全日病ニュース

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ホーム全日病ニュース(2020年)第972回/2020年10月1日号病院医療機能評価受審支援相談事業を受けて

病院医療機能評価受審支援相談事業を受けて

病院医療機能評価受審支援相談事業を受けて

樫村重樹(医療法人春風会 樫村病院 院長)

 まず初めに、当院は、全日本病院協会の会員病院の中でも最も多い中小病院の位置づけになります。
 全国的に、日本医療機能評価機構の認定は、徐々に増えつつありますが、当院のような100床以下の病院になると、まだまだ敷居が高く、他人事のように考えがちであり、我々もそのように考えておりました。しかし、組織が徐々に大きくなり、また、我々の医療を取り巻く環境も日々変化し、より良質で、より安全なものが求められるようになってきました。
 当院は、昭和34年に開院し、この地域に根差した、地元に寄り添う、人にやさしい病院を目指して今日まで歩んでまいりました。しかし、組織は1人のリーダーやスーパーマンが頑張っても、決して、永く、上手に運営できるものではありません。
 リーダーも高齢化しますし、スーパーマンも燃え尽きては、その組織は脆弱になり、やがて縮小、弱体へと自然の摂理に沿った生涯を終えることとなるでしょう。これを食い止める方法を見つけねばと、喘いでいたところ、出会ったのが病院機能評価です。病院組織の考え方、手法などが、簡潔に明瞭に記載されている教科書のようなものと出会うことができました。
 医療組織の標準的な運営の考え方、指針、指標、コンセンサスの在り方等含め、これから地域に医療という事業を残すための組織運営のアジェンダがまとめられていたのです。
 これまで、私は、何か問題が起こる度に、その時々に最良の方法を考え、目の前の問題をとりあえず、改善、解決することが、組織のリーダーの仕事であると考えていましたが、この度の全日本病院協会の機能評価受審支援をいただき、これからの病院組織はより優れた考え方のできる個人の集合体となり、永続的に事業継続できるよう、全職員で一丸となり、継続的な医療の質、病院管理の質の改善を行うことが大切と考えるようになりました。
 そのために機能評価をうまく活用しPDCAサイクルをもとに当院の理念でもある、常に向上の志を持てるよう、目指すべき理念をしっかりと見据えたうえで、組織内での自浄作用が働き続ける機関へと成長し、組織として生まれ変わりたいと祈念いたしました。
 全国にも、我々のような、地方の中小病院ではあるが、その地域の安心、安全のため、ライフラインの役割を果たし続けることを求められている病院が、まだ多く残されていると思います。
 我々の目的はその地域に健全な医療を継続できる地盤を、今、しっかりと準備しておくことではないでしょうか?その一助として、この病院医療機能評価支援事業は大変意義のあるものになると改めて確信いたしました。
 最後になりましたが、この度は、お忙しい中、また、コロナ禍の折、当院へ遠方より訪問いただき、大変有意義なご指導を賜りました、美原盤全日本病院協会副会長様、岩渕泰子病院機能評価委員会特別委員看護アドバイザー様、中嶋照夫病院機能評価委員会特別委員事務管理アドバイザー様をはじめとした、全日本病院協会病院機能評価委員会の皆様方につきましては、誠にありがとうございました。この場をお借りしまして、心より御礼申し上げます。

樫本知也(医療法人春風会 樫村病院 事務部主任)
 今回の訪問アドバイスは、第1・2領域およびケアプロセスの美原先生が来院され、約4時間のアドバイスを受けました。
 美原先生から、受審に向けての準備に関して「用意しておく資料」「担当者の明確化」「アピールポイントの整理」など丁寧なアドバイスいただきました。
 また、審査当日を意識したシミュレーションに近い形で進められ、美原先生の鋭い質問に当院職員が答えを窮する場面もありましたが、そのおかげで審査当日の雰囲気やイメージを確認することができました。ケアプロセスに関しては、症例の選び方とその重要性のアドバイスがありました。
 また、ストラクチャー、プロセス、アウトカムそれぞれの根拠を示せるようにすることがこれからの課題と感じました。

 

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