全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2019年)第943回/2019年7月1日号「重症度、医療・看護必要度Ⅰ」の変化は5.6ポイントで「妥当」...

「重症度、医療・看護必要度Ⅰ」の変化は5.6ポイントで「妥当」

「重症度、医療・看護必要度Ⅰ」の変化は5.6ポイントで「妥当」

【中医協・入院医療等の調査・評価分科会】医師の診察頻度ではデータを疑問視

 中医協の第3回入院医療等の調査・評価分科会(尾形裕也分科会長)は6月19日、前回報告された入院医療の2018年度診療報酬改定調査結果の追加資料を基に、議論を行った。旧7対1入院基本料である急性期一般入院料1の「重症度、医療・看護必要度Ⅰ」の該当患者割合の変化は改定前後で5.6ポイント。2018年度改定では、「重症度、医療・看護必要度Ⅰ」を見直し、基準値を5ポイント上げた。委員から想定と比べ「妥当」との意見が相次いだ。
 2018年度改定では、「重症度、医療・看護必要度Ⅰ」について、患者の状況等を把握するB項目の「診療・療養上の指示が通じる」と「危険行動」の該当基準を変更したため、認知症やせん妄状態の患者への対応がより評価されるようになった。実質的には、要件緩和であり、該当患者割合の引上げ幅で診療側と支払側で意見が対立。公益裁定で急性期一般入院料1(旧7対1)では、「25%」から「30%」に引き上げた。
 今回の調査結果から、回答施設の平均の該当患者割合をみると、2017年8~ 10月の30.3% から2018年8 ~ 10月は35.9%になった。その差は、5.6ポイントで、引上げ幅に見合う。該当患者割合の分布でも、全体が5ポイント程度高い方にシフトしており、40%を超える施設も1割を超えている。
 急性期一般入院料1の「重症度、医療・看護必要度Ⅰ」のB項目の各該当患者割合は、「口腔清潔」( 1 点)が54.3%で最も高く、「診療・療養上の指示が通じる」(1点)は26.8%、「危険行動」(2点)は13.4%だった。認知症やせん妄の患者への対応を評価する新たな基準を満たす該当患者は約5割で、一定の効果があったことが示された。
 また、「重症度、医療・看護必要度Ⅰ」と2018年度改定で新設した「Ⅱ」の両方を回答した施設の平均は、「Ⅰ」が35.4%で、「Ⅱ」が31.3%と、その差は4.1ポイント(2018年8~ 10月)。「Ⅰ」の該当患者割合は30%、「Ⅱ」は25%となったので、こちらも、「妥当」との意見が大勢を占めた。前回の報告では「Ⅱ」は26.7%だったが、データが修正された。
 急性期一般入院1の施設に今後の意向をきくと、「現状を維持」が9割を超えており、約8%は増床を検討している。他の病棟への移管を検討している施設は約8%だった。
 患者の状態については、医師の診察の頻度(処置・判断含む)が調査された。急性期一般入院料1では「毎日」が6割を超えて最も多いが、「週1回程度以下」も5%ほどあった。全日病副会長の神野正博委員は、データの適切性を疑問視。「主治医以外の医師の診察や、他の診察室での診察が把握されていないのではないか」と指摘するとともに、「数字が一人歩きするリスクがある。病院団体として必要があれば追加調査も検討したい」と述べた。他の委員からも、特定機能病院でも同程度の割合であることを含め、「おかしい」との意見が相次いだ。

 

全日病ニュース2019年7月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。