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ホーム全日病ニュース第806回/2013年8月1日号増加する高齢者救急は2次救急が...

「増加する高齢者救急は2次救急が対応するべき」

「増加する高齢者救急は2次救急が対応するべき」

▲加納常任理事(右から2人目)は2次救急の現状を憂え、必要な対策と診療報酬上の評価を求めた

「増加する高齢者救急は2次救急が対応するべき」

【救急医療体制等のあり方に関する検討会】
加納常任理事 「そのための支援が必要」― 中間とりまとめ案に追記を求める

 

 7月17日の「救急医療体制等のあり方に関する検討会」に事務局(厚労省医政局指導課)が提示した中間取りまとめ案に、2次救急医療機関を充実強化する方針が盛り込まれた。
 中間取りまとめ案は、2次救急医療機関の機能・役割として、(1)高齢者搬送患者への対応、(2)身体合併症を伴う精神患者の受入れ、(3)3次救急医療機関からの患者受入れなどをあげた上で、①3次救急医療機関が2次救急医療機関をバックアップするシステム、②2次救急医療機関の機能や役割を客観的に把握する指標、③2次救急医療機関の地域MC協議会への参画と実施基準の策定・実施への協力、④救急告示医療機関と2次救急医療機関の一元化、のそれぞれ必要性を提起している。
 加納繁照構成員(加納総合病院理事長・全日病常任理事)は、2次救急の最大のテーマは「今後ますます増加をたどる高齢者搬送患者への対応」であり、そうした認識を明確にした上でこそ、2次救急を支える民間病院が直面している低額な診療報酬と公的中心の補助金など、2次救急病院への財政支援の必要がより明らかになるとみている。
 そのため、中間取りまとめ案に対しても、「高齢者救急への対応が2次救急医療機関にとって重要なテーマであるとともに、それに対する支援が必要であること」を、具体的に追記するよう求めた。
 中間まとめは、この日の意見を踏まえた修正を加え、9月の検討会でとりまとめた後、外部に公表される予定だ。

「2次救急医療機関の充実強化について」(中間取りまとめ案から)

・2次救急医療機関は、地域で発生する救急患者への初期診療を行い、必要に応じて入院治療を行うといった機能を果たすものであるため、身体合併症を伴う精神患者(認知症、アルコール依存症等)の受入れや3次救急医療機関からの患者受入れ等を行う観点から、都道府県や2次救急医療機関は地域の高齢化や疾病構造の変化を把握し、より適切な体制の構築を行うべきである。

・増加する高齢者搬送患者については2次救急医療機関が対応すべきであるので、そのための地域でのコンセンサスが必要である。また、3次救急医療機関が2次救急医療機関のバックアップ体制をとるといったシステム作りも同時に必要である。

・2次救急医療機関の機能や地域で果たしている役割を客観的に把握し、質の担保とその向上を図るための指標を作成するべきである。

・2次救急医療機関は、地域の救急医療の担い手として、地域MC協議会に積極的に参画し、実施基準の策定や実施に協力するべきである。

・救急告示医療機関と2次救急医療機関について、これまでも一元化の必要性を指摘されながら未だ両制度が存続している。救急告示医療機関の制度のあり方を含め、両制度の一元化に向けていくべきである。