全日病ニュース
病院機能評価の受審を支援し、認定率向上目指す第三者の目で評価を受けることが病院機能を高める
病院機能評価の受審を支援し、認定率向上目指す第三者の目で評価を受けることが病院機能を高める
全日病の委員会を紹介する連載は今回が第2回目。病院機能評価委員会の木村厚委員長に、同委員会の取組みや病院機能評価の認定を受ける意義などを聞いた。
日本医療機能評価機構による病院機能評価の認定率は近年減少傾向にあり、受審のインセンティブが不十分であることなどが指摘されるが、木村委員長は、第三者の目で審査を受けることが病院経営の改善や医療の質の向上につながると強調した。
評価項目を検討し機構に提案
―病院機能評価委員会の活動を紹介してください。
病院機能評価委員会の役割は、多くの会員病院に日本医療機能評価機構の実施する病院機能評価を受けてもらうよう働きかけ、受審を支援することです。そのために、原則1カ月に1度の委員会を開くとともに、年2回のセミナーや全日病学会でのパネルディスカッションを企画しています。
日本医療機能評価機構の依頼で、特に「一般病院1」(地域医療を支える中小規模病院)の評価項目について検討し、その結果を意見としてまとめ、提出しています。また、「一般病院1」以外に「慢性期病院」の評価項目の検討も行うことを要望しています。
病院がその地域で果たしている機能や規模によって、評価の方向や内容が異なるのは当然です。全日病の会員の多くを占める中小病院の機能を適正に評価できるよう、評価項目を検討することは、委員会のもう1つの重要な仕事です。
ただ病院機能評価を受けている病院は2,177病院(2017年7月7日時点)で、日本の病院全体の約26%にとどまります。以前は30%を超えていたのに下がってきてしまいました。その中で、全日病会員病院の認定率は35.1%で、全体の認定率を上回っています。しかしながら、まだまだ不十分であり、これをいかに引き上げていくかが課題です。
特に、100床以下の中小病院の認定率が低いことが問題です。「一般病院1」は、中小病院向けの審査基準ですが、中小病院の中でも病床数の多い100 ~ 200床の病院が大半で、100床以下の認定率が少ない。評価項目を見直すことなどによって、受けやすくなるような工夫は行っているのですが、そこだけを優遇するわけにもいかず、難しいところです。
住民の信頼を得る上で機能評価は必要
―病院機能評価を受ける意義について教えてください。
機能を評価する際の基本的な視点として、ストラクチャー評価、プロセス評価、アウトカム評価があります。これまでは、ストラクチャー評価が中心でしたが、プロセス評価も取り入れるようになりました。今後はアウトカム評価を導入していく必要があると思いますが、適切な指標を入れるのは簡単ではありません。
なぜ、病院機能評価を受けるべきなのかというと、第一に、病院が住民の信頼を得る必要があるからです。私の病院(木村病院)もそうですが、民間病院は院長・理事長の苗字を冠している病院が多いですね。一種の家業に近いところがあって、経営に必要な組織が整っていない病院が少なくありません。
第三者の視点が入りにくく、経営に関しては、院長や事務長など少数の幹部がすべてを決めがちで、他の職員は自らの責任の所在を理解せず、業務改善が必要な状況であっても、病院内部の視点で物事を考えてしまいます。
これでは住民の信頼を得ることはできません。医療の質を上げ、病院の機能を向上させるために、行政に上からいわれるだけでなく、医療者が自らお互いにピアレビューをし、経営体としての組織を作っていくべきなのです。
手前味噌ですが、医療を提供する体制がここまで発展してきたのは、病院機能評価が果たした役割が大きかったと考えています。
第三者評価の開始から機能評価に長くかかわる
―木村先生が、病院機能評価に取り組むようになったのはいつ頃からですか。
日本医療機能評価機構が設立されたのは1995年ですが、その前から機能評価にはかかわっていました。最初は、東京都私立病院会の青年部会で「JCAHO 研究会」をつくって機能評価の勉強をしていましたが、1990年に全国規模の組織として「病院医療の質に関する研究会」を立ち上げ、第三者評価をはじめるようになりました。
