全日病ニュース

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厚労省が「回復期への転換を妨げない診療報酬が必要」と表明

厚労省が「回復期への転換を妨げない診療報酬が必要」と表明

【「経済・財政一体改革推進委員会」社会保障WG】

 経済財政諮問会議の「経済・財政一体改革推進委員会」の下に置かれている社会保障ワーキンググループ(榊原定征主査)は7月11 日、2017年度予算における社会保障関係費の考え方を確認した。来年度予算概算要求の時点では自然増を計上するが、12月の予算案決定時には医療・介護の制度改正で抑制を図り、社会保障関係費を圧縮するとした。2016年度と同様に、5,000億円程度の伸びに抑制する方針と考えられる。
 費用を抑制するための制度改正は、「経済・財政再生計画」の改革工程表で示されている。特に、今年度中に必要な措置を講じる施策として、①高額療養費(月額負担上限)の見直し②高額介護サービス費(月額負担上限)の見直し③軽度者に対する福祉用具貸与・住宅改修に係る給付の適正化─があがっている。
 今年中に検討し結論を得るが、来年に必要な措置を講じるものとしては、①入院時の光熱水費負担の見直し②かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入③介護保険の利用者負担の在り方④介護納付金の総報酬割導入─などが工程表に記載されている。
 その一方で、今後の医療費適正化計画やデータヘルス計画、保険者へのインセンティブ付与などについても、医療費の伸びの要因や地域差の要因などをさらに「見える化」し、来年度以降の費用抑制につなげる考えを示した。これらの中長期的な取り組みによって生じる伸び率の鈍化を「その後の年度の予算の自然増に反映」させる。中長期的に効果が生じる取り組みには、「介護療養病床等の効率的なサービス提供体制への転換」も含まれている。
 一方、厚生労働省は、改革工程表の医療・介護事項の実施・検討状況を報告。その中で、地域医療構想の取り組みの1つである「回復期の充実(急性期からの病床転換)等」について、「各機能の必要な看護師等の人数も異なることなどを踏まえ、転換に当たり妨げとならないような適切な診療報酬の設定が必要」と強調した。回復期への転換には看護師などの雇用問題を含め、急激な変化を避けるために診療報酬での配慮が必要との趣旨だ。
 慢性期の医療・介護サービスについては、「地域医療介護総合確保基金を有効的に活用して、在宅医療・介護施設等を着実に整備」するとした。そのため、2018年度から始まる第7次医療計画と第7期介護保険事業計画で、「必要なサービス見込み量を記載し、計画的・整合的に確保」すると明記した。

 

全日病ニュース2016年8月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2015年8月1日号)

    http://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2015/150801.pdf

    2015年8月1日 ... み慣れた身近に急性期・回復期・慢性期. を同時に診ることができる、全日病の. 会員の
    ような病院が必要なのである。 (竹). 年金・医療等の自然増の要求幅は15年度当初
    予算比6,700億円程 ... では社会保障費の自然増は8,300億円と.

  • [2] 全日病ニュース・紙面PDF(2014年8月15日号)

    http://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2014/140815.pdf

    社会保障】. ・医療・介護を中心に社会保障給付つ. いて、いわゆる「自然増」について、
    高. 齢化による増加とそれ以外の要因な ... 上や在宅復帰を目的としたリハを集中. 的に
    提供する機能(回復期リハ機能). 〈慢性期機能〉. 長期にわたり療養が必要な患者を入.

  • [3] 「2020年まで社会保障費の増加を年5,000億円に抑えるべし」|第847回 ...

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20150515/news08.html

    2015年5月15日 ... 社会保障費の年間の自然増は1兆円程度とみられるが、財務省は過去3ヵ年の実績値
    0.5兆円であれば「高齢化による伸び相当の範囲内である」とし、社会保障費の自然増
    5,000億円削減した予算配分を、少なくとも20年まで維持すべきと ...

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