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ホーム全日病ニュース第806回/2013年8月1日号改定基本方針の検討を開始。...

改定基本方針の検討を開始。一体改革関連の議論を先行

改定基本方針の検討を開始。一体改革関連の議論を先行

【医療保険部会】
医療課長 「高度急性期・急性期に在宅復帰機能を導入する」意向を表明

 

 厚生労働省は7月25日の社会保障審議会医療保険部会に「2014年度診療報酬改定に向けた検討」を求めた。10年度改定、12年度改定も前年7月に社保審で改定基本方針の議論を始めており、例年通りの議論開始といえる。
 議論を求めた保険局の宇都宮医療課長は、改定の方向性として「社会保障・税一体改革大綱」(12年2月17日閣議決定)に書き込まれた「具体的改革内容」を紹介。消費税の増税分が医療等に投入される一方で効率化の実現による医療費等の節減も求められると述べた上で、「政府の消費税率8%への引き上げ判断は9月~10月と見込まれる」と付言した。
 その上で、「医療保険部会には、まず、一体改革関連の議論を先行してお願いしたい。それ以外の通常の改定事項は、秋以降に引き続き議論をお願いしたい」と要請。社会保障制度改革国民会議の報告を控え、かつ、消費税率の引き上げが決まる前として、一体改革課題の検討を先行した上で、状況がはっきりする秋口以降に、本来の改定基本方針議論に入るという段階的な手順を提案した。
 宇都宮課長は、1月から先行している中医協の議論を紹介する中で、看護配置別病床数の構成をイメージ化で対比した図を示して「現状を2025年のイメージにどう変えていくかである」と述べ、7対1病床の削減が重要課題に位置づけられることを示唆した。
 また、高度急性期・急性期の課題に言及した際には、「これまで高度急性期・急性期を過ぎた者は亜急性期・回復期に向かうという流れを考えてきたが、それだけでなく、直接(高度急性期・急性期から)在宅に復帰するということもある。つまり、どういう段階からでも在宅復帰は考える必要があるのではないか」と述べ、高度急性期・急性期に在宅復帰機能を導入していく意向を明らかにした。
 20分に及ぶ医療課長の説明を受けた初回の議論は、主に、医療側の委員が意見を表明。鈴木委員(日医常任理事)は「高齢化の下では、気軽に受診できる地域に密着した医療が大切。そのためには、中小病院と有床診の評価を高めていく必要がある」などと論じた。
 武久委員(日慢協会長)は「医療側として効率化に協力する姿勢も必要だ」とした上で、「急性期病床における慢性期患者」と「莫大に増えた7対1」を非効率の例にあげ、「ソフトランディングするために協力しあう必要がある」という見解を表わした。
 菊池委員(日看協副会長)は、「病床の機能分化によって医療依存度が高い患者が地域に戻ってくるので、これに対応できる専門能力の高い看護師が必要になる」などと主張した。
 一方、高知市長の岡崎委員は「かつて療養病床を減らすために診療報酬を大きく下げたため、高知などでは廃業が続いた。自宅に戻っても山間地などでは車椅子も使えず、在宅療養は難しい。医療難民が出ないよう、こうした面への配慮も含めたバランスを図ってほしい」と訴えた。