全日病ニュース

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保険者協議会を高齢者医療確保法に明記

保険者協議会を高齢者医療確保法に明記

【医療保険部会】
「医療計画策定で意見聴取」とする医療法改正に対応

 

 1月20日の社会保障審議会医療保険部会に、事務局(厚労省保険局総務課)は、各都道府県に設置されている保険者協議会について、(1)「高齢者の医療の確保に関する法律」に明記する、(2)その業務として、①特定健診等と高齢者医療制度に関する保険者や関係者間の連絡調整、②保険者に対する助言と援助、③医療費用等に関する調査・分析等の3点を法的に位置づける、(3)今後同協議会が機能を十分に発揮できるための方策等の検討を進める旨を法令上明記するという方針を提示、了承を得た。
 施行は地域医療ビジョンの策定が始まる2015年度に合わせる方針だ。
 保険者協議会は、2002年に制定された健康増進法で、各医療保険者に健康増進事業の推進が努力義務化されたことを受け、04年6月の厚労省告示「健康診査の実施等に関する指針」にもとづいて各都道府県に設置された。
 同協議会の活動目的には医療費の調査・分析・評価もあるが、もっぱら、特定健診・特定保健指導の各都道府県における集合契約の支援業務を進めてきた。
 事務局が保険者協議会の法的位置づけを提案したのは、1月24日に開会した通常国会に提出される医療法等改正一括法案で、「医療計画策定に際して都道府県は保険者協議会の意見を聴く」旨が明記されることに対応、医療費適正化計画を定めている高齢者医療確保法に正式に位置づけるため。
 厚労省は、医療法改正を踏まえ、「15年の医療保険制度改正までに医療費適正化計画のあり方を見直す」(全国厚生労働関係部局長会議)方針であるが、医療費適正化計画策定における保険者協議会の役割を重視する考えだ。
 保険者協議会の位置づけについては、国保の運営者を都道府県に移管するという大きな枠組みづくりが背景にある。
 医療法に書き込む目的は地域の医療提供体制改革に保険者の声を反映させるというもの。したがって、保険者協議会は、保険料率を決定する立場の保険者として、今後は、医療提供体制に大きく関与していく方向に向かうものとみられる。
 この日の部会は、また、プログラム法にもとづいて「国民健康保険制度の基盤強化に関する国と地方の協議(国保基盤強化協議会)を再開する」という方針を了承した。
 この協議会は、国保の財政問題の解決策を探るとともに、その都道府県移行を模索する場となる。構成メンバーは、厚労省が政務3役、地方は栃木県知事、高知市長、井川町長(秋田県)。同時に、保険局各課長と全国知事会等の実務担当者からなる事務レベルのWGも再開され、この7月には、方向性の中間的なとりまとめを行なうとしている。