全日病ニュース

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公益社団法人への移行が認定。事務所移転を承認


公益社団法人への移行が認定。事務所移転を承認

【第100回定期代議員会・第89回定期総会】
“最後”の代議員会を開催。2013年度事業計画案・予算案を可決

 全日本病院協会の第100回定期代議員会・第89回定期総会が3月23日に東京のホテルグランドパレスで開催され、2013年度の事業計画・予算各案を全会一致で可決したほか、本会の事務所移転を承認した。 代議員会で西澤寛俊会長は、本会の公益社団法人への移行が認定され、3月19日付で内閣総理大臣より認定書が交付された旨を報告した。
2013年度事業計画(概要)

 

 第100回定期代議員会には来賓として横倉義武日本医師会長と武見敬三参議院議員が出席、挨拶した。
 事業計画は、全日病が13年度に取り組む活動を、公益社団法人の定款に沿って4分野15項に整理している。
 「資格認定事業」が新たな事業項目に位置づけられ、その詳細が明記されたほか、各支部の活動計画に指針を与えるべく、「支部活動の強化」の内容が10点にわたって記述されるなど、全日病の事業内容をまさに網羅するものとなった。
 委員会を主体とする活動では、「調査・研究事業」に「地域に密着した病棟に関する調査の実施」が、「医療・介護にかかわる制度の構築と提言」には「病床機能の定義と今後のあり方に関する検討」が新たに加えられたほか、第7版となる「病院のあり方に関する報告書の検討」が盛り込まれた。
 また、「救急医療」では、新たに「高齢者救急(在宅医療と2次救急)のあり方に関する検討」に着手する。
 そのほか、「災害医療」として、13年度に制度化するAMAT( All Japan Hospital Association Medical Assistance Team)の研修実施と災害発生時の派遣、および医療救護活動を支える「指定病院とのネットワーク化を含めた災害時医療システムの構築」など、東日本大震災の経験を踏まえて検討してきた全日病の構想が、具体的事業として位置づけられた。
 2013年度予算は、公益法人の会計基準にそって、一般会計と生命保険共済、支部、全日本病院学会の各会計を統合した上で、各科目ごとに公益目的事業会計、収益事業等会計そして法人会計とに区分した収支予算書(損益計算ベース)にまとめられた。
 これまでの当期収入合計に当たる経常収益計は5億7,529万円、当期支出合計に当たる経常費用計は5億5,020万円、当期収支差額に当たる当期経常増減額は2,510万円となっている。

 

4月1日より“公益社団法人全日本病院協会”

6月22日に第1回定時総会

 全日本病院協会の公益社団法人への移行申請が認められ、3月19日付で内閣総理大臣名の認定書が交付された。西澤会長が3月23日の代議員会・総会に報告した。
 これにより、4月1日をもって、全日本病院協会は社団法人から公益社団法人へと移転登記される。
 本来なら、今回の代議員会・総会は役員改選にあたるが、昨年6月の第99回定期代議員会・第88回定期総会は、移行時の役員として、公益社団法人として事業を開始する13年4月1日から移行後最初の定時総会が開かれる6月までの第1期役員に現在の役員が就任(重任)するという移行時役員選任案を諮り、承認を得ている。
 これにともなって監事は3名から4名に増え、新たな監事に公認会計士の五十嵐邦彦氏が就任する。任期は4月1日より、15年6月の定時総会までとなる。
 第99回定期代議員会・第88回定期総会は、また、公益社団法人全日本病院協会の定款や定款施行細則等を承認、移行申請の影響を受ける細目の調整を執行部に委ねることを認めている。それらの詳細も認定によって確定した。
 公益社団法人において正会員は社員となり、総会が最高議決機関となる。また、副会長が「5人以内」となるほか、各支部は支部長とともに副支部長を選出する。公益社団法人の第1回定時総会は6月22日に開催が予定され、そこで、新たな役員が選出される。
 したがって、代議員会は今回をもって幕を閉じる。
 代議員会で、西澤会長は「2013年度以降代議員会はなくなり、新たに総会が最高議決機関となる。きしくも第100回が節目となった。大変感慨深い」と、50年を越える代議員会の歴史に想いをはせた。

