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後発品や長期収載品、新薬創出等加算の論点を整理

後発品や長期収載品、新薬創出等加算の論点を整理

【中医協・薬価専門部会】抜本改革に向け今後具体的な議論に入る

 中医協の薬価専門部会(中村洋部会長)は8月9日、薬価制度の抜本改革に向けた4月中旬以降の議論を整理した。①後発医薬品②長期収載品③新薬創出等加算④イノベーションの評価について、論点となった事項を明記した。今回の整理を踏まえ、抜本改革に向けたより具体的な議論が始まる。
 後発品については、◇薬価のあり方◇価格帯◇中間年の薬価改定を論点とした。
 薬価のあり方については、先発品の5割を原則(10品目を超える内用薬は4割)とする価格のさらなる引下げが課題となる。価格帯については、後発品の品目数が多く、価格のばらつきも大きいことから、現在3つの価格帯を設定している。価格帯の集約化が課題だが、ばらつきが大きいと実勢価格よりも価格が引上げられる品目と引き下げられる品目が増えることから、公平性の観点から議論が必要とした。後発品は実勢価格と薬価とのかい離率が高くなりがちなので、中間年の対象品目をどのように絞り込むかも議論となる。
 長期収載品については、「長期収載品に依存するモデルから、より高い創薬力を持つ産業構造に転換する」との抜本改革の方針に則った対応が求められる。後発品への置換えが進まない長期収載品のさらなる引下げとともに、経済財政諮問会議などの要請を踏まえ、先発品と後発品の差額を患者負担とすることや置換えを進めるための診療報酬での対応が、引続き検討対象となる。後発品の数量シェア8割が目標となっていることから、長期収載品に対しては厳しい改定が行われる方向だ。
 新薬創出・適応外薬解消等促進加算は、抜本改革の方針で、革新的新薬創出を促進するため、ゼロベースで抜本的に見直すとしている。厚労省は多岐にわたって、論点を示した。これまでの運用でドラッグ・ラグの解消と後発品への置換えが進んだことに対し、一定の評価を与えた。その上で、◇対象医薬品の範囲◇対象期間◇対象となる製薬企業の要件などを検討項目とした。
 対象医薬品の範囲については、現在平均かい離率を超える新薬は対象とならないが、平均かい離率が直接的に、革新性を評価する指標ではないとの指摘がある。また、平均かい離率を指標とすることで、薬価高止まりの弊害を生む側面がある。さらに、必ずしも革新性があるとはいえない新薬も対象になっているとの指摘も少なくない。
 対象期間については、現在「後発品が上市されるまで」と「薬価収載から15年」の短い方となっている。後発品は先発品の特許期間終了後に上市される。企業努力により早く上市すると、加算の対象期間を早期に終了することになり、企業のインセンティブを損ねるとの指摘があり、検討課題とする。
 対象となる製薬企業の要件では、具体的な指標が例示された。①新薬開発投資率②世界同時開発(国際共同治験)の実施③産学連携への取組みの達成度や充足度に応じて、加算額に段階を設ける仕組みだ。未承認薬・適応外薬の開発要請に適切に対応することを求める点については、「当然」と位置づけた。
 イノベーションの評価については、類似薬効比較方式で算定した場合に比べ、原価計算方式で算定した場合の評価が低いことを論点とした。ただし製造原価など原価計算方式の算定根拠が不明確との指摘があり、原価計算方式の正確性・透明性の向上を課題とした。  議論の整理では、これらの論点を明示するとともに、それに対する委員の意見を添付した。
 また、同日の議論では、「後発品への置換えが進まないのは、後発品メーカーが多すぎるため」、「精神神経剤や免疫抑制剤は後発品に変更しにくいとの実感がある」、「後発品への置換えが進まない長期収載品に対する特例引下げ(Z2)の効果をみたい」、「新薬創出加算の金額は増加傾向にあり、加算終了後の引下げ額を多くすることや、長期収載品の引下げで財源を確保すべき」などの意見が出た。

 

全日病ニュース2017年9月1日号 HTML版

 

 

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    た基本方針」 ... 第2例目は植込み型補助人工心臓による長期在宅治療.

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