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費用対効果評価の仕組みの制度化を議論

費用対効果評価の仕組みの制度化を議論

【中医協・費用対効果評価専門部会】
夏に一定の結論まとめる

 中医協の費用対効果評価専門部会(荒井耕部会長)は2月8日、医薬品・医療機器の費用対効果評価の仕組みの制度化について、夏をめどに一定の結論を得ることを了承した。
 費用対効果評価は、高額な医療技術が医療保険財政に与える影響を懸念し、議論が始まったもの。ただ「薬価の抜本改革の基本方針」では、費用対効果の高い医薬品の価格引上げも求めている。 費用対効果評価を医薬品などの価格に反映させる仕組みは、今年度から試行的に実施。抗がん剤のオプジーボやC型肝炎治療薬のハーボニーなど医薬品7種類、医療機器6種類の計13品目を選び、現在、非公開の会議でデータ分析を進めている。2018年度の価格改定に反映させる方針だ。また、高額な医療機器を用いた医療技術の選定作業も進めている。
費用対効果の高い医薬品は引上げ
 昨年12月の4大臣会合で決定した「薬価制度の抜本改革の基本方針」では、「費用対効果の高い薬の薬価を引き上げることを含め、費用対効果評価を本格的に導入する」と明記した。高額な医療技術が医療保険財政に与える影響を懸念し、検討が始まったため、価格引下げの議論が中心だったが、引上げと引下げの両方が検討される。
 費用対効果の「よい」「悪い」は、増分費用対効果比(ICER)の考え方を用いる方向だ。効果は、質調整生存年(QALY)で算出。例えば、1QALY当たり500~ 600万円を基準に「よい」「悪い」を判断するという研究結果がある。ただしICER をそのまま使うのではなく、倫理的、社会的影響を勘案した総合的評価(アプレイザル)を行う。試行的導入では、ICER の値は算出しない。
 今後の検討事項として厚労省は、①対象品目、医療技術の選定②総合的評価のあり方③費用対効果評価の反映方法─を示した。また、新規収載品の費用対効果評価の評価体制やデータ整備、制度化に十分に対応するための組織・体制を課題にあげた。通常の価格算定を行った上で、費用対効果評価に基づく再算定を行うには、一定の時間がかかるが、新規収載品に対しても実施を検討する考えだ。
 対象品目、医療技術の選定に関し、全日病副会長の猪口雄二委員は、「本格的な導入では、選定数はどのくらいになるのか」と質問。厚労省は「現段階での回答は困難」と述べるにとどめた。なお、試行的導入では、財政影響、革新性・有用性が大きい品目として、13品目が選ばれた。ただし薬理作用類似薬、同一機能区分の品目が多い。
 総合的評価については、諸外国の取組みを参考にしつつ、日本でのあり方を検討する。基本的には、倫理的、社会的影響等に関する観点と分析結果の妥当性を科学的に検証する観点がある。
 諸外国では、◇致死的な疾患での延命治療◇関係者からの意見◇疾患の重症度◇社会的不公平◇保険予算全体へのインパクト─などを考慮すべき要素にあげている。
 専門部会が総合的評価を行った上で、価格算定案は薬価算定組織、保険医療材料専門組織が作成する。このため今後の検討でも、専門部会が評価の仕組みの考え方を示した上で、具体的な価格への反映方法は、薬価専門部会、保険医療材料専門部会が議論する。

 

全日病ニュース2017年3月1日号 HTML版

 

 

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