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ホーム全日病ニュース(2022年)第1002回/2022年2月1日号医師養成と偏在対策で第5次中間とりまとめ

医師養成と偏在対策で第5次中間とりまとめ

医師養成と偏在対策で第5次中間とりまとめ

【厚労省・医師需給分科会】2023年度の医師養成総数は削減せず

 厚生労働省の医療従事者の需給に関する検討会(森田朗座長)と医師需給分科会(片峰茂座長)は1月12日に合同で会議を開き、医師の養成と偏在対策に関する「第5次中間とりまとめ」を大筋で了承した。今後、医師数増加のペースを見直すとともに、医師の偏在対策を実施することが重要と提言している。2023年度の医学部定員は削減せず、総数として2022年度の9,330人を維持する方針。同日の意見を反映し、遅くとも年度内に中間とりまとめが公表される見通しだ。
 同日の会合で示された中間とりまとめ案では、医師の需給推計を踏まえて、「令和11年(2029年)頃に需給が均衡し、その後も医師数は増加を続ける一方で、人口減少に伴い将来的には医師需要が減少局面になるため、医師の増加のペースについては見直しが必要」と明記した。
 ただし、医師の地域偏在・診療科偏在は依然として存在するため、医師偏在への対策は引き続き重要としている。
 当面、2023年度の医学部定員については、歯学部振替枠以外は4年度と同じ規模とした。歯学部入学定員の削減をした大学に「歯学部振替枠」として認められてきた44名の医学部の臨時定員は、5年度には廃止する。その44名分は、地域の医師確保・診療科偏在対策に有用な範囲に限って、地域枠臨時定員として活用できる。
 医師需給分科会はこれで終了し、6年度以降の医学部定員は、第8次医療計画等に関する検討会の議論を踏まえて検討していくこととなった。
 中間とりまとめ案では、臨時定員としてではなく恒久定員内で地域枠を設定することが望ましいとの考え方も明記した。

働き方改革踏まえた需給推計を
 この中間とりまとめ案の医師需給推計のあり方や偏在対策に関して、多数の意見が出された。
 医師需給推計に関しては、当初よりも厳しい具体が見えてきた医師の働き方改革による医療現場への影響や女性医師数の増加傾向などの因子をこれまで以上に考慮すべきなどという意見が多数出され、需給推計の見直しを要望する声が多くあがった。
 偏在対策については、「病院で働く医師が不足しているが、診療所は増えていて、開業医が減っているという話は聞かない。医師が働く場所の偏在対策を検討することを、中間とりまとめに盛り込むべき」などの意見が出された。
 全日病副会長の神野正博委員は、「強力な偏在対策なくして医学部定員の削減は難しい」と指摘。医師の偏在対策として、総合的な診療能力を有する医師の育成を推進するよう厚労省に要望した。
 これらの意見を中間とりまとめにどう反映させるかは、森田朗座長に一任された。

 

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