全日病ニュース

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地域医療連携推進法人制度の内容・運用を示す

地域医療連携推進法人制度の内容・運用を示す

【厚生労働省が通知】
参加法人間の転院は入院期間の「特別の関係」に該当せず

 厚生労働省は、4月2日から施行される地域医療連携推進法人制度の内容や運用を示した医政局長名の通知を2月17日付けで、都道府県知事宛に送付した(地域医療連携推進法人制度について、医政発0217第16号)。
 地域医療連携推進法人は、地域医療構想を達成するための一つの選択肢として、地域の医療機関相互間の機能の分担・連携を推進し、質の高い医療を効率的に提供することをねらいとして、2015年の医療法改正により創設された。
 医療機関の機能の分担及び業務の連携を推進するための方針を定め、当該方針に沿って、参加する法人の医療機関の機能の分担及び業務の連携を推進することを目的とする一般社団法人を、都道府県知事が地域医療連携推進法人として認定する仕組みである。
 通知は、地域医療連携推進法人の社員、医療連携推進業務の内容、および留意事項を示している。
 留意事項によると、地域医療連携推進法人の参加法人同士で、病床過剰地域においても病床融通を実施できることしている。また、地域医療連携推進法人の参加法人において、患者を転院させる場合は、入院期間の計算における「特別の関係」には該当しない取扱いを示している。
 なお、厚労省は17日付で連携法人のモデル定款を示した医政局医療経営支援課長通知(医政支発0217第1号)、事業報告書の様式を示した同課長通知(医政支発0217第3号)も発出した。
 以下、局長通知から、関連部分を抜粋する。
○地域医療連携推進法人の認定
 病院等に係る業務の連携を推進するための方針(以下「医療連携推進方針」という。)を定め、医療連携推進業務を行うことを目的とする一般社団法人は 、当該連携を推進する区域(以下「医療連携推進区域」という。)の属する都道府県知事の認定(以下「医療連携推進認定」という。)を受けることができる。
○地域医療連携推進法人の社員
・病院等を開設する法人
・介護事業その他の地域包括ケアシステムの構築に資する事業(以下「介護事業等」という。)に係る施設又は事業所を開設し、又は管理する法人を参加法人(営利を目的とする法人を除く)とし、加えて、地域において良質かつ適切な医療を効率的に提供するために必要な者を社員とする。
 「病院等を開設する法人」としては、医療法人、社会福祉法人、公益法人、NPO法人、学校法人、国立大学法人、独立行政法人、地方独立行政法人、地方自治体等が該当する。また、株式会社立の病院等を開設する法人についても、機能の分担及び業務の連携の推進を目的とする場合はこれに該当する。
 「介護事業等」としては、介護事業だけでなく、薬局、見守り等の生活支援事業等が該当する。「地域において良質かつ適切な医療を効率的に提供するために必要な者」としては、個人開業医、介護事業等を行う個人、参加法人になることを希望しない法人、大学等の医療従事者の養成機関の開設者、地方自治体、医師会、歯科医師会等が該当する。
○医療連携推進業務
 医療連携推進業務は、医療連携推進方針に沿った連携の推進を図ることを目的として行う業務であり、
・医療従事者の資質の向上を図るための研修
・医薬品、医療機器等の供給
・参加法人への資金の貸付け、債務の保証及び基金の引受け
・医療機関の開設(医療機関相互間の連携の推進に資するものに限る。)等の業務である。
(留意事項)
・上記の各業務事項については、医療連携推進方針に記載する。
・医薬品、医療機器に係る調整を行う場合には、地域医療連携推進法人が一括購入を調整し、個別の購入契約については参加法人(社員)がそれぞれ締結する。
・地域医療連携推進法人の参加法人において、医療機能の分担・業務の連携を図るために、患者を転院等させることも考えられるが、地域医療連携推進法人の参加法人であることをもって、「入院期間の計算」における「特別の関係」に該当することにはならない。地域医療連携推進法人の参加法人であることと関係なく、代表者が同一の場合等には「特別の関係」に該当する。
・医師、看護師等の人事交流は労働法規に則って実施する必要がある。一つのパターンとしては在籍型出向があり、これは、出向元事業主との間に雇用契約関係があるだけではなく、出向元事業主と出向先事業主との間の出向契約により、出向労働者を出向先事業主に雇用させることを約して行われていることから、労働者派遣には該当しない。
・地域医療連携推進法人の参加法人同士又は同一参加法人内で、病床過剰地域においても病床融通を実施できる。
 都道府県は、参加法人から病院の開設の許可の申請、病院の病床数の増加等の申請があった場合において、地域医療構想の達成を推進するために必要なものであり、病床数の合計が増加しておらず、地域医療連携推進法人の地域医療連携推進評議会の意見を聴いて行われる場合には、基準病床数に、都道府県知事が地域医療構想の達成の推進に必要と認める数を加えて、当該申請に対する許可に係る事務を行うことができる。
 なお、都道府県は必要な病床数を認めるに当たって、構想区域における地域医療構想調整会議の協議の方向性に沿ったものであることを確認するとともに、都道府県医療審議会に諮ること。
○医療連携推進方針
 医療連携推進方針には、
・医療連携推進区域
・参加法人が当該区域において開設する病院等(参加病院等)の機能分担及び業務連携に関する事項
・当該事項の目標に関する事項
・運営方針・参加法人に関する事項
を記載しなければならない。

 

全日病ニュース2017年3月1日号 HTML版

 

 

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  • [1] 公益社団法人全日本病院協会長殿 地域医療連携推進法人制度について ...

    http://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2017/170221_1.pdf

    2017年2月17日 ... 第 2 制度内容. 1 地域医療連携推進法人の認定について. ( 1 )都道府県知事の認定
    について(法第 70条関係・医療法施行規則(昭和 23年厚. 生省令第 .... ることが想、定
    されるが、必要に応じて、厚生労働省医政局医療経営支援課に相談.

  • [2] 地域医療連携推進法人の定款例について

    http://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2017/170221_2.pdf

    2017年2月17日 ... 厚生労働省医政局医療経営支援課長 ... 地域医療連携推進法人制度については、本年
    4月 2日から施行することとされたとこ. ろである。 ..... 第−34条 代表理事の選定及び
    解職は、認定都道府県知事|胴医療法第 70条の 19第 n:頁. の認可 ...

  • [3] 新型法人 一般社団法人として認可。参加法人に基準病床制度の特例も ...

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20150201/news15.html

    2015年2月1日 ... 1月30日の「医療法人の事業展開等に関する検討会」に、事務局(厚労省医政局医療
    経営支援課)は新型法人制度の最終案を提示、次回(2月12日)にとりまとめたい ...
    内閣法制局の意見を受け入れ、名称案を「地域連携型医療法人」から「地域医療連携
    推進法人」(仮称)に変えて、医療法に書き込む方針を表明した。 ... 都道府県知事は、
    一般社団法人のうち、一定の基準に適合するものを新型法人として認定する。

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