全日病ニュース
持分なし法人への移行促進でみなし贈与税の非課税要件を大幅緩和
持分なし法人への移行促進でみなし贈与税の非課税要件を大幅緩和
【全日病セミナー】
具体的な要件は法案成立後に
全日病は3月14日、「2025年に生き残るための経営セミナー第15弾 持分なし医療法人への移行計画の認定制度」を開催した。現在国会に提出されている医療法等改正法案が成立すれば、今年9月30日が期限となっている持分なし医療法人への移行計画の認定制度が3年間延長されるとともに、当該認定を受けている場合は、法人に対するみなし贈与税が非課税となる仕組みが追加される。全日病は法案成立後に、新たな認定要件が固まる段階で、改めてセミナーを開催することを予定している。
冒頭挨拶した西澤寬俊会長は、「厚生労働省は、持分あり医療法人から持分なし医療法人への移行措置を講じたが、あまり進まないまま、9月が期限となる。我々病院団体の要望に応えて厚労省の尽力で延長が決まるとともに、贈与税の非課税要件が大幅緩和されることとなった」と厚労省の対応を評価した。
セミナーでは、厚労省医政局の佐藤美幸・医療経営支援課長が、今回の改正の概要を説明。現行では、医療法人が移行計画の認定を受けると、計画期間中は最大3年間、出資者の相続に係る相続税や出資者間のみなし贈与税が猶予・免除される。今回の税制改正で、この措置の3年間の延長が認められた。
また現在は、すべての出資者が持分を放棄すると医療法人に贈与があったとみなされ、贈与税がかかる場合があった。しかし、今回の改正後に新たな認定要件で認定を受けた場合には、医療法人にかかる贈与税は課税されないこととなり、実質的にこれまでの贈与税を判断する際の要件が大幅に緩和される見通しだ。
親族要件を緩和の方向で交渉
佐藤課長は、「新たな認定要件の詳しい内容は、国会情勢次第だが、法案が今国会中に成立すれば、夏頃に省令で示したい」とした。
鞠子宜紀・医療経営支援課課長補佐は、今後財務当局と協議する要件に関する基本的な考えを示した。現行の非課税基準では、◇役員に占める親族の割合は3分の1以下◇医療機関名の医療計画への記載◇理事6人以上、監事2人以上─などを満たす必要がある。
これらの要件は多くの医療法人には厳しく、贈与税が課税される可能性が高いため、移行が進まない課題となっており、医療継続のために今回の改正が認められた経緯を説明した。その上で新たな認定要件には親族制限や医療計画への記載等は含まない方向で協議を進めたいとした。一方、要件となる予定の法人関係者への利益供与禁止については、例えば関係者との取引も社会通念上相当な範囲であることが必要とした。役員報酬要件については、地域や経営の状況も勘案できるよう社会医療法人の要件を参考にしたいと説明した。
また、現行の非課税基準は税務署の判断であるが、改正後の認定を受けた場合(移行後6年間要件を維持)は、贈与税は非課税となり、税務署が判断する仕組みではないとした。
法案成立後に再度セミナーを開催
川原経営グループの川原丈貴代表取締役は、今回の改正について「画期的」と評価するとともに、持分なし医療法人への移行が進むことを期待した。ただ今回の措置で移行が進まない場合には、医療法人の非営利性に対する疑いの声が上がるかもしれないとの懸念も示した。移行措置に関する説明では、持分なし医療法人への移行を考える医療法人の参考となるよう、医療法人の形態に応じたフローチャートを示して、メリット・デメリットを示すとともに、新たな認定要件の具体的な内容を予測した。
新たな認定要件は法案成立後に明らかになる。全日病は法案成立後に、同テーマでのセミナーを改めて開催する予定だ。同日のセミナー終了後に参加者が記入したアンケート結果でも、「今後とも継続的に情報を提供してほしい」、「法案が通ったらもう一度セミナーを開いてほしい」といった要望が寄せられた。
全日病ニュース2017年4月1日号 HTML版
[1] (Q&A)について(厚生労働省医政局指導課:H26.1.23)
http://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2014/140123_1.pdf
2014年1月23日 ... 基金拠出型法人ではない持分なし医療法人」に移行する際に、出資者全員 ... 出資者の
権利の消滅に係る経済的利益について、贈与税が課税される場合があ .... 不当減少
要件は、原則として贈与時点を基準として判定するが、 .... 〔参考〕贈与税の非課税財産
(公益を目的とする事業の用に供する財産に関する部分)及び持分の.[2] 四病院団体協議会 医療法人の現状と課題に関するアンケート調査報告書
http://www.ajha.or.jp/voice/pdf/other/110416_5.pdf
(1)出資者. 平均出資者数は4.7人、平均同族割合86.2%。 (2)持分の払戻請求.
払戻請求を受けたことのある法人は12.9%。その31.6%が借入 ..... 社会医療法人、
特定医療法人、贈与税非課税の要件を満たせない 27.3%. 諸規定の整備・手続きが ...[3] 2014年度税制改正の大綱:移行課税の納税猶予等で「認定医療法人」
http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20140201/news04.html
2014年2月1日 ... 医療に関して、(1)社会保険診療報酬非課税措置および社会保険診療以外の軽減措置
(事業税)を存続する、(2)社会 ... 贈与税 イ概要 持分のある医療法人の出資者が持分
の放棄により他出資者の持分価額が増加することについて、その ...
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