全日病ニュース

検体検査の精度管理基準、新設・見直しの議論が始まる

【厚労省・検体検査の精度管理等に関する検討会】

　６月に公布された医療法等一部改正法に基づいて検体検査の精度確保に関する改正事項の施行に向けて、厚生労働省に設置された「検体検査の精度管理等に関する検討会」は10月27日に初会合を開き、座長に国立病院機構の楠岡英雄理事長を選出して議論に着手した。
　検体検査の外部委託に関しては、院内で請負で代行するブランチラボ、および外部の衛生検査所についてそれぞれ省令によって要件が定められている。
　しかし、医療機関が自ら行うものについては、診療報酬（検体検査管理加算）で要件が課せられているものの法的な基準はない。
　ただし、ブランチラボや衛生検査所の場合も品質や精度管理に関する法的な根拠規定に欠ける上、基準そのものも不十分ではないかとの指摘を受けてきた。
　そうした批判を踏まえ、今回の医療法改正では、医療機関が自ら行う検体検査の基準に関する根拠規定を設けるとともに、外部委託のブランチラボや衛生検査所についても、医療法と臨床検査技師法の両面から品質・精度管理の明確かつ網羅的な基準を省令で定める旨が盛り込まれた。
　さらに、ゲノム医療を推進する目的から、遺伝子関連検査に関する精度管理基準の明確化と医療技術の進歩を反映したものへ検体検査分類を見直すとともにそれを省令で定めることが規定されている。
　こうした課題を受けて厚労省は、（1）検体検査分類の見直し、（2）検体検査の精度管理に関する基準の明確化、（3）遺伝子関連検査の品質・精度管理を確保するための法的措置、という３つの検討課題を示した。
　この日は、（1）検体検査分類の見直しについて集中的な議論を行い、微生物学的検査、血清学的検査、血液学的検査、病理学的検査、寄生虫学的検査、生化学的検査の６つからなる現在の１次分類について、①血清学的検査を免疫学的検査に名称変更、②寄生虫学的検査を廃止して代わりに尿・糞便等一般検査を新設、③遺伝子関連検査・染色体検査を新設した計７分類とする厚労省案を概ね支持した。
　検討会は月１回をめどに開催し、次回以降、「医療機関の精度確保」「遺伝子関連検査の基準」「受託業者の精度確保」について検討し、来年３月の取りまとめを目指す。それを受けて厚労省は、社会保障審議会・医療部会への報告とパブコメを経て、2018年冬頃に省令を施行したいとしている。