全日病ニュース
唾液も可能なコロナとA・B型インフルの同時検査を保険適用
唾液も可能なコロナとA・B型インフルの同時検査を保険適用
【中医協総会】初の禁煙治療補助アプリも保険適用
中医協総会(小塩隆士会長)が11月11日にオンラインで開催され、唾液も検体にできる世界初の新型コロナウイルスとA・B型インフルエンザウイルスの同時PCR検査キットを保険適用した。PCRの前処理でウイルス粒子を濃縮することで、PCR検査の時間を短縮し、検査精度を高めた点が評価されている。
販売名は「SGNP CoV/Flu PCR 検出キット」(スディックスバイオテック)。測定方法はPCR法(定性)で、点数は1,350点とした(カテゴリーB感染物質輸送を行う場合は1,800点)。測定時間は専用PCR測定器の場合で約20分、汎用PCR測定器の場合は約60分であり、迅速な検査が可能であるという。ピーク時の年間の予測使用患者数は24万人、予測販売額は33.1億円。
日本医師会の松本吉郎委員は、「広く普及すると思われるが、供給体制は十分か」と質問。厚生労働省は「他省庁とも協力し、メーカーとも相談し、増産体制には対応できるようにする」と回答した。また、検査を実施するには、リアルタイムPCR装置が必要で、迅速性を活かすには、一定の検査体制を備える医療機関である必要がある。
また、医療機器については、ニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙治療の補助に用いる「CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ・COチェッカー」(CureApp)の保険適用を了承した。アプリを使用した医療機器の保険適用は初めて。
患者アプリ、COチェッカー、医師アプリで構成され、呼気CO濃度を測定し、患者への質問の応答状況に基づき、ニコチン依存症の管理や行動変容を促すメッセージや動画を提供する。
価格は特定保険医療材料としては設定せず、新規技術料で評価。価格設定までの準用技術料を「在宅振戦等刺激装置治療指導管理料・導入期加算」(140点)と「疼痛等管理用送信加算」(2,400点・4回分)とした。
ニコチン依存症管理料を算定する患者に対し、同治療の禁煙治療開始時に140点を加算。その後、アプリなどを使用した場合に、2,400点を加算。過去1年間のニコチン依存症管理料の平均継続回数が2回以上の医療機関で使用した場合のみ算定できる。
ただし、保険適用に際しては、委員から様々な意見が出た。
具体的には、「今後次々と、新しい治療補助アプリの製品が出てくることが予想される。保険適用に当たってはより慎重な評価が必要」、「加熱式たばこは対象にならないことはきちんと周知すべき」、「途中で治療をやめてしまう脱落者が少なくない。治療成功のアウトカムを評価するべきではないか」などの意見があった。
改定結果検証の調査票案を了承
中医協総会は同日、2020年度診療報酬改定の結果を検証するための、調査票を了承した。2020年度調査は5項目で、①かかりつけ医機能等の外来医療に係る評価等(その1)②精神医療等(その1)③在宅医療と訪問看護に係る評価等④医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進に係る評価等⑤後発医薬品の使用促進策─。
2020年度改定と新型コロナの影響をできるだけ分けて把握することを目指す。11月に調査を開始し、来年3月に公表する予定だ。
薬価改定の方法の議論を開始
中医協総会は同日、2021度薬価改定に向けた議論の進め方を了承した。骨太方針2018、2020における考え方を踏まえ、薬価専門部会において、業界関係者からのヒアリングを実施しつつ、改定を実施する場合の方法などを今後議論していく。
10月26日に菅義偉首相は所信表明で「毎年薬価改定の実現に取り組む」と発言している。ただ、診療側の委員からは、改定の是非については、「医療現場の実態を十分に勘案し、慎重に判断すべき」(松本吉郎委員・日本医師会常任理事)との意見が出た。
また、秋に実施した薬価調査の公表は12月になる見込みだ。
全日病ニュース2020年12月1日号 HTML版