全日病ニュース

医療法等改正案を参議院で可決、共産党は反対

【国会審議】12項目の附帯決議を付す

　医師偏在対策などを盛り込んだ医療法および医師法改正案が５月18日の参議院本会議で、賛成219票、反対14票の賛成多数で原案どおり可決し、衆議院に送付された。17日の参院厚生労働委員会では、共産党を除く賛成多数で可決し、附帯決議を付した（写真）。
　医療法等改正法案は、医師偏在の解消に向け、①医師少数区域等で勤務した医師を評価する制度の創設②医師確保計画策定など都道府県の医師確保対策③医師養成過程を通じた医師確保対策─などを内容とするもの。医療機関の開設・増床に関して、都道府県知事の新たな権限も設ける。
　審議では、武田俊彦医政局長が、医師少数区域や医師多数区域を判断するための医師偏在指標は、「地域ごとに医療ニーズ、人口構成、患者の流出入などの要素を踏まえる」と説明したほか、医師少数区域で勤務した医師を評価する制度では、「地域医療支援病院のうち、医師派遣機能を持つ病院を対象とする方向で検討する」と答弁した。
　附帯決議では、12項目を示し、法律を施行する上での対応を求めた。
　具体的には、◇医師少数区域等で勤務した医師への認定制度の創設では、医師を派遣する病院に対する効果的な経済的インセンティブの付与を検討すること◇医師偏在指標を定めるに当たっては、地域住民の年齢構成の推移、患者の流出入の状況、昼夜人口の変化など客観的なデータを用いて検討すること◇医師偏在対策は大学医学部における医師養成段階から実施すべきものであることから、厚生労働省と文部科学省が連携すること─などを求めた。
　また、15日の厚生労働委員会では、は参考人質疑を行った。今村聡・日本医師会副会長、松田晋哉・産業医科大学医学部教授、立谷清秀・相馬市長（全国市長会副会長）、植山直人・全国医師ユニオン代表の４名が招かれた。改正案に明確に反対する意見はなかったが、今回の対応で医師偏在問題が解消するという意見もなかった。