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次期診療報酬改定の基本方針を了承

次期診療報酬改定の基本方針を了承

【社保審・医療部会】眼の水晶体の放射線被ばくを防ぐため法令改正

 社会保障審議会・医療部会(永井良三部会長)は12月9日、次期診療報酬改定の基本方針を了承した。「医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」を重点課題に位置づけた。医師の働き方改革に関する推進検討会の進捗状況も報告され、委員からは特に、医師の複数勤務の時間管理の取扱いで、強い懸念を示す意見が相次いだ。
 改定の基本的視点は、◇医師等の働き方改革の推進◇患者・国民に身近で安心・安全で質の高い医療◇医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進◇効率化・適正化─の4つ。健康保険組合連合会の委員は、「医師等の働き方改革の推進が重点事項となり残念。重点事項であっても、真に必要な対応に限定すべき」と述べた。
 病院団体が主張していた「病院給食」の評価の引上げの明記は見送られた。全日病会長の猪口雄二委員は、「介護施設を含め、人手不足を背景に病院給食の現状は深刻。出来合いの食事をどこまで認めるかなど、現行の基準の見直しを引続き検討すべき」と要望した。
 医師の働き方改革の推進に関する検討会の報告では、医師の複数勤務の時間管理の取扱いへの質問が相次いだ。他医療機関へのアルバイト勤務も時間外労働に通算されるため、時間外労働規制の特例水準(B・C水準)が適用される可能性の高い大学病院が医師を引き揚げるのではないかとの懸念が出ている。厚生労働省は、一般則の取扱いがまだ決まっておらず、医師への対応は引続きの課題と回答するにとどめた。
 しかし委員からは、「研修医の収入確保の観点でも配慮が必要」、「一般労働者と医師の兼業の取扱いは別にするという考えは成り立つ」、「大学病院の行動を予測し、地域医療への影響をシミュレーションすべき」、「一律な対応を行うと地域によってはかなり危険な状況になる」などの意見が出た。
 眼の水晶体の被ばくの被害を防ぐため、関係省令・告示を改正することが了承された。具体的には、「1年間につき150ミリシーベルト」が厳格化され、「5年間の平均で20ミリシーベルトかつ1年間で50ミリシーベルトを超えない」との基準に基づき、法令を変更する。2021年度から施行し、2年間の経過措置を設ける。放射線防護措置を講じても等価線量が5年間で100ミリシーベルトを超えるおそれのある医師で、専門知識があるため、容易に後任者を得られない医師が対象だ。
 永井座長は、病院団体から示された現場の影響への懸念に対し、「放射能防護の研修を受け、注意深い対応を取れば、診療に従事する医師でもかなり被ばくを防ぐことができる」と述べた。

 

全日病ニュース2020年1月1・15日合併号 HTML版

 

 

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