全日病ニュース

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Nursing Now CPで看護界がひとつに

Nursing Now CPで看護界がひとつに

【招聘講演3】福井トシ子・日本看護協会会長

 2019年11月から今年6月にかけて、看護界が展開した「Nursing Now キャンペーン」の振り返りを行いその後の事業についてお話ししたい。
 Nursing Now キャンペーンとは、126か国で800以上のグループが参加した世界的なキャンペーンである。目標に、①看護職の教育や規制、雇用条件の向上への投資の拡大②効果的・革新的な看護実践の普及③看護職が健康政策に及ぼす影響の拡大④リーダーシップの職位に就く看護職の増加⑤政策・意思決定者へのエビデンスの提供―を掲げて活動を行った。
 このキャンペーンのきっかけは、英国のグローバルヘルスに関する議員連盟が2016年にまとめた報告書。この報告書は、看護を発展させることが、持続可能な開発目標(SDGs)の17項目の目標のうち、「健康の向上」「ジェンダー平等の推進」「経済発展」の3つの目標に貢献すると結論づけている。
 日本でのNursingNowキャンペーンは、日本看護協会と日本看護連盟、47都道府県看護協会・都道府県連盟等の30の団体が実施した。2019年11月に開かれたG20保健大臣会合でNursingNowキャンペーンのキックオフイベントを行い、今年の6月に終了した。「看護の力で健康な社会を!」をテーマとして活動し、アジア看護師協会同盟会議などで海外諸国との活動を共有し、「Nursing Nowニッポン宣言」を行った。コロナ禍にあって、看護の価値すなわち看護の有用性と存在意義、が一層高まっている。
 キャンペーンの一環として、看護職のディーセントワークを推進する取組みを行った。看護職の勤務インターバル、夜勤勤務回数制限など、看護職の労働時間に関する課題を改善し、看護職が働き続けられる環境づくりを求めてきた。現在も日看協では、就業継続が可能な看護職の働き方を提案するため、夜勤負担や時間外労働、評価と処遇についての提案を策定している。
 このような政策提言は日看協が行うが、その実現に向けては日本看護連盟が政権与党に働きかけ、現場の看護職の働き方の改善などにつなげていく。
 これまで以上に、看護職が政策の意思決定に参画するためには、政治的な力が必要だ。政策を実現させるためには、看護界の要望をワンボイスにまとめ、そのエビデンスとなるデータを集めることが重要だ。これには、今日参加されている皆さんにもぜひ協力していただきたい。
 日看協は、Nursing Nowキャンペーンの後継事業として、看護のリーダーシップと政策提言の実現を目指す「ナイチンゲール・チャレンジ」を2023年まで実施する予定だ。
 Nursing Nowキャンペーンを通じて看護界はひとつになった。今後も一丸となって、看護の力で健康な社会を実現していきたい。

 

全日病ニュース2021年9月15日号 HTML版