全日病ニュース

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オプジーボなどの最適使用推進ガイドラインを承認

オプジーボなどの最適使用推進ガイドラインを承認

【中医協総会・薬価専門部会】
PD-L1発現率1%未満では投与理由記載

 中医協・総会(田辺国昭会長)は2月8日、抗がん剤のオプジーボ(小野薬品工業)とキイトルーダ(MSD)の最適使用推進ガイドラインを承認した。
 厚生労働省は同日、保険収載を承認したキイトルーダの収載日(2月15日)にあわせて、ガイドラインを踏まえた留意事項通知を発出している。同日付けで、非小細胞肺がんに対するコンパニオン診断薬「ダコ」も承認した。また、薬価専門部会(西村万里子部会長)は、薬価調査をテーマに議論した。
オプジーボとキイトルーダの留意事項通知示す
 留意事項通知は、ガイドラインを踏まえ、経済性の観点などを含め、保険適用上の留意事項を通知するものだ。
 今回は、オプジーボの一般名であるニボルマブ(遺伝子組換え)の悪性黒色腫と非小細胞肺がんの適用、キイトルーダの一般名であるペムブロリズマブ(遺伝子組換え)の悪性黒色腫の適用のガイドラインの3つを了承した。
 内容は、ガイドラインに従った使用を求めるとともに、レセプトの摘要欄に①医療施設の該当要件②治療する責任者の該当要件の記載を求めた。
 さらに、オプジーボについては、「非扁平上皮がん患者であって、PD-L1発現率が確認できた患者に投与する場合は、PD-L1発現率を確認した検査の年月日および検査結果。PD-L1発現率が1%未満の場合は、投与の理由」を記載する必要がある。キイトルーダについては、PD-L1陽性が要件であるので、「コンパニオン診断薬でPD-L1陽性であることを確認した年月日および検査結果」を記載しなければならない。
 PD-L1は人の免疫反応を制御する働きを持つ受容体と特異的に結合する物質で、がん細胞を攻撃する免疫機能を抑えてしまう。オプジーボやキイトルーダはPD-L1と受容体の結合を阻害する作用を持つ。オプジーボでは、非小細胞肺がんの非扁平上皮がんの臨床試験において、PD-L1発現率が1%未満の場合、対照薬(ドセタキセル)と比べ、効果に変化がなかった。
 これを受け、支払側の委員は、「PDL1発現率が1%未満で使用した理由に、『患者が希望したから』と書いたら、審査支払機関は査定するのか」と質問。
 厚労省は「考え方としては、留意事項通知のとおりで、ガイドラインに明確に反するのであれば、査定の対象になると考えられる。ただし個別の査定については、審査支払機関の判断」と述べた。診療側や患者代表の委員からは、「ドセタキセルが使えない患者もいる」と配慮を求める意見が出た。
 施設要件と医師の責任者要件は、ほぼこれまでに示された通りで、施設についてはがん診療連携拠点病院や特定機能病院など。医師については、がんの化学療法に十分な知識と経験を持つ医師が治療の責任者として配置されていることを求める。なお、オプジーボの施設要件に、「抗悪性腫瘍剤処方管理加算の施設基準に係る届出を行っている施設」が追加された。
 また、同日の中医協総会でキイトルーダの保険収載を承認した。オプジーボを比較薬とした類似薬効比較方式で算定。1日薬価は3万9,099円と同額とし、100mg 4mL 1 瓶で41万541円となった。ピーク時売上高は544億円で患者数は7万3千人としている。
中間年の薬価調査を議論
 8日の薬価専門部会は、薬価制度の抜本改革に向け、診療報酬改定がない年度の薬価調査の方法を議論した。「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」では、「大手企業等を対象」に改定がない年度も全品を対象とした薬価調査を行い、薬価との乖離の大きな品目の改定を行うこととした。このため、薬価調査の正確性や調査手法などを検討し、薬価調査自体の見直しを行う。
 しかし今回、厚労省は、「特定の卸売販売業者のみを調査対象とした場合、調査客体を事前に公表することで、公正な取引に影響を及ぼす可能性があることや、価格を把握できない品目がある」と問題提起した。あわせて、「可能な限り、簡易な調査とするなど負担軽減を図るべき」との考えを示した。
 これに対し診療側は、「以前示された資料では、四大卸の売上高は全体の75%。大手企業等に限れば、負担は軽減される」と指摘した。厚労省は、「全品調査とする必要があり、もれが生じる可能性がある」と答えた。一方で、2018年度に診療報酬改定、2019年度に消費税引上げへの対応があることを踏まえると、初の中間年の調査は2021年度になるので、「議論を急ぐ必要ない」との指摘も出た。

 

全日病ニュース2017年3月1日号 HTML版

 

 

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  • [1] 中医協総会> 次期改定に向け入院医療の議論に着手

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170215/news01.html

    2017年2月15日 ... 最新号から3ヶ月前まではヘッドライン版を、3か月前以前は紙面PDFを無料でご覧頂け
    ます。 ... 効能・効果は、「PDL1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」。 ...
    オプジーボでは、化学療法が未治療の患者の有効性・安全性が確立されていないのに
    対し、キイトルーダは化学療法未治療の患者にも投与できる。

  • [2] 抗PD-1抗体抗悪性腫瘍剤に係る最適使用推進ガイドラインの作成に伴う ...

    http://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2017/170221_6.pdf

    2017年2月14日 ...PD-1抗体抗悪性腫、虜剤「オプジーボ点滴静注J及び「キイトノレーダ点滴静注J
    につい. ては、ニポ、ルマブ(遺伝子組 .... 3)本製剤を非扇平上皮癌患者で、あって、 PD
    -Ll発現率が確認できた患者に投与する. 場合は、 PD-Ll発現率を確認 ...

  • [3] 全日病ニュース・紙面PDF(2017年2月15日号)

    http://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2017/170215.pdf

    2017年3月19日 ... キイトルーダのガイドライン案了承. 厚労省は1月 25日の中医協総会に、. キイトルーダ
    MSD)の最適推進使用. ガイドライン案を示した。効能・効果. は、「PDL1陽性の切除
    不能な進行・. 再発の非小細胞肺がん」。オプジーボ. と同じく、がん ...

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