全日病ニュース

猪口雄二会長の２期目の続投決める

【第７回定時総会・第８回臨時総会】「民間病院を取り巻く環境は厳しい」

　全日本病院協会は６月15日に第７回定時総会・第８回臨時総会を開いて役員改選を行い、猪口雄二会長の２期目の続投を決めた。定時総会で承認した55名の理事の中から新たな役員を選出して、臨時総会に報告した（右の写真）。猪口会長は、「非常に責任を感じる。民間病院を取り巻く環境は本当に厳しくなっている。各支部の声を吸い上げ、ディスカッションしていきたい」と述べて、会員の協力を求めた。
　５名の副会長も全員が続投。常任理事（20名）は、細川吉博氏（北海道）、今村康宏氏（愛知）、池井義彦氏（宮崎）が新任となった。議長は木村佑介氏（東京）、副議長は宮城敏夫氏（沖縄）の続投が決まり、顧問・参与・名誉会員も原案通り承認された。
　総会終了後には、支部長・副支部長会を開き、「地域医療構想」および「医師の働き方改革」をテーマに特別講演が行われた（３面参照）。

支部の声を踏まえ全日病を前に進める
　臨時総会で挨拶した猪口会長は、「民間病院を取り巻く環境は本当に厳しくなっている。これは病院だけの問題でなく、日本全体が果たして今の環境を維持できるのか、国民皆保険が永続できるのか、危うい場面があるのではないかと感じている」と現状に対する厳しい認識を示した。その上で、「我々は自分の立場を明確にして発信していかなければならない」と強調し、前向きに取り組む姿勢を示した。
　また、「日本は小さい国のようで、地域によって本当に事情が違う。各支部の声を聞きながら、本日選ばれた会長・副会長・常任理事が一緒になって議論し、良いものは取り入れながら全日病を前に進めていきたい」と２期目の抱負を述べた。

参院選への協力を要請
　定時総会では、2018年度事業報告を行ったほか、2018年度決算案を承認した。
　猪口会長が当面の情勢を報告し、「10月には消費税率の引き上げに伴う改定が行われるが、来春にも通常の２年に１回の改定がある。10月には薬価改定も行われるため、来春の改定では、薬価の部分の財源がない厳しい改定となる」と見通しを示した。
　猪口会長は、「こうしたなかで医療界として要望を行うのであれば、参議院選挙の得票数は大きな力になることは間違いない。一致団結しなければならない」と述べ、参院選への協力を求めた。
　また厚生労働省が、地域医療構想・働き方改革・医師偏在対策の３つの施策を三位一体改革として進める考えを示していることに対し、四病協として反対の方針であることを報告した。「どれ一つをとっても大変な改革であるのに、３つをまとめて進めることはあまりにも拙速であり、一つ一つ丁寧に取り組んでほしいと主張している」と述べた。
　猪口会長は、人口減少の中で働き手が減ることに対応しなければならないとし、「新しい働き方を創造していく必要がある。元気な高齢者や外国人が働ける環境を整備していくことが大切だ。また、ICTやAI、ロボットを医療・介護のなかで活用し、新たな医療・介護を創造していく必要がある」と述べた。
　来賓として、羽生田俊参議院議員、日本医師会の今村聡副会長（横倉義武会長挨拶代読）、東京都医師会の平川博之副会長（尾𥔎治夫会長挨拶代読）が出席し、それぞれ挨拶した。
　報告事項としては、織田正道副会長が2018年度事業報告を行った。織田副会長は、事業実績説明書を踏まえ、2018年度には、①介護医療院への対応②病院総合医の育成③外国人技能実習生の受入れに係る調査・研究の事業を開始したことを報告した。
　決議事項として中村康彦副会長が2018年度決算案を説明し、承認された。2018年度決算は、経常収益が６億8,482万円、経常費用が６億8,379万円で、103万円の黒字となった。