全日病ニュース

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2022年度改定の医療技術の評価を報告

2022年度改定の医療技術の評価を報告

【中医協総会】175件が対応する優先度の高い技術

 中医協の基本問題小委員会(小塩隆士小委員長)は1月19日、医療技術評価分科会から報告された2022年度診療報酬改定の医療技術の評価を了承した。医療技術の評価は同日総会に報告された。今後の総会の決定により、2022年度改定における医療技術の評価が確定する。
 分科会の評価対象となった医療技術は733件で、新規が284件、既存が449件。この中で175件を「診療報酬で対応する優先度が高い技術」と評価した(新規技術が77件、既存技術が98件)。このうち、「学会等から分科会に提案のあった技術」が170件、「先進医療として実施されている技術」が5件、両者に該当する技術が5件となっている。
 なお、「先進医療として実施されている技術」とは、先進医療会議において、科学的根拠に基づく評価が行われ、評価結果について先進医療会議より医療技術評価分科会に報告された医療技術である。
 優先度が高い技術として評価されたものとしては、具体的には、「人工知能技術を用いた画像診断補助に関する加算(単純・コンピュータ断層撮影)」(日本医学放射線学会)、「ニューロリハビリテーション(装着型サイボーグによる)」(日本神経治療学会)、「胃悪性腫瘍手術(切除)(ロボット支援)」(日本胃癌学会)、「口腔不潔度測定」(日本老年歯科医学会)などがある。

技術の体系的な分類を引続き検討
 医療技術の体系的な分類の検討結果も基本問題小委員会に報告された。
 外科系学会社会保険委員会連合が整理している手術の基幹コード(STEM7)は、診療報酬の手術分類(K コード)に併記することになった。一方、両者の整合性は必ずしも取れていない。
 例えば、「骨折観血的手術」のKコードは一つだがSTEM7で部位ごとに3つに分類される(肩甲骨、上腕、大腿)。そして、それぞれの麻酔時間の分布を解析すると、部位により異なることがわかり、評価を分ける必要性が示唆された。
 ただ、「STEM7で分類したときに、特定の術式の症例数が少ない場合がある」、「麻酔時間と手術時間は一致しているのか」、「包括されている材料の違いなど麻酔時間以外に考慮すべき点がある」など、引続き検討が必要な論点があり、2022年度改定では対応しないことになった。
 また、心臓血管領域の術式では、麻酔時間の分布に明らかな差は認められなかったものの、「540分以上」が多数存在したという事例も観察された。

術者の経験症例数に有意差なし
 ロボット支援下内視鏡手術における直腸癌と胃癌、食道癌の手術成績と経験症例数の関連を調べた結果が示された。術後合併症を評価指標とし、いずれの癌腫の手技においても、術者の経験症例数が「基準値以下の群」と「それを超える群」との間に有意な違いはなかった。
 一方、診療報酬の施設基準ではいずれの癌腫でも経験症例数で要件を設けている。このため、2022年度改定での見直しに活用できるとした。

 

全日病ニュース2022年2月1日号 HTML版