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DPC評価分科会を入院医療等分科会に統合

DPC評価分科会を入院医療等分科会に統合

【中医協総会】データの活用などで一体的に議論

 中医協総会(田辺国昭会長)は5月23日、診療報酬調査専門組織の再編・統合案を了承した。DPC評価分科会を入院医療等の調査・評価分科会に統合するとともに、入院医療等分科会に「DPC制度」と「診療情報・指標等」の2つのワーキンググループ(WG)を設ける。両者に関連する検討事項が増えたため、一体的に議論する必要が出てきたことに対応する。
 両分科会は、中医協の総会あるいは診療報酬基本問題小委員会に対し、診療報酬改定を議論する上で技術的事項に関し専門的な見地から検討し、報告する役割を担ってきた。意思決定機関は総会であり、あくまで意見陳述する役割の位置付けである。しかし両分科会はこれまで診療報酬改定の議論で、改定の方向性を左右する重要な報告を行ってきた。同日の総会でも、分科会がどこまで方向性を示すかで議論があった。
 入院医療等の調査・評価分科会は急性期から回復期、慢性期までの入院医療を取扱う。2018年度診療報酬改定では、新たに導入した「重症度、医療・看護必要度Ⅱ」をめぐり濃密な議論を行った。DPC評価分科会はDPC制度全般を取扱い、2018年度改定ではDPC評価分科会の報告内容がほぼそのまま総会の結論になっている。
 2018年度改定では、「重症度、医療・看護必要度Ⅱ」をDPCデータで測定することやDPCデータ提出を要件化する病棟の拡大、短期滞在手術等基本料とDPC制度の関係、後発医薬品使用の評価など両分科会に関連する事項が多かった。厚生労働省はこれを踏まえ、今後は一体的な議論が必要とし、両者の統合を提案し、了承された。分科会の構成員は、入院医療等分科会の構成員を基本に再編するとした。
 再編した入院医療等分科会には2つのWGを置く。DPCのWGと診療