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厚労省 12年度調査にもとづく入院改定項目の中間まとめ案を提示
厚労省
12年度調査にもとづく入院改定項目の中間まとめ案を提示
【入院医療等の調査・評価分科会】
7対1に在宅復帰率。病棟単位の亜急性期は要件強化で評価を充実。療養も参入可
厚労省は、7月31日の中医協・診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」に、2012年度調査の結果を踏まえて検討してきた14年度改定の主要項目(入院)に関する検討の方向性を、中間とりまとめ案として示した。
中間とりまとめ案は、7対1入院基本料の要件見直しと亜急性期病床の要件案の概要をそれぞれ明らかにしている。
7対1については、在宅復帰率の導入を加えるとともに平均在院日数の計算対象変更と看護必要度の大幅見直しなど、要件のハードルを大きく引き上げて算定病院を淘汰していく方向を打ち出している。
そのために、①短期入院の手術・検査および特定除外項目の患者は平均在院日数の計算から外す、②重症度・看護必要度のA項目を大幅に入れ替える、③在宅復帰率を要件に加えるなどを「検討の方向性」にあげた。
事務局(厚労省保険局医療課)は、①として、平均在院日数の対象から短期滞在手術入院基本料の2・3を除くとともに包括対象の拡大を想定していることを示唆。また、②については、項目入れ替えの各種組み合わせによって算定可能病院の割合が大きく変わるとし、改定状況の中でそのバランスを図る必要があるとの認識を示した。
③に関しては、自宅だけでなく、亜急性期病床への転棟・転院も対象に含める方向だ。これらの見直しは10対1も対象となる。
亜急性期に関しては、①人員配置、重症度・看護必要度、2次救急病院、在宅療養支援病院、在宅復帰率、DPCデータの提出等の要件を踏まえ、②病棟単位の届け出とする、③病床種別にかかわらず届出できることにするなど新たな施設基準にした上で、「評価を充実させる」方向を明示した。
この日の議論で、神野委員(社会医療法人財団董仙会理事長・全日病副会長)は、「7対1の大幅な見直しは、おのずと、単位算定を病院とするか病棟とするかというテーマの浮上する」と提起。
平均在院日数についても、「短い疾病を一律にターゲットにするオール・オア・ナッシングという発想」で臨むことに疑問を呈するなど、激変を招きかねない見直しの内容に懸念を示し、慎重かつ丁寧な議論を求めた。
一方で、7対1の要件に第3者評価を加えるよう提案した。
亜急性期に関しては、「要件の具体案がないので全体像がつかめない」としつつも、亜急性期の機能に含まれているとする在宅患者の緊急受け入れについて、「在宅患者急変への対応は軽症急性期の機能であり、急性期に位置づけられるもの」と指摘、亜急性期に位置づける事務局に疑問を呈した。
事務局は、この日の意見を踏まえた修正案を次回8月7日の会合に提示、そこでとりまとめたいとしている。
中間とりまとめ(案)一般病棟入院基本料の見直しについて(「方向性案」から)
○7対1基本料のあり方について
①平均在院日数
7対1を算定する医療機関の機能は「複雑な病態をもつ急性期の患者に高度な医療を提供すること」と考えられる。
これを踏まえ、要件の見直しとして以下が考えられる。
(ア)標準化された、短期間で可能な手術や検査の患者は平均在院日数の計算から外す。
(イ)7対1と10対1の特定患者は前改定の13対1・15対1と同様の扱いとする。
②重症度
・看護必要度
(ア)時間尿測定と血圧測定の項目は削除する、(イ)創傷処置は定義から褥瘡の処置を外す、(ウ)呼吸ケアは定義から痰の吸引を外す、(エ)A項目に、「抗悪性腫瘍剤の内服」「麻薬の内服・貼付」「抗血栓塞栓薬の持続点滴」「計画に基づいた10分間以上の指導」「計画に基づいた10分間以上の意思決定支援」を追加する。
③その他の指標
DPCデータの提出および在宅復帰率を要件とすることが必要。在宅復帰率は、自宅のみならず、亜急性期病床(回復期リハ等を含む)への転棟・転院も含めることが必要。
ADLの低下や関節拘縮等を防ぐため、早期からのリハ等を含めた介入が必要。リハの実施で入院が長期化することがないような規定を設けることを検討する必要がある。
(2)亜急性期入院医療管理料等の見直し
亜急性期病床の役割・機能は、①急性期病床からの患者の受け入れ、②在宅等の患者の緊急時の受け入れ、③在宅への復帰支援の3つの機能が重要。
こうした役割・機能を評価するため、亜急性期病床は、人員配置、重症度・看護必要度、2次救急病院の指定、在宅療養支援病院の届出、在宅復帰率のような要件を設けた上、評価を充実させることが必要。
また、病棟単位の届出とすることや、病床の種別にかかわらず届出を認めていくことが必要。さらに、医療内容に関するデータ(DPCデータ)の提出を求めていくことが必要。
(3)地域に配慮した評価の検討
12年改定で導入した評価は14年改定後も引き続き継続していくことが妥当。当該地域における医療機関に、12年改定での評価とは別に、今後の亜急性期に準じた評価を導入することも必要。対象は一定病床以下とすることが必要。
(4)療養病棟に転換した場合に対する経過措置
各種の経過措置は廃止することが妥当。
(5)診療報酬点数表における簡素化
①栄養管理実施加算と褥瘡患者管理加算の包括化
入院基本料等への包括継続が妥当。
(有床診にかかわる部分は省略)
②入院基本料等加算の簡素化について
算定率が低い加算の一律包括化・廃止は慎重にすべき。
(6)医療機関における褥瘡の発生等
褥瘡の定義を明確化し、有病率や発生率等の基礎データを収集した上で、褥瘡ハイリスク患者ケア加算の見直しを含めた有効な褥瘡対策へつなげていくべき。また、在宅での褥瘡予防・治療対策を一層推進する必要がある。一方、褥瘡対策をすべての患者に実施すべきかどうかは慎重に検討する必要がある。