全日病ニュース

2016年度改定検証調査のテーマを了承

【厚労省・介護給付費分科会】
医療側委員が「新たな選択肢」への転換意向や特養配置医の実態調査求める

　６月１日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会（田中滋分科会長）は、2015年度介護報酬改定検証調査の2015年度実施分についての最終報告を了承した。
　「介護保険施設等における利用者等の医療ニーズへの対応の在り方」「介護保険サービスにおける認知症高齢者へのサービス提供」など改定の影響が比較的早く出る７テーマについて実施したもの。
　分科会は、引き続いて2016年度に実施する調査として以下の７テーマを了承した。いずれも９月の分科会で調査票の最終案を了承し、10月に実施する日程となる。
（１）通所リハ、訪問リハ等の中重度者等へのリハビリ内容等の実態把握調査
（２）病院・診療所等が行う中重度者の医療ニーズに関する調査
（３）介護老人保健施設における目的を踏まえたサービスの適正な提供体制等に関する調査
（４）介護老人福祉施設における医療的ケアの現状についての調査
（５）居宅介護支援事業所および専門員の業務等の実態に関する調査
（６）認知症高齢者への介護保険サービス提供におけるケアマネジメント等に関する調査
（７）介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査
　（１）と（２）について、厚生労働省老健局の佐原康之老人保健課長は、「この２つは次期ダブル改定で重要な項目となる。2016年度診療報酬改定の検証調査でも取り上げられているが、介護側から提供するデータとなる」と説明した。
　これを受けて、日本医師会常任理事の鈴木邦彦委員は「16年度改定では医療保険の維持期リハを介護保険に移行させる項目が新設された。その影響も把握してほしい」と要望した。
　鈴木委員は、また、（２）の調査で「『新たな選択肢』に転換する意向や現場の意見も調べてはどうか」とも提案。　（４）ついても「医師の配置状況と配置医の業務実態、配置医の報酬なども調べてはどうか」と要望した。
　2016年度の介護従事者処遇状況調査を了承
　６月15日の介護給付費分科会は、2016年度の介護従事者処遇状況等調査の実施内容を了承した。調査項目を一部追加したほかは15年度調査と同じ対象に同様の内容で10月に実施する。
　この日の分科会は、厚労省が提出した「ニッポン一億総活躍プラン」を取り上げて自由討論を行った。この中には、「介護離職ゼロ」を実現するとして、介護人材を確保するための様々な取り組みが盛り込まれている。
　鈴木委員は「介護人材確保に向けた支援策はよいが、産休・育休等を推進する介護事業所は、その分多めの人員を確保しなければならない。介護事業所に対する支援も考えていただきたい」と要望した。
　「競合他産業との賃金差がなくなるよう2017年度からキャリアアップの仕組みを構築し、月平均１万円相当の改善を行う」としている点に関して「2018年度改定を前に期中改定でも行うのか」との質問が出るなど、委員からは「ニッポン一億総活躍プラン」を実現していく施策とその手順に関する質問が相次いだ。
　これに対して、田中分科会長は「いずれにしても、報酬や基準にかかわる部分は本審議会の検討に付される」と説明した。