 

耐震性を確保、より安全な新事務所

第1回定時総会(6月)までに移転

 第100回定期代議員会・第89回定期総会で承認された本会の事務所移転は、一昨年3月11日の東日本大震災が契機となった。
 その日、東京都内JR水道橋駅前の清話会ビルに入居している本会事務所ではいくつかの会合が開かれていたため、かつてない大きな揺れに、出席者はまさに肝を冷やす想いであった。
 その後、ビル側に確かめたところ、旧耐震基準の建物であることに加え、耐震改修を行なう予定がないことが判明。執行部は現行耐震基準を満たしたビルへの移転を決断した。
 移転先は、現在と同じJR水道橋駅から徒歩5分の住友不動産猿楽町ビル7階(東京都千代田区猿楽町2-8-8)。水道橋駅の改札口が現在(西口)と反対の東口となる。
 西澤会長は、代議員会で、「現在の事務所は耐震基準を満たしていないことから安全性を危惧していたが、今後は安心して使用できる。また、土日の使用も問題なく、会議・研修を現在と同じように使用できる」と説明した。
 執行部は6月の定時総会前に移転を終えたいとしている。移転とともに、会議のペーパレス化など、業務環境の向上も実現する方針だ。
 現在の事務所には1980年3月に入居した。33年の風雪を経て、全日病はわが国最大規模の病院団体に成長。公益法人への移行と併せ、新たな本部環境を得るにいたった。

 


西澤会長の挨拶(要旨)


  現在、社会保障と税一体改革が進められている。医療提供体制に関しては、機能分化と連携、地域、高齢者医療、介護との連携などがキーワードになっている。我々は積極的に改革を推進しなければならないと考える。
 現在の日本の医療制度、保険制度は、WHOを初め、あらゆるところのデータで世界一と評価されている。この素晴らしいシステムを壊す改革であってはならないと考える。この、国民皆保険システムの基盤をなす現在の医療提供体制、これを時代にあった、さらによい制度に進化させる改革でなければならないと考える。
 安倍総理の下で色々な改革が示されているが、どうも、経済あるいは財政中心と思われる。このような時こそ、やはり、医療・介護制度を含む社会保障制度が非常に大事であり、このことを主張・提言していくことも我々専門家提供側の役割ではないか。全日本病院協会もその役割を果たしていかなくてはならない。
 これからの提供体制の中で、我々病院は、質の高い医療を提供するという役割を続けていかなければならない。そのためには経営基盤が非常に大切であるが、消費税が非課税のままでは経営基盤が危うくなる恐れがある。できるだけ早く、課税にもっていかなければならない。これに関して、我々病院団体と日本医師会は一丸となって課税を主張している。医療機関の存続、日本の医療提供体制を守るためにも、ぜひ勝ち取っていきたい。
 当協会は3月19日付で内閣総理大臣より公益法人の認定を受けた。4月1日より、公益社団法人全日本病院協会となる。この移行にあたっては会員の皆様に非常なご迷惑をおかけし、また、多大なご協力をもいただいた。あらためて御礼を申し上げる。社団法人としては、この定期代議員会が最後となる。100回目というきりの良い区切りを迎えたことは、感慨の深いものがある。
 当協会も会員が順調に増加をたどっており、現在、2,420病院を超えている。公益法人になってからも、その名に恥じないよう、さらに活動を深めてまいりたい。
 本日の議題には事務所移転の案件がある。現在事務局が入っている建物は老朽に加え、耐震設計がなされていないため、東日本大震災の際には大変危うい思いをした。そうしたことから移転に迫られている。よろしくご承認をたまわりたい。