全日病ニュース

全日病ニュース

塩崎厚労大臣、16年半ばまでに地域医療構想策定を終えると明言

塩崎厚労大臣、16年半ばまでに地域医療構想策定を終えると明言

【経済財政諮問会議】
民間議員が改定資料の中間報告と諮問会議での議論を要求。塩崎大臣認める

 9月11日の経済財政諮問会議(写真)は経済・財政一体改革の具体化に向けた2016年度予算編成のあり方として、社会保障の問題を取り上げた。
 新浪剛史氏(サントリーホールディングス株式会社代表取締役社長)等4人の民間議員は、経済・財政再生計画の初年度である16年度予算編成に関する意見書の中で4つの重点課題を示し、それぞれについて「歳出改革を具体化し、16年度予算に明確に反映すべき。また、これらの改革により、どの程度の歳出抑制効果が生まれるのかを明らかにすべき」と求めた。
 4つの重点課題の筆頭に「医療費の都道府県別格差の半減に向けた取組」を掲げるとともに、「16年度診療報酬改定(改定率及び病床再編、後発医薬品の使用促進、調剤費適正化等に向けた個別設定)、地域医療構想と整合的な都道府県ごとの医療費水準や医療提供体制に関する目標設定」との一文が書き添えられた。
 また、その関連で、「来年度の重要課題である医療・介護の提供体制や診療報酬体系の検討に当たっては、2014年度診療報酬改定の成果評価、医療費適正化計画の直近までの成果等を評価し、それを踏まえ、議論を進めるべき。
 これまで11月初旬に医療経済実態調査結果報告、12月初旬に薬価調査・材料価格調査結果を公表。例えば、中間整理等の形で、各種データを早期に諮問会議に報告し、政策の具体化に反映すべき」とも記し、16年度改定の重要資料となるデータを、中医協等に報告する前に諮問会議に中間報告するよう求めた。
 意見書を説明した新浪議員は、「試算によれば、1人当たり医療費が最も低い千葉県に対する格差を各自治体が半減すれば、2兆円の抑制になる。これは大変な差ではないか。当然だがここが本丸であり、また、努力をする都道府県が報われる仕組みを作っていくべきではないか」と論じた。
 そして、「その鍵となるのが、病床再編やジェネリックの使用促進、調剤費の適正化などだ。平成28年度に診療報酬改定があるので、そこで踏み込んだ形で実現してほしい」と要求した。
 この進言に、塩崎臨時議員(厚生労働大臣)は「医療費の都道府県別格差の半減に向けた取り組みの重要性はよく認識している」と応じ、「地域医療構想の策定を今年から3年間かけて行なうが、私どもは来年半ばまでに策定するよう、各都道府県に呼びかけている」と答え、前倒しで地域医療構想を策定させる方針を明らかにした。
 その上で、「地域医療構想、整合的な医療費目標の設定、診療報酬改定等を通じた病床の機能分化、連携による効率的な提供体制づくり、医療費の見える化と地域差の是正、かかりつけ医や在宅医療の推進、調剤報酬の見直し、後発医薬品の使用の促進とその価格適正化を進めてまいりたい」と当面する重要課題を列挙し、真摯な取り組みを約した。
 さらに、「平成28年度の診療報酬改定の議論に当たっては、前回改定の効果の検証はもとより、医療費の動向等の分析をしっかり行ないたい。こうしたデータを可能な限り示して、議論を一緒に進めてまいりたい」と述べ、改定に臨む上で医療費等データを揃えて「見える化」をはたすとともに、諮問会議で必要な議論をしてもらうという姿勢を明確にした。