全日病ニュース

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学術レベルの向上と組織基盤の強化を担う10月の熊本学会に1人でも多くの参加を!

【シリーズ●全日病の委員会第1回 学術委員会 川島周委員長に聞く】

学術レベルの向上と組織基盤の強化を担う10月の熊本学会に1人でも多くの参加を!

 全日病には21の委員会があり、多岐にわたる活動を展開している。医療行政が複雑化するなかで、委員会活動は重要性を増しているといえるだろう。そこで、委員長にご登場いただき、日々の活動やご苦労について、シリーズでお聞きすることとした。
 第1回は、学術委員会の川島周委員長。学術委員会の主な仕事は、全日本病院学会(全日病学会)の企画・運営と全日本病院協会雑誌(全日病雑誌)の編集であり、組織基盤の強化という重要な役割を担っている。

全日病学会の開催地を決める

―学術委員会の仕事を説明してください。
 まず、年に1回の全日病学会の場所の選定があります。これが一番大きな仕事ですね。
 これまでの開催地のリストをみながら、最近開催していない地域、開催したい地域を検討します。目星がついた段階で、その支部の役員と相談しながら、決めるという手順になります。
―開催地を決めるときのポイントは何ですか?
 学会の目的は、情報を共有化し、全日病の業績を検証することですが、もう一つのねらいとして、加入会員の増強があります。
 全日病は全国組織ではありますが、加入している医療機関が少ない地域もあります。そういう地域で学会を開催することにより、会員を増やしたいというねらいがあります。
―来年の開催地は石川県ですね。
 北陸新幹線が開通してアクセスがよくなったこともありますが、石川県の病院に全日病に入っていただきたいということが第一の理由です。
 開催地が決まったら、その支部の役員に学術委員会に出席していただき、開催方法について協議したり、アドバイスするなどして、学会に向けて準備を進めることになります。
―学会の準備で苦労されることはありますか?
 最近苦労していることは、経済的な問題ですね。以前は学会への寄付があったのですが、最近はほとんどありません。
 また、大きな支部であっても、小さな支部であっても、学会の規模は同じですから、会員数の少ない支部では負担が大きいかもしれません(最近の学会は3,000人の規模となっている)。
―開催地の実行委員会をどのようにサポートしていますか?
 いろいろとノウハウの蓄積があります。運営マニュアルを作っていて、それを毎年バージョンアップしながら、運営しています。

学術レベルの向上を目指して全日病雑誌を発行

―全日病雑誌の発行も学術委員会の仕事ですね。
 全日病雑誌は、年に2回、学会の時期と年度末に発行しています。学術委員会の中に雑誌編集委員会があり、作成に当たっています。
 全日病雑誌は、学会の発表演題のうち、優秀なものを選んで編集しています。学会の演題は、500 ~ 600くらい集まりますが、その中から優秀な演題を座長に推薦していただき、それを中心に全日病雑誌に投稿してもらいます。投稿してもらった原稿は、学術委員会の委員を中心に他の常任理事にもご協力いただいて査読を行い、発表にふさわしい内容かどうかをチェックしています。さらにその中から、最優秀演題と優秀演題2つの3題を選び、全日病学会の懇親会の際に表彰することとしています。
 以前ですと論文を投稿するのはほとんどが医師で、看護師や検査技師が投稿することはあまりなかったのですが、コメディカルの人に投稿してもらうことで、その人の能力が向上しますし、ひいては会員医療機関のレベルアップになります。学術的レベルの向上の一助になることを目指して全日病雑誌を発行しています。

夏期研修会で組織基盤を強化

―夏期研修会も学術委員会のご担当です。
 今年の夏期研修会は、8月28日に富山で開催します。学会との違いは、運営の大部分を本部において進めていることです。支部にお願いするのは、日時の決定と特別講演の企画で、富山の研修会では、南砺市立福光美術館の片岸昭二館長に「世界のムナカタ(棟方志功)と富山」のテーマでご講演いただくほか、東京医科歯科大学大学院の川渕孝一教授から、「今後の医療行政の“ 風” を読む」のテーマで講義していただく予定です。
 夏期研修会の目的も会員数の増強です。東京に集まるだけでなく、全国に出かけていって、全日病の存在価値をアピールして全日病に入っていただくことが大切。夏期研修会を通じて、本部と各支部のつながりをつくり、それをきっかけに学会の開催地を引き受けていただくという意味もあります。学会と夏期研修会の2本立てで組織を強化する役割を持っているということですね。