評価項目は現在のような厳密なものでありませんでしたし、サーベイヤーの訓練も十分に受けていませんでしたが、第三者の目でチェックすることが大切であると考え、お互いの病院を訪問して、評価していました。そういうわけで、機能評価には長くかかわっていますね。
―医療の質の向上に病院機能評価が果たしてきた役割は大きいと思います。
しかし、国民にはあまり知られていないように思います。
多くの国民が、病院機能評価を知るに至っていませんね。でも、医療界ではある程度、知られるようになりました。
例えば、医師や看護師などが求職する際に、病院機能評価を得ていることが、病院を選ぶ理由の一つにあげられるようなっています。
病院機能評価に対して、「仲間同士で評価し合っても意味がない」という人もいます。しかし、それは逆であり、医療のことを知っている医療者が自ら第三者評価を行うことに大きな意味があります。住民や患者、行政の視点も重要ですが、それだけでは病院の機能は向上しません。
セミナーや訪問指導を通じて受審を支援
―会員病院に対してどのような支援を行っているのですか。
会員病院に対する相談事業や受審支援を行っています。年2回のセミナーと全日病学会の委員会企画、病院機能評価を受ける会員病院への訪問指導などがあります。
昨年の熊本での全日病学会では、更新を辞退したが、その後問題点を克服し、再更新した3病院の話をききました。更新しなかった理由としては、「中小病院も大病院と同様の取組みが求められる」、「費用が高い」、「受審準備にかかる作業が膨大」などの問題点が指摘されました。
その後、医療事故に対する関心の高まりなどの背景の中で、認定制度の改善などもあり、再更新。認定を受け続けることが、「病院の理念の見直し」、「医療の質向上や安全、経営の改善」につながることなどを確認することができました。
石川学会で機能評価のメリットを説明
―9月の石川学会はどのような企画になりますか。
認定を更新する病院は減っているので、病院に更新を促すインセンティブが重要になります。そこで、金沢の全日病学会では、病院機能評価が病院経営にいかに役立ったかについて発表する企画にしています。具体的な数字で経営への効果を示してもらうことや、看護部門での職場改善の効果を講演してもらう予定です。
全日病学会の前日には、金沢で機能評価受審支援セミナーを開催します。
以前は、評価項目の説明が中心でしたが、最近は内容を絞って、評価を得る手法について、実際に受審した病院に話してもらうなど、より実際的なセミナーにしています。人数も絞って、グループワークを中心とする形式で開催したいと思っています。
病院機能評価の認定を得るには、セミナーだけでは不十分であり、最近は訪問指導にも力を入れています。アドバイザーを病院に派遣して、半日ほどかけて評価を行います。受審しても、認定水準に達せず、改善要望事項が示され、認定が留保される場合もありますが、全日病のセミナーと訪問指導を受ければ、1回で認定を得ることができると自信を持っています。
一度認定を受けると、「もうわかったから今後は自分たちだけでやる」と考え、更新をやめてしまう病院があります。けれども、自分たちだけでみると必ず甘くなります。第三者が評価することが必要で、そのために病院機能評価があります。
また、病院機能評価は病院の機能が向上していくことを前提としているので、同じ水準であれば、更新の意味がなく、評価も得られません。
機能評価受審のインセンティブ
―100床以下の病院の認定率が低いということですが、原因は。
事務的な能力の問題が一番大きいと思います。職員がぎりぎりで仕事をしていて、そこまで手が回らない現実があります。そこで、必要になるのは院長の決断であり、それがあれば一気に進みます。院長が病院の理念を示し、職員を説得する。それができれば、事務的な作業はそこまで大変ではないと思います。ただ、努力に見合うインセンティブがあると判断してもらうことが大切で、この点は改善の余地があるでしょう。
―インセンティブを持たせるには何が必要ですか。
まだ国民への認知度が低いので、周知・広報が必要です。広く知られるようになれば、受けたいと思う病院は増えるでしょう。日本医療機能評価機構には、もっと積極的に宣伝してもらいたいですね。
