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病院の定額負担の初再診料相当額引上げを提案

【医療保険部会】200床以上の医療資源重点外来担う病院も対象に

病院の定額負担の初再診料相当額引上げを提案　厚生労働省は11月19日、社会保障審議会医療保険部会（遠藤久夫部会長）に、紹介状なしに受診した患者から定額負担を徴収する義務を課す病院を、200床以上の「医療資源を重点的に活用する外来」まで拡大することを提案した。定額負担を増額し、初診では２千円程度引き上げ、その分を保険給付から控除する案も示した。
　全世代型社会保障検討会議の昨年の中間報告では、「病床数200床の一般病院」にまで対象を拡大する方針を示していた。これについて厚労省は、定額負担の対象を、「一般病床数200床以上の病院のうち医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う病院」まで拡大することを提案した。医療資源を重点的に活用する外来は、厚労省の「医療計画の見直し等に関する検討会」で検討されている。
　一般病床数200床以上で、現在、徴収義務の対象外の病院は688病院あるが、このうちどれだけが医療資源重点外来に該当するかはまだ明確にしていない（右の上図参照）。
　対象病院の拡大には異論がなかった。
　紹介状なしに大病院を受診する患者を減少させるため、厚労省は定額負担を初・再診料に相応する額を引き上げ、その分を保険給付から控除する案を示した。厚労省は、大病院を紹介状なしで受診する患者の初再診料は選定療養に当たり、選定療養に「保険給付を行う必要性が低い」との考えだ。
　新たに定額負担の対象になる病院だけでなく、すでに特別料金の徴収義務がある病院でも、定額負担の引上げを行う。
　仮に初診の定額負担料金の増額分を２千円とすると、病院の収入総額は変わらないが、患者負担は1400円増える。再診の増額分は500円程度と想定される（下の下図を参照）。
　日本医師会の松原謙二委員は、ほとんど初診料を給付しないかたちになり、保険の仕組みとしておかしい」と反対した。
　日本慢性期医療協会副会長の池端幸彦委員も、「療養費制度で初診料に切り込み、初診料を定額負担で賄うスキームにはかなり無理がある。受診の仕方の啓発など、他にやるべきことがある」と反対した。病院の窓口で混乱が生じることにも懸念を示した。
　一方、保険者の委員は控除の仕組みに賛成し、「増加額は、大病院の負担軽減や医師の勤務環境改善に資する水準にしてほしい」と求める意見もあった。

●除外要件の運用見直しは中医協で
　定額負担の増額分を保険給付から控除する仕組みでは、患者が定額負担を徴収する対象になるかどうかが保険給付の額に影響する。厚労省は、定額負担を徴収しない患者の要件（除外要件）の運用を厳格化する方針を示した。具体的な検討は中医協で行う。異論は出なかった。
　病院から地域の医療機関を逆紹介したにもかかわらず、病院の再診を続ける患者については、徴収をより強化する方針だ。