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国内初の脊髄性筋萎縮症の高額治療薬を薬価収載

国内初の脊髄性筋萎縮症の高額治療薬を薬価収載

【中医協・総会】東日本大震災と熊本地震に伴う特例は半年延長

 中医協総会(田辺国昭会長)は8月23日、10品目7成分の医薬品の薬価収載を承認するとともに、薬価収載に伴う処方日数制限の取扱いやDPC制度における高額な医薬品への対応を決めた。新薬では、難病の脊髄性筋萎縮症に対する国内初の治療薬であるスピンラザ髄注12mg(バイオジェン・ジャパン)に注目が集まった。また、東日本大震災と熊本地震の診療報酬の被災地特例の期限は2018年3月31日まで延長することになった。
 スピンラザ髄注12mg(一般名:ヌシネルセンナトリウム)については、指定難病である脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する標準的な治療薬が、これまで存在せず、国内では今回が初となる。薬価は既存薬がないため、原価計算方式で算定。薬価で見込む平均的な営業利益率は14.7%だが、医薬品の革新性などを評価する加算率は、過去4番目に高いプラス35%とし、19.8%となった。なお、加算率が最も高かったのは抗がん剤のオプジーボのプラス60%である。
 このため薬価は高額になり、1瓶(12mg5mL)で932万円。今回は乳児型の適用でピーク時の患者数は294人、年間の薬剤費予想は97億円とした。9月に乳児型以外に適用が広がる予定だが、追加的な患者増は120人、22億円と想定している。厚生労働省はその後、市場が急激に拡大することは考えにくく、医療保険財政への影響は限定的との見方を示した。
 医療機器では、血糖値およびケトン体を測定するFreeStyleリブレ(アボットジャパン)などを保険収載した。費用は特定保険材料ではなく、技術料で評価する。全日病会長の猪口雄二会長は、同測定器が在宅自己注射指導管理料等の加算(血糖自己測定加算)として、1カ月の測定回数に応じた技術料を算定することを確認した。
被災地特例の利用は10件に
 また、東日本大震災と熊本地震の被災地特例の期限を半年間延長した。期限は9月31日までとなっていた。
 東日本大震災に伴う被災地特例の利用件数は、7月時点で5件。岩手県が2医療機関(うち歯科1)、宮城県が2医療機関、福島県が1医療機関となっている。福島は3月末からの利用で、1減1増した。福島の1減で、看護配置の不足に対する特例の利用はなくなった。患者の定数超過入院に対する特例の利用が3件で最も多く、仮設の建物で保険診療ができる特例が医科で1件、歯科で1件となっている。
 震災から6年が経過しており、厚労省は特例の解消に向けた努力を求めている。このため、これまで通り、現在特例を利用している医療機関に限って、継続を認めるが、「解消時期の一定の目途を示す」ことを求めることにした。
 熊本地震に伴う特例の利用は、5件となっている。対象は熊本県のみ。仮設の建物で保険診療ができる特例の利用が4件で多く、建物損壊の被害が大きかったことが伺われる。熊本地震の特例では、被災の影響で診療報酬の施設基準を満たせなくなった場合の利用を原則とするなど、東日本大震災に伴う特例と同様だが、特例の解消時期を示すことは求めてない。

 

全日病ニュース2017年9月1日号 HTML版

 

 

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    品(以下、「新. 薬創出等加算適用品」という)の製造販売業者に対しては、平成28年度
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