全日病ニュース

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2014年度税制改正の大綱:移行課税の納税猶予等で「認定医療法人」制度を創設

 

2014年度税制改正の大綱
移行課税の納税猶予等で「認定医療法人」制度を創設

 

 政府は12月24日に2014年度税制改正の大綱を閣議決定。医療に関して、(1)社会保険診療報酬非課税措置および社会保険診療以外の軽減措置(事業税)を存続する、(2)社会保険診療報酬の所得計算特例の対象に難病等医療の収入を加える(法人税も同様とする)、(3)相続税・贈与税の納税猶予等にかかる認定医療法人(仮称)を創設する、ことが決まった。
 難病と小児慢性特定疾患に関しては、今通常国会で「難病の患者に対する医療等に関する法律(仮称)」の制定と児童福祉法の改正が図られる結果、その収入は、所得計算特例(所得税・法人税)と事業税非課税・軽減措置の対象に加えられる。

認定医療法人(仮称)の概要

■相続税
 個人(相続人)が持分ある医療法人の持分を相続・遺贈により取得した場合に、その医療法人が相続税申告期限に認定医療法人(仮称=医療法等改正法に規定される移行計画について認定制度施行の日から3年以内に厚生労働大臣の認定を受けた医療法人)であるときは、担保の提供を条件に、納付すべき相続税額のうち当該認定医療法人の持分に係る相続税額は移行計画の期間満了まで納税を猶予し、移行期間内に当該相続人が持分の全てを放棄した場合は猶予税額を免除する。
●税額の計算
(イ)通常の相続税額の計算を行い、持分を取得した相続人の相続税額を算出する。
(ロ)持分を取得した相続人以外の者の取得財産は不変とした上で、当該相続人が持分のみを相続したものとして相続税額の計算を行い、当該相続人の相続税額を算出し、その金額を猶予税額とする。
(ハ)上記(イ)の相続税額から上記(ロ)の猶予税額を控除した金額を持分を取得した相続人の納付税額とする。
●猶予税額の納付
 移行期間内に持分の定めのない医療法人に移行しなかった場合または認定の取消し、持分の払戻し等が生じた場合には猶予税額を納付する。また、基金拠出型医療法人に移行した場合は持分のうち基金拠出した部分に対応する猶予税額についても同様とする。
●利子税の納付
 上記ハにより猶予税額の全部または一部を納付する場合には、相続税の申告期限からの期間に係る利子税を併せて納付する。
●税額控除
 相続の開始から相続税の申告期限までの間に持分の全てを放棄した場合は納税猶予は適用せず、上記ロの計算により算出される猶予税額に相当する金額(基金として拠出した部分に対応する金額を除く)を相続人の納付すべき相続税額から控除する。
■贈与税
イ概要
 持分のある医療法人の出資者が持分の放棄により他出資者の持分価額が増加することについて、その増加額(経済的利益)に相当する額の贈与を受けたものとみなして当該他の出資者に贈与税が課される場合に、その医療法人が認定医療法人であるときは、担保の提供を条件に、当該他出資者が納付すべき贈与税額のうち当該経済的利益に係る課税価格に対応する贈与税額は移行計画の期間満了まで納税を猶予し、移行期間内に当該他出資者が持分の全てを放棄した場合には猶予税額を免除する。
ロ税額の計算
(イ)上記イの経済的利益及びそれ以外の受贈財産について通常の贈与税額を算出する。
(ロ)上記イの経済的利益のみについて贈与税額を算出し、その金額を猶予税額とする。
(ハ)上記(イ)の贈与税額から(ロ)の猶予税額を控除した金額を納付税額とする。
●猶予税額の納付、利子税の納付及び税額控除は相続税と同様とする。
■その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、移行計画(仮称)の認定制度の施行の日以後の相続もしくは遺贈またはみなし贈与に係る相続税又は贈与税について適用する。