熊本学会への参加を支援の柱に

―10月に開かれる熊本学会の準備状況を教えてください。
 4月に大きな地震が起きたときには、正直言ってあきらめかけていたのですが、熊本支部が一丸となって学会を開催すると意思表示をしていただき、開催することになって本当に感謝しています。演題数も例年と同じくらい集まっています。経済的な面でたいへんなのですが、常任理事会で相談していただき、1人でも多くの人に学会に参加してもらうことで支援の柱とすることになりました。
 地震を受けて、プログラムに一部修正を加え、被災県としての経験を踏まえた発表を行う予定になっています。熊本地震の経験を次に活かし、意義のある学会にしたいと思います。
 今回の地震に当たり、全日病と日本医療法人協会が共同でAMAT を派遣し、医療支援を展開したことは画期的だったと思いますが、その報告も学会の特別企画として予定されています。
 そのほかにも、医療政策が大きく動いているときであり、学会で議論するテーマは多くあります。地域医療構想の策定に民間病院として、どうかかわっていくかという問題があり、学会で議論を深めることになると思います。
―地震を乗り越えて開催される学会だけに成功させたいですね。
 全日病として、義援金を集めたり、AMATを派遣して被災地を支援しています。熊本に対する3番目の支援として、学会に参加することにより、大きなインパクトが期待できると思います。ぜひ多くの方に参加をお願いしたいですね。私の病院でも、例年よりも参加者を倍増させることにしています。

全日病雑誌の充実が課題

―学術委員会の今後の展望を聞かせてください。
 学術委員会としては、全日病雑誌の充実を図りたいと考えています。外部からみて、雑誌が学術委員会のシンボルですので、これを充実させるべきだろうということです。
 しかし、それは難しいことでもあります。委員会の人数や年間の開催回数は決まっていますので、その枠を広げることができれば、いろいろな企画を打ち出したり、内容を充実させることができると思うのですが、実際には大変でしょう。
 委員の先生はみなさん多忙ですし、経済的なことも制約になりますね。そのためにも、会員数を増やさないといけない。課題はいろいろあると思いますが、全日病雑誌の拡充に向けて取組みたいと考えています。
―お忙しいところ、ありがとうございました。

 

全日病ニュース2016年8月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 第58回全日本病院学会in熊本 開催を決定|第872回/2016年6月1日 ...

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20160601/news01.html

    2016年6月1日 ... 理事会に出席した学会長の山田一隆・熊本県支部長が5月18日の支部役員会・学会
    実行委員会で熊本復興の証として学会 ... また、学術委員会委員長川島周常任理事
    は、「このような状況で学会を開催していただくことは有り難い」と発言。

  • [2] 資料編

    http://www.ajha.or.jp/about_us/50years/pdf/50years_s.pdf

    係/326、 会員数の推移/327、委員会の変遷/328、全日病学会開催地一覧/.
    336、叙勲および褒章 .... 第5章 役 員. (役員の種類). 第15条 この会に、次の役員を
    置く。 会 長 1名. 副会長 3名以内. 理 事 若干名(うち若干名を常任理事とする。) 監 事
    3名.

  • [3] 全日病ニュース・紙面PDF(2016年1月1日・15日合併号)

    http://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2016/160101.pdf

    続き皆様のご支援・ご協力をお願い申し上げます。 常任理事 学術委員会委員長 川島
    . 皆様 あけましておめでとうございます。学術委. 員長の川島でございます。 今年は8
    月に富山市で夏期研修会を開催し、10月に. 熊本市で全日病学会を開催いたします。

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