全日病ニュース

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関係業界から薬価制度抜本改革でヒアリング

関係業界から薬価制度抜本改革でヒアリング

【中医協・薬価部会】
外国価格調整の米国価格でPhRMAが提案

 中医協の薬価専門部会(中村洋部会長)は5月17日、薬価制度の抜本改革への意見をきくため、関係業界からヒアリングを行った。外国平均価格調整で米国のリストプライスが突出して高いことに関し、米国研究製薬工業協会(PhRMA)がメディケア・メディケイドの償還価格を提案。ただ委員から「代表性」を疑問視する意見が出た。
 関係団体は日本製薬団体連合会(多田正世会長)、PhRMA( パトリック・ジョンソン在日執行委員会委員長)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)(オーレ・ムルスコウ・ベック会長)、日本医薬品卸売業連合会(鈴木賢会長)。
 昨年12月の4大臣会合で決定した薬価制度の抜本改革の基本方針に沿って、意見を述べた。
 薬価制度改革全体に対し、日薬連は「医療の質の向上に貢献する革新的な新薬の創出を薬価制度が後押し」することを主張。抜本改革に対しては、「安定性、予見性を強く求めたい」と述べた。PhRMAは新薬開発が近年よりリスクの高い、困難なものになってきたことを強調。日本の患者に画期的な新薬を迅速に届けるため、「特許期間中の新薬の薬価を維持する仕組みの継続」を求めた。
 EFPIAは「薬剤費の効率化で生まれる節減額は、新薬の価格レベルを特許期間中に維持することに充当すべき」と主張した。日本卸売連は抜本改革を行うに際し、安定的な医薬品流通の確保や流通改善が前提であるとして、医薬品卸売業界の現状を勘案した「慎重な検討」を要望した。
 製薬3団体は、2010年度改定で試行的に導入した新薬創出・適応外薬解消等促進加算の維持・継続を主張。加算対象となる新薬の範囲を狭めることのない対応を求めた。
 日薬連は「特許期間満了後は後発品への置換えが進むことを前提に、薬価引下げを一時的に猶予し、前倒しで得られる収益を研究開発に再投資することで、革新的新薬の創出を加速させるとともに、未承認薬・適応外薬やドラッグ・ラグの解消を実現させる」との同加算の趣旨をもとにした形での薬価改定方式の「制度化」が必要と強調した。
 中間年の改定については、4団体とも「対象を限定すべき」とした。日本卸売連は「中間年の調査で、特定の卸売業者のみを対象として、それをあらかじめ公表した場合、取引先を調査対象外に変更するなど流通にゆがみが生じかねない」と指摘した。
 外国平均価格調整については、「米、英、独、仏」の価格の平均額を算出し、一定額を上回る場合や下回る場合に価格調整を行っている。しかし米国の薬価のリストプライス(AWP)が他国と比べ、突出して高いため、それに引きずられる形で、薬価が高くなることが問題になっている。今回PhRMAは、AWPではなく、公的医療制度のメディケア・メディケイドの償還価格の算定に用いる「ASPおよびNADAC」を参照することを提案。ただ「その価格に代表性があるのか」と疑問視する意見が薬価部会の委員から出た。