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厚労省が社会保障費29兆4,972億円を要求

【2018 年度予算概算要求】年末までに増加額を5,000億円まで圧縮

　厚生労働省は８月31日に、2018年度政府予算の概算要求を財務省に提出した。厚労省予算の大部分を占める社会保障費は29兆4,972億円で、6,491億円の増加となった。経済・財政再生計画に沿って年末までに社会保障の増加分を５千億円程度まで圧縮することになるが、他省庁予算分の減少額が200億円あり、これを含めて約1,300億円を減らす必要がある。診療報酬・介護報酬・障害報酬改定が予定される中で、財務省との厳しい交渉が予想される。
　厚労省予算の要求額は31兆4,298億円で対前年度比2.4％増。大部分を占める医療、年金、介護など社会保障費は29兆4,972億円で同2.3％増となっている。また、安倍政権が重視する政策に対して重点配分する優先課題推進枠には2,005億円を要望した。
　７月20日に閣議決定した概算要求基準では、高齢化などに伴う社会保障の自然増を6,300億円の範囲で要求した上で、合理化・効率化に取り組み、2016 ～ 2017年度と同じく、５千億円程度まで抑制する方針を示した。その手段は、経済・財政再生計画の改革工程表に示されているが、2018年度予算に効果が出るものである必要がある。
　厚労省は今回の概算要求の政策的経費を３つの理念で整理した。①働き方改革の着実な実行②質の高い効率的な保健・医療・介護の提供の推進③すべての人が安心して暮らせる社会に向けた環境づくりである。３つの理念に基づく政策を実施することで、「成長と分配の好循環の拡大」を目指す。
　医療・介護に関わる予算は、②が中心となるが、①③にも多くの施策を盛り込んでいる。特に、働き方改革に関わる予算や医療分野の科学技術の振興に関わる予算は、政府方針に沿うものとして、新規・既存ともに予算の増額を求めている。
　働き方改革に関しては、医療従事者等の業種ごとの勤務環境改善（48億円）がある。医師をはじめとする医療従事者の長時間労働是正に向け、都道府県の医療勤務環境改善支援センターの充実・強化を図る。また、産業医・産業保健機能の強化（45億円）では、全国の産業保健総合支援センターにおいて産業医・保健師の訪問指導を拡充する。
　データヘルス改革の推進（92億円）では、健康・医療・介護のビッグデータを連結した「保健医療データプラットフォーム」の構築に向けた作業を進める。医療分野等の研究開発は661億円を計上。日本医療研究開発機構（AMED）を中心に、基礎研究から実用化まで切れ目のない支援を行う。保健医療分野のAI 開発の加速化に3,100万円を要望した。新オレンジプラン（94億円）では、認知症高齢者の見守りネットワークの普及・拡大を図る。
　地域医療確保対策等（1,091億円）は、大部分が地域医療介護総合確保基金だ。
　2017年度と同じく、医療分で904億円、介護分で724億円を要求した（公費）。
　社会保障・税一体改革により、消費税増収分を充てる分の社会保障の充実は、全体で1.34兆円（公費）とした。