病院 更新
愛知県 増子記念病院 更新
兵庫県 大西脳神経外科病院 更新
香川県 善通寺前田病院 更新
高知県 JA高知病院 更新
◎一般病院2
北海道 札幌共立五輪橋病院 更新
埼玉県 埼玉石心会病院 更新
千葉県 鎌ヶ谷総合病院 更新
◎リハビリテーション病院
北海道 苫小牧東病院 更新
◎慢性期病院
愛知県 福祉村病院 新規
◎精神科病院
大分県 衛藤病院 更新
鹿児島県ウエルフェア九州病院 更新
 1月5日現在の認定病院は合計2,271病院。そのうち本会会員は1,000病院と、会員病院の41.3%、全認定病院の44.0%を占めている。