全日病ニュース

塩崎大臣が出席「薬価制度改革は医療関係者の意見を聴いて詰めていく」

【四病協が賀詞交歓会開く】
山崎日精協会長が医療・介護の抜本改革求める

　四病院団体協議会は2017年の賀詞交歓会（新年の集い）を都内の帝国ホテルで開き、政界109人、厚生労働省等省庁52人を含め、755人が参加した。
　四病協を代表して日本精神科病院協会の山崎學会長が挨拶。米国のトランプ大統領の就任を例にあげて、「今年は激動の年になる」と予測した上で、社会保障について考えを述べた。山崎会長は、医療保険制度と介護保険制度の持続可能性に懸念を表明し、「医療と介護を別々の制度で運営することは無駄が多い。医療保険と介護保険は一本化して、一つの制度で地域を包括的に支えるほうがいい」と述べた。また、介護保険はサービスを手厚くしすぎたとの認識を示し、「少子高齢化が進むときに持つはずがない」と指摘。介護保険は、現物給付と現金給付を分けるべきだと主張した。
　また、山崎会長は高齢化でがんの患者が増えるとして、「オプジーボのような高額な抗がん剤を給付していたら、医療費は必ずパンクする」と懸念を表明。医薬品は、医療保険の外に出して、国が買い上げて現物給付する制度に変えないと負担に耐えられないと述べた。
　続いて、塩崎恭久厚生労働大臣が挨拶し、「昨年は熊本地震をはじめ自然災害が多かった。熊本では、医療関係者が全力投球で復旧に取り組んでくれた。心から感謝したい」と述べた。
　また、昨年末に薬価制度改革の基本方針をまとめたことを報告。オプジーボのような高額薬剤に柔軟に対応できる仕組みとするとともに、具体的な内容は「今年１年、皆さんの意見を聞きながら詰めていく」と述べた。
　塩崎大臣は、「今年は各都道府県で地域医療構想が具体化していく大事な年」であるとし、「地域包括ケアシステムでは医療と介護を一緒に考えていただきたい。病院の役割が極めて重要だ」と述べた。
　日本医師会の横倉義武会長が挨拶し、イギリスのEU 離脱などで国民は経済の先行きに不安を感じていると指摘。「こうしたときこそ、病気になっても安心して医療を受けられる国民皆保険体制を堅持していかなければいけない」と強調した。
　横倉会長は、「来年は診療報酬・介護報酬の同時改定があり、その財源を確保するための予算編成が今年の年末にある。国民が必要な医療と介護を受けられるために、全力を尽くしていかなければならない」と述べるとともに、「国民が望む医療を提供できる体制を、政治においてもしっかりつくっていただきたい」と出席した国会議員に呼びかけた。
　また、日医が取り組んでいるかかりつけ医の技能研修制度を紹介。「国民が相談できる身近な医療の専門家として、かかりつけ医をつくっていく。地域のかかりつけ医をバックアップしてほしい」と病院関係者に呼びかけた。