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ホーム全日病ニュース第798回/2013年4月1日号外科学会と麻酔科学会が両診療科...

外科学会と麻酔科学会が両診療科の必修化を要望

外科学会と麻酔科学会が両診療科の必修化を要望

【医師臨床研修部会】
医局の立場から早期の専門科研修開始を求める意見相次ぐ

 

 医道審議会医師分科会の医師臨床研修部会は3月22日の会合で、日本外科学会、日本麻酔科学会、全国医学部長病院長会議に対するヒアリングを行なった。この日は、医師臨床研修制度の見直し課題として基本理念と到達目標の論点が取り上げられたが、議論は必修科目見直しの是非が中心となった。
 必修科目は、医師臨床研修創設時に内科、外科、救急部門(麻酔科を含む)、小児科、産婦人科、精神科、地域保健・医療の7科であったものが、2010年度の制度見直しの結果、内科、救急部門(麻酔科を除く)、地域医療の3科に絞られ、麻酔科と残りの4科は選択必修科目とされ、現在にいたっている。
 ヒアリングにおいて、外科学会は「臨床医学を体系的に学ぶ上で外科学は欠かせない。3ヵ月から半年ほどの研修が必要」と、また、麻酔科学会は「プライマリケアの基本である全身管理を身につける上で麻酔科は最適な診療科だ。最低3ヵ月は必要」とそれぞれに強調、必修科に加えるよう要望した。
 両学会の要望に対して、この日の議論では、必修科の見直しに慎重な意見が多かった。
 一方、全国医学部長病院長会議は、①臨床研修が義務づけられた結果研究医が減少したこと、②「手間のかかる診療科」の医師が減り、診療科間の偏在を招いたことなど、若い医師にモラルハザードを惹起せしめたことを臨床研修制度の弊害にあげ、制度の抜本的な見直しを求めた。
 また、3団体とも「専門医研修につなげるために、初期研修の早い段階で、必ず自分の科は臨床研修で回るようにすべき」と主張。議論は、プライマリケアの概念と専門医のあり方に及んだ。
 医局の立場から早期に専門科研修に入るべきとする意見に対して、神野委員(社会医療法人財団董仙会理事長・全日病副会長)は、「早いうちから専門を身につけても、地方の病院にいくと、一人当直などの時には小児の発熱や妊婦の風邪なども診ないといけない。複数の病気をもつ高齢者も多い」と述べ、プライマリケアの能力を十分身につける必要を指摘。
 さらに、前回の見直しで導入した「プログラムの弾力化によっても大学に残る人は増えていない」などと論じ、疑問を呈した。
 また、臨床研修制度によって研究者が減ったという認識に、「臨床研修制度が悪いからか、それとも研究者の処遇が悪いからなのか、原因を分けて考察しなければならない」と述べ、複合的要因を検討するよう求めた。