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オンライン診療の指針見直し案を大筋で了承

【厚労省・オンライン診療指針見直し検討会】医師には研修の受講を必須化

　厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」（山本隆三座長）は６月10日、指針見直し案を大筋でまとめた。オンライン診療は初診対面診療が原則との前提で、一定の要件緩和を行った。緊急避妊のオンライン診療も、基本は対面診療だが、前回の案よりも例外の対象範囲を広げる形となった。また、オンライン診療を実施する医師は、来年度以降、研修の受講が求められる。
　オンライン診療の指針は、2018年３月に策定。ICTが発展・普及する中で、政府の規制改革会議などからの要望を踏まえ、定期的に見直しの議論を行うことになっている。指針の見直しは、今後の診療報酬改定の議論に影響する。同日の議論を受け、指針見直し案を修正し、パブリックコメントを経た上で、７月中に通知で示す予定だ。
　今回の指針見直しでは、緊急避妊のオンライン診療の取扱いで、多くの時間が費やされた。初診対面診療が原則のオンライン診療において、対象を限定し例外を認める方向で議論したが、その範囲について、委員間で認識の違いがあった。今回、前回の案と比べ、少し対象を広げる形でまとまった。
　具体的には、当初案では、「地理的な要因のほか、性犯罪による対人恐怖がある場合に限る」としていたのを、地理的な要因のほか、「相談窓口等と連携している医師が女性の心理的な状態に鑑みて、対面診療が困難と判断した場合」とした。
　ただし、緊急避妊においても初診対面診療が原則である。緊急避妊を求める女性は、今後整備する相談窓口に連絡し、相談員がリスト化された医療機関の中から、受診可能な適切な医療機関を紹介し、女性はその医療機関を受診する。上記の限定対象に該当した場合だけ、オンライン診療の対象との位置づけだ。
　オンライン診療を行う医師は、産婦人科医または研修を受けた医師とする。オンライン診療により処方箋を交付された女性は、研修を受けた薬剤師による調剤を受け、薬剤師の面前で内服する。その後、産婦人科医による直接の対面診療を３週間後に行う。オンライン診療を行う医師に対しては、３週間後に対面診療が行われることの確実なフォローアップを求める。
　このような体制を緊急避妊のオンライン診療として想定するが、相談窓口を通さずに、直接オンライン診療となる事例が出てくるのは避けられない。厚労省は、安易な緊急避妊薬の入手につながらないよう、これらの体制を年内に整備したいとの考えを示している。
　その他の要件緩和では、離島・へき地など医療機関が少ない地域で、常勤医師が１人であり、その医師が急病などで診療できず、代診を立てられない場合に、二次医療圏内において、他の医療機関が初診からオンライン診療を行うことを認める。ただ、初めての患者の場合は認められない。
　また、「情報通信機器を用いた遠隔からの高度な技術を有する医師による手術等」のオンライン診療の位置づけなど、医師対患者だけでなく、医師対医師、医師対患者・看護師のオンライン診療の取扱いも明確化した。
　通信環境のセキュリティやプライバシーに関する文言も追加。医師のなりすまし防止のため、オンライン診療を行う医師は、身分が明らかな場合を除いて原則、HPKI（厚労省認可電子証明書）の使用など、顔写真付きの身分証明書と卒業年度を示すとした。
　さらに、オンライン診療を行う医師には、来年度以降、研修の受講を必須とする。すでにオンライン診療を実施している医師には、2020年10月までの研修の受講を求めるとしている。