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ホーム全日病ニュース(2019年)第943回/2019年7月1日号民間病院を取り巻く環境の厳しさを認識し、変革期を乗り越える...

民間病院を取り巻く環境の厳しさを認識し、
変革期を乗り越えるための元気を届けたい

民間病院を取り巻く環境の厳しさを認識し、
変革期を乗り越えるための元気を届けたい

【第61回全日本病院学会 in 愛知】第61回全日本病院学会 in 愛知太田圭洋・学会長に聞く

第61回全日本病院学会in愛知が9月28、29の両日、愛知県名古屋市で開催される。太田圭洋学会長に学会テーマに込める思いや学会の見どころ、準備状況をきいた。

民間病院を取り巻く
環境の厳しさを認識

―学会テーマの『矜持~今こそ示せ、医療人のプライド~』に込めた思いを聞かせてください。
 最初は、『今こそ示せ、民間病院のプライド』としていましたが、刺激的すぎるということで、『医療人の…』としました。私自身の問題意識として、今進められている医療改革は中小民間病院にとって厳しいものであり、これにしっかり向き合っていかなければならないという思いがあります。
 地域医療構想は大きな改革ですし、医師の働き方改革も重要なテーマです。専門医制度も大きく変わっていて、大きな変革の時期にあることは確かです。一つひとつの改革には、それぞれ理由がありますが、全体として改革の進む方向をみると、民間病院にとって厳しい改革になる可能性が高いと認識しています。
 もちろん民間の医療機関も医療提供者の一員として改革に向き合う必要がありますし、地域医療を支えるために自ら変わっていかなければいけませんが、かなり厳しい環境の変化であることをしっかり認識する必要があるということです。
 その際に大切なのは、我々民間の医療機関が地域の医療を守ってきたのだというプライドを持つことであり、状況に流されるのではなく、前向きに変革に向かい合っていくことです。矜持を保って改革に向かい合っていかなければいけない、という思いを学会テーマに込めました。様々な課題・問題をタブーなくディスカッションしたいと思っています。

多彩な学会企画
官民の格差を徹底討論

― 学会テーマの下で、多くのプラグラムが組まれています。見どころを教えてください。
 学会企画として、5つのシンポジウムを企画しています。
 シンポジウム1は『地域医療構想』がテーマです。今年度は、地域医療構想調整会議で、各病院の医療機能を検証していくことになっています。神野副会長に座長をお願いし、厚生労働省で地域医療構想を担当する鈴木健彦課長(医政局地域医療計画課)、地域医療構想ワーキングチームで議論している織田副会長と伊藤先生(日本医療法人協会会長代行)に参加いただき、調整会議がどう変わっていくのか、本音でディスカッションしてもらいます。
 シンポジウム2『令和時代の職場環境作り』では、働き方改革を踏まえ、人手不足の中でICTやAIを活用し、様々な取組みをしている若手の医師を中心に企画を組みました。
 シンポジウム3『官民格差徹底討論!!』は、私の思いから企画したセッションです。公立・公的病院の立場から、全国自治体病院協議会の小熊会長と日本病院会の末永顧問(前副会長)を招き、民間病院の立場から、日本医師会の中川副会長、日本医療法人協会の加納会長に出席いただき、さらに制度に詳しい東日本税理士法人の長代表社員に加わっていただいて議論します。民間病院側からみると、他会計繰入金の問題などがありますが、公立・公的病院にも言い分があるでしょう。地域医療構想に深く関わりますし、医師の派遣も絡んで、地域の医師偏在の解消に向けて、どうやって医師を配分するかといった課題があり、この時期にこうした議論をしておいた方がいいと考えました。どういう形でまとめられるかわかりませんが、私が座長を務めます。
 シンポジウム4は『地域包括ケアとACP』がテーマで、中小民間病院をはじめ、地域包括ケアに取り組んでいる方々に集まっていただき、ディスカッションします。
 シンポジウム5『病院事務職の矜持』は、病院の事務のプロに議論してもらうセッションです。
 また、市民公開講座として、『人手不足もなんのその!~医療介護と外国人労働者』を学会2日目の午後に企画しています。EPA、技能実習、特定技能と制度が大きく変わる中で、病院はどう対応すべきか、外国人は安定的に日本にきてくれるのかなど、幅広い観点から、人手不足と外国人労働者の問題を議論します。

