全日病ニュース

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データ活用して地域医療構想の検討求める

データ活用して地域医療構想の検討求める

【支部長・副支部長会】
厚労省の伯野室長が講演

 定時総会終了後に支部長・副支部長会(特別講演)が行われ、加納繁照常任理事が熊本地震の対応について報告したほか、厚生労働省医政局地域医療計画課の伯野春彦・医師確保等地域医療対策室長が講演した(加納常任理事の講演内容は次号に掲載予定)。
 伯野室長は、地域医療構想を中心に今後の医療提供体制について講演した。地域医療構想をめぐっては、昨年6月に2025年の必要病床数の推計結果が公表された。135万床の許可病床に対し、必要病床数が115 ~ 119万床と推計されたことから、「20万床を削減しようとしている」と報道された。伯野室長は、「必要病床数はあくまで患者の医療需要に基づいて計算したもの。許可病床数には休眠病床も含まれるので、単純に比較することはできない」と説明した。
 その上で伯野室長は、2025年の必要病床数と病床機能報告を比較することは重要な取り組みであると強調。「各病院がポジションを確認してどんな方向に進むのかを考え、地域ごとに役割分担を進めてほしい」と述べた。また、現状の病床機能報告では急性期が多いことから、回復期を増やしていく必要があると述べた。
 伯野室長は、「地域医療構想は医療計画の一部であり様々なデータを活用しながら、地域の医療を考えてほしい」と呼びかけ、必要病床数以外のデータの活用方法について、事例をあげて説明した。
 例えば、NDBデータを利用して、患者住所地と医療機関所在地を分析することにより、医療圏の自己完結度を医療行為別に知ることができる。また、年齢調整標準化レセプト出現比(SCR)を使って当該医療行為の出現頻度を全国平均と比較することで、医療圏の医療提供体制を相対評価することができる。SCRは、ある診療行為のレセプト数を地域の年齢・人口構成で補正した値。
 地域の医療を考える上で、医療従事者の確保は避けて通れない課題だ。伯野室長は、「医師の地域偏在、診療科偏在があり、偏在対策にしっかり取り組む必要がある」と発言。インセンティブだけでなく、規制的な観点を取り入れるべきという意見があるとし、医療従事者の需給に関する検討会で年内の取りまとめに向けて議論を進めていることを紹介した。

 

全日病ニュース2016年7月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2016年5月1日号)

    http://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2016/160501.pdf

    2016年6月4日 ... 全日病災害対策本部は4月16日、熊本地震の被災医療機関への支援活動におい. て
    物資の不足が予想される .... そして今、地域医療構想策定へと舵. 取りがなされている。
    ... 今日、首都圏・関西圏の大都市では増. 加し、その他の地域では ...

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