全日病ニュース

定額負担求める大病院を200床以上に拡大

【中医協総会】機能強化加算の要件見直しの議論は平行線

　中医協総会（田辺国昭会長）は12月11日、大病院受診時の定額負担やオンライン診療料等、機能強化加算など外来医療をテーマに議論を行った。紹介状なしの受診で初診は最低５千円の定額負担がかかる大病院を拡大することを了承した。機能強化加算については、加算の趣旨を患者に説明することをめぐり、支払側と診療側の意見が平行線をたどった。
　大病院とかかりつけ医機能を持つ医療機関との機能分化を進める観点で、大病院の紹介状なしの受診で、定額負担を課すことが義務づけられている。現行では、「特定機能病院と許可病床400床以上の地域医療支援病院」だが、一般病床200床以上の地域医療支援病院に拡大する。初診料、外来診療料の減算についても同様に適用する。厚生労働省は拡大により対象病院が250病院増えると説明した。
　全日本病院協会の猪口雄二委員は、「地方の地域医療支援病院には地域密着型の医療を提供している病院がある。救急搬送など定額負担を求めない事例を整理し、現場で混乱が起きないよう対応が必要だ。地域医療支援病院が減ってしまうことも危惧している」と述べ、きめ細かな対応を求めた。
　機能強化加算の算定で、加算の主旨を患者に文書で説明することの是非では、支払側と診療側の意見が平行線をたどった。
　厚労省が、かかりつけ医機能があることを院内掲示するだけでなく、機能強化加算の算定の趣旨を、必ずしも医師ではない医療機関職員が書面で患者に説明することを論点としたが、診療側は「体制評価の診療報酬は他にもたくさんあるのに、機能強化加算だけ説明するのはおかしい」（松本吉郎委員・日本医師会）と反対した。
　健康保険組合連合会の幸野庄司委員は、「要件を満たせば、一律に加算されるので、知らずに加算され、明細書をみて、『この負担は何だ』と感じてしまう構造は、凍結された妊婦加算と類似する。医師である必要はないが、職員が診察前に文書で説明することを要件にすべき」と主張した。
　機能強化加算を算定できる要件の一つである地域包括診療料・加算の在宅医療や24時間対応の要件緩和にも、支払側は反対した。
　オンライン診療料の見直しでは、「慢性頭痛」を追加することを論点に議論したが、日本医師会の委員が反対した。厚労省は、関連学会が安全かつ有効に実施できるとのエビデンスを示していると説明したが、松本委員は、「頭痛の原因は多様であり、重篤な疾患の場合がある。他の関係者の意見もきき、慎重を期して対応すべき」と述べた。
　また、ニコチン依存症管理料には加熱式たばこを対象に加える。