愛知県の民間病院の
元気を全国に発信

―学会の準備状況は、いかがですか。
 今村康宏先生(済衆館病院理事長)に実行委員長をお願いし、実行委員会のメンバーと一緒に知恵を絞って、準備を進めています。今回の学会では、愛知県内の民間病院の力を集め、愛知県内の状況を含めて、民間病院の元気を全国に発信したいと考えています。全日病愛知県支部の枠を超えて、様々な組織に協力いただきながら、準備しています。
―愛知県の魅力をお願いします。
 「なごやめし」と言ってますが、地域独特の食文化を全国に発信しようとしています。美味しいものがたくさんありますので、食わず嫌いにならないで、ぜひこの機会に名古屋の食を体験していただきたい。学会が開催される9月28・29日は、消費税が上がる直前の土日です。2%安く、名古屋の食を楽しんでいただきたいですね。食以外にも、見どころは盛りだくさんです。
― 学会のポスターについて説明してください。
 家紋が3つありますが、これは名古屋人なら誰でも知っている戦国時代の武将、郷土三英傑の家紋です。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康で、3人とも愛知県の出身です。信長は安土へ、秀吉は大阪へ、家康は江戸に行ってしまいましたが、混乱の時期に大きく歴史を転換する力が愛知県から生まれたわけで、全国にパワーを伝えて転換していく土地柄と言えるのではないでしょうか。
 今は、医療界にとってたいへんな変革期であり、だからこそ愛知県の民間病院のパワーを全国に伝え、それぞれの地域において変革に向き合っていただければと思っています。
 学会テーマの下で、さまざまなシンポジウムや講演を用意しています。会員病院のみなさんにとって役に立つ学会にしたいと考えていますので、奮ってご参加いただきたいと思います。
― ありがとうございました。

学会企画のシンポジウム

シンポジウム1「地域医療構想」
座長:神野正博(全日病副会長)
鈴木健彦(厚生労働省医政局地域医療計画課課長)
織田正道(社会医療法人祐愛会織田病院理事長)
伊藤伸一(社会医療法人大雄会理事長)

シンポジウム2「令和時代の職場環境作り」
座 長:小林清彦(医療法人愛生館副理事長)
北島明佳(医療法人社団元気会横浜病院理事長)
石井隆平(医療法人おもと会理事)
石川賀代(社会医療法人石川記念会 HITO 病院理事長)

シンポジウム3「官民格差徹底討論!!」
座 長:太田圭洋(名古屋記念病院理事長)
長英一郎(東日本税理士法人代表社員)
小熊豊(全国自治体病院協会会長)
中川俊男(日本医師会副会長)
末永裕之(日本病院会顧問)
加納繁照(日本医療法人協会会長)

シンポジウム4「地域包括ケアとACP」
座 長:三浦久幸(国立長寿医療研究センター在宅連携医療部部長)、
今村康宏(済衆館病院理事長)
三浦久幸(国立長寿医療研究センター在宅連携医療部部長)
五十嵐知文(社会医療法人恵和会西岡病院副院長)
千葉恵子(学校法人鉄蕉会亀田医療大学看護学部看護学科)
野田智子(江南厚生病院地域医療福祉連携室長)

シンポジウム5「病院事務職の矜持」
座 長:川本一男(社会福祉法人香徳会理事)
佐合茂樹(木沢記念病院病院長補佐兼事務長)
朝見浩一(一般社団法人上尾中央医科グループ協議会経営管理本部医療事業部 病院管理室室長)
新山毅(社会医療法人清風会廿日市記念病院事務長)

市民公開講座
「人手不足もなんのその!~医療介護と外国人労働者~」
座 長:川原弘久(医療法人偕行会理事長)
山本登(五星会菊名記念病院理事長)
山本左近(さわらび会統括本部長兼副理事長)
安藤高夫(衆議院議員)
城良治(偕行会在宅医療事業部長)

「第61回 全日本病院学会 in 愛知」の開催概要
開 催 日◎2019年9月28日(土)・29日(日)
学 会 長◎太田圭洋(社会医療法人名古屋記念財団 名古屋記念病院理事長)
実行委員長◎今村康宏(医療法人済衆館 済衆館病院理事長)
会   場◎名古屋国際会議場(名古屋市熱田区熱田西町1番1号)
事前参加登録◎2019年4月8日(月)~ 8月23日(金)
参 加 費◎

懇 親 会◎2018年9月28日(土)18:30 ~
      名古屋観光ホテル 3F「那古の間」

*事前参加登録は、オンライン登録にて受付ています。
https://reg.c-linkage.co.jp/ajha61entry/
*宿泊予約は、学会ホームページの「宿泊案内」よりお申込みください。
https://amarys-jtb.jp/ajha61/

 

全日病ニュース2019年7月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 病院のあり方に関する報告書 (2007年版)

    https://www.ajha.or.jp/voice/pdf/arikata/2007_arikata.pdf

    全日病は、「関係者との信頼関係に基づいて、病院経営の質の. 向上に努め、 ...... 社会
    の変化は急速かつ大きく、変革期にある。 状況の変化 ...... ごとに様々であるが、民間
    病院を含め、他の医. 療機関では ...... 非考課者の双方で、ひとつひとつの目標に対する.

  • [2] 急性期指標の取扱いに慎重論相次ぐ

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2017/170601.pdf

    2017年6月24日 ... 病院一つひとつが全日病総研の意義. を理解し、参加・変革していくことが. 求められ
    ている。 ... は民間が多いが、地域包括ケア病棟入. 院料1について ...

  • [3] 第678回

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2008/080101.pdf

    近年、民間病院の活路を指定. 全日本病二級国 ... 新春特別座談会I○医療改革と民間
    病院、厚労省医政局二川総務課長・西澤会長他. [問題提起 ] ..... 係、混合診療、企業
    参入など、一つひとつ、その時. 代に合った ... それは、療養病床の再編、急性期病院(
    DPC)の. あり方、後期 .... 天保の改革、明治維新、大東亜戦争と大きな変革を. 経験
    してきた ...

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