全日病ニュース

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新薬創出等加算の対象範囲や要件見直しが課題に

新薬創出等加算の対象範囲や要件見直しが課題に

【中医協・薬価専門部会】
革新的新薬の創出につながる仕組みを目指す

 中医協の薬価専門部会(中村洋部会長)は6月14日、薬価制度の抜本改革に向け、新薬創出・適応外薬解消等促進加算のあり方を議論した。革新的新薬の創出をより評価する方向で、対象範囲・期間、要件などを見直す。長期収載品の引下げや後発医薬品の使用促進もあわせて議論する必要があることでも一致した。
 新薬創出等加算は、2010年度に試行的に導入された。製薬企業の新薬開発コストを早期に回収するため、後発品が出るまでの間、市場実勢価格に基づく薬価引下げを一時的に緩和する仕組み。加算を受ける企業は、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬の開発要請に対応を求めるなど、「ドラッグラグ」の解消を狙った仕組みでもある。
 新薬創出等加算の財政影響は2016年度で700億円。未承認薬・適応外薬については、小児適用、希少疾病など開発要請のあった297件のうち、238件が承認されるなど、「ドラッグラグ解消に貢献した」と厚生労働省は評価した。
 骨太方針2017は、新薬創出等加算を「セロベースで抜本的に見直す」と明記。費用対効果評価の本格的な導入により、イノベーションを評価し、「革新的新薬創出を促進しつつ、国民負担を軽減する」としている。委員から新薬創出等加算の廃止を求める意見はみられず、現行の新薬創出等加算を基本に対象範囲・期間、要件を見直し、長期収載品のさらなる引下げと後発品の使用促進をあわせた「3点セット」で改革を進める方針で一致した。
 対象範囲については、現行では「平均乖離率を超えない医薬品」を対象としている。しかしこれには、「製薬企業が乖離を生まないよう仕切価を設定するなど、結果的に薬価の高止まりにつながる」との指摘がある。また、必ずしも革新性があるといえない医薬品が対象になっているという指摘もある。
 支払側の委員は、「類似薬効比較方式Ⅱで算定されたものや配合剤は対象外にすべき」と主張した。
 対象期間は「後発品が上市されるまで、または薬価収載後15年以上経過するまでのいずれか短い期間」としている。厚労省は「対象期間を早期に終結させることは、より早く上市させようとする企業のインセンティブを損ねないか」との論点を示し、議論を求めた。
 要件については、厚労省が具体的に、①新薬開発投資率②世界同時開発(国際共同治験)の実施③産学連携への取り組み─の指標を示した。加算の要件が、医薬品の革新的創出の程度に応じて決まる仕組みになっていないことを踏まえた。また、加算額と「適応外薬・未承認薬の開発要請に対応している品目数」との間に相関関係がなく、ドラッグラグ解消に貢献した企業との間に不公平が生じている問題も指摘した。

 

全日病ニュース2017年7月1日号 HTML版

 

 

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  • [1] 新薬創出等促進加算と医薬品の納入価格交渉について

    https://www.ajha.or.jp/topics/4byou/pdf/100930_2.pdf

    2010年9月24日 ... 薬価改定後、 医療現場から、 医薬品の納入交渉の際に、 崔ロより 「新薬創出加算
    創設. されたことに伴い、 医薬品の値引き縮小、 あるいは価格を引き上げる」 と言われ
    ていると. の指摘があり、 中医協において診療側より問題提起した ...

  • [2] 中医協・薬価部会> 関係業界から薬価制度抜本改革でヒアリング

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170601/news04.html

    2017年6月1日 ... 中医協の薬価専門部会(中村洋部会長)は5月17日、薬価制度の抜本改革への意見を
    きくため、関係業界からヒアリングを行った ... 製薬3団体は、2010年度改定で試行的に
    導入した新薬創出・適応外薬解消等促進加算の維持・継続を主張。

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