先ほどの話のように、病院に就職を希望する医療従事者にとって、機能評価によって一定水準以上の病院であるという評価があれば、安心できます。
さらに、病院が業務改善を進めるときにも、病院が組織化されていれば、外部の環境変化に早く適応できると思いますし、経営的にもよい影響を与えているはずです。
確かに、病院機能評価の認定が診療報酬で評価されれば、大きなインセンティブになるでしょう。しかし、認定率が3割を下回る現状では、厳しいのではないでしょうか。診療報酬で評価されるためにも、認定病院を増やしていく必要があると思います。
病院機能評価委員会としては、認定率が上がるよう取組みを着実に進めていきます。訪問指導の回数を増やし、セミナーの内容も充実させていきます。
受審を迷っている病院があれば、気楽に相談してもらい、事務負担の大きさなどを心配する中小病院の不安などに、適切に応えていきたいと思います。
―お忙しいところ、ありがとうございました。
全日病ニュース2017年9月1日号 HTML版
[1] 病院機能評価支援相談事業
https://www.ajha.or.jp/hms/hospital_list/
ホーム > 病院支援事業 > 病院機能評価支援相談事業「病院機能評価のご案内」 ...
病院機能評価は平成7年7月に設立された(公財)日本医療機能評価機構が実施して
いるもので、医療の質の一層の向上を図るため ... 機能評価受審支援相談事業について
.[2] 病院機能評価の受審をお考えの皆様へ
https://www.ajha.or.jp/hms/hospital_list/pdf/130617_3.pdf
病院機能評価(日本医療機能評価機構)受審準備中の病院へ出向き相談に応じる事業
です。 日本医療機能評価機構のサーベイヤーの中から、当協会で依頼した
アドバイザーがお伺いいたします。 ... 全日本病院協会 機能評価受審支援相談事業
について.[3] 第20 回機能評価受審支援セミナー(岡山会場)の開催について
https://www.ajha.or.jp/seminar/hyouka/pdf/170105_4.pdf
2017年1月5日 ... 1.主 催. 公益社団法人 全日本病院協会. 2.共 催. 公益財団法人 日本医療機能評価
機構. 3.開催日. 平成 29 年 3 月 19 日(日)12:30~16:00. 4.会 場. 岡山商工会議
所(会場案内図参照). 〒700-8556 岡山市北区厚生町 3 丁目 1 番 ...[4] 病院機能評価受審支援セミナー:教育研修 - 全日本病院協会
https://www.ajha.or.jp/seminar/hyouka/
公益財団法人日本医療機能評価機構が実施する病院機能評価について、会員病院の
機能評価受審について、初期相談に対応するべく平成18年より同機構と共催で本
セミナーを開催しております。 評価項目に関する説明だけでなく、参加者の皆様方から
の質疑 ...[5] 第 19 回機能評価受審支援セミナー(熊本会場)の開催について
https://www.ajha.or.jp/seminar/hyouka/pdf/160726_2.pdf
2016年7月26日 ... 1.主 催. 公益社団法人 全日本病院協会. 2.共 催. 公益財団法人 日本医療機能評価
機構. 3.開催日. 平成 28 年 10 月 7 日(金)12:30~16:00. 4.会 場. TKP ガーデン
シティ熊本(会場案内図参照). 〒860-0807 熊本県熊本市中央区下 ...[6] ÿþ_jý•U−¡OÝ0¹0¿0ü0!ÿ,ÿ
https://www.ajha.or.jp/hms/hospital_list/pdf/120830_jssj.pdf
全日本病院協会 機能評価受審支援相談事業」とは、日本医療機能評価機構の. 病院
機能評価受審準備中の全日病会員病院へ出向き相談に応じる事業です。日本医. 療
機能評価機構の病院機能評価に精通している方の中から、当委員会でご依頼しま.
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