全日病ニュース

2023年度に診療科指定の地域枠

【厚労省・医師需給分科会】第５次中間とりまとめも大筋で了承

　厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会」の「医師需給分科会」（片峰茂座長）は８月27日、2023年度の医学部定員の考え方を大筋で了承した。歯学部振替枠を廃止し、その分、診療科を指定した地域枠として設定する。
　2022年度の医師養成数は、臨時定員は933人、恒久定員は8,397人となっており、2023年度の定員も同じ方法で定員を設定する。ただし、臨時定員のうち、2010年度以降、歯学部定員を削減した大学に「歯学部振り替え枠」として認めていた44名の臨時定員は、2022年度末に廃止する。その分を、2023年度からは診療科を指定して募集する地域枠として活用する方向だ。
　文部科学省は、2036年度において医師不足となることが推定される都道府県に、診療科を指定した地域枠を設定する考えを示した。総合診療科や救急科など、地域の医療ニーズに対応する診療科を、都道府県と大学が協議して指定する。
　事前に一部のメディアが、「感染症や救急の優先枠を設定」と報道していたが、文科省は「将来、感染症の専門医を養成することを見据えて、内科を設定することは可能だ。都道府県と大学の間で調整してもらう」と説明した。
　診療科指定の地域枠を設けることについては、大学受験時に将来の診療科まで決定させることや、医学教育への影響を懸念する声があがった。文科省は「医師のキャリアパスと受験生への配慮が必要というご意見を踏まえ、一つの診療科に限定せず複数の診療科を選択できるようにするなどして、しっかり運用していきたい」と述べた。

医師確保は医療計画とともに議論
　同日、分科会は「第５次中間とりまとめ」を大筋で了承し、当面、休止することとなった。医師需給に関する課題のうち、医師確保計画や外来医療計画に関わるものは「第８次医療計画等に関する検討会」において、地域医療構想と一体的に議論される見通し。
　全日病副会長の神野正博委員は、医師偏在の課題を検討する上で、新型コロナ後の医療提供体制や、患者の意識の変化を考慮に入れる必要があると提案。自宅療養者への往診で脚光を浴びている、往診専門の医師集団などの今後の動向も注視すべきと指摘した。
　同日の意見を受けて修正した「第５次中間とりまとめ」は、医療従事者の需給に関する検討会に報告される。