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入院医療に関する調査の分析結果で中間報告

入院医療に関する調査の分析結果で中間報告

【中医協・入院医療等分科会】看護必要度と診療報酬項目の相関を今後検証

 中医協の入院医療等の調査・評価分科会(武藤正樹分科会長)は9月15日、次期診療報酬改定に向けた入院医療の中間整理をまとめた。2016年度改定の附帯意見に従い、入院医療に関する調査結果を分析し、解釈を加えている。
 実際の改定内容は中医協総会が決めるが、改定の方向性を検討する上で中間報告は重要な役割を果たす。
 急性期について、7対1入院基本料は、近年減少傾向にあり、2017年4月時点で約35.4万床となった。前回改定で導入された病棟群単位の入院基本料の届出は、8施設で調査対象の1.8%という状況。届け出ていない医療機関の理由は、「10対1への変更を予定していない」が96%を占めた。
 一方、7対1、10対1の平均在院日数や「重症度、医療・看護必要度」の状況をみると、一定程度重なっていた。
 10対1では「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合でばらつきが大きいという結果も出ている。
 「重症度、医療・看護必要度」のA項目(モニタリング及び処置等)とC項目(手術等の医学的状況)は、類似の診療報酬項目との相関を分析することになった。分科会の議論では、「重症度、医療・看護必要度」を診療報酬項目(DPCデータのEFファイル)に置き換えて、DPCデータで自動的に患者の重症度を把握することをめぐって議論になったが、「重症度、医療・看護必要度とEFファイルは、データの質が異なり、置き換えられない」との根強い反対があり、「相関の検討」にとどめた。
 全日病副会長の神野正博委員は、「相関をみることで、急性期とは何かをもう一度考えることになる。急性期は状態が日々変化する。重症度、医療・看護必要度の該当と非該当を繰り返すこともあり得る。また、データ提出の拡大で、その活用によって病期をまたぐ医療の質を向上させるためのツールとなり得る」と述べた。
 地域包括ケア病棟入院料は、届出病床数が増加傾向にある。民間が6割だが、「国立、公立、公的・組合」の割合が相対的に高い。7対1、10対1から入棟した患者と、自宅等から入院した患者では、「患者の疾患や医学的な理由、検査の実施状況等」で、一定の差がみられた。両者の評価を分けることの是非が分科会で議論されたが、「そもそも両方の患者を受け入れる機能を持つ病棟として位置づけられている」との意見が付記された。
 療養病棟入院基本料の医療区分については、医療区分が上がるほど◇日常生活に支障をきたす症状を有する◇病状が不安定で、医療や看護の提供頻度が高い─など一定の合理性が確認できた。療養病棟入院基本料2の看護配置は多様で、「1」相当の配置がある病棟も一定数あることがわかった。
 データ提出加算は、提出の入院基本料等の要件化の範囲を拡大する方向でデータを分析した。急性期を想定する現行のデータを他の病棟の機能に応じた内容に変更することが指摘された。

 

全日病ニュース2017年10月1日号 HTML版

 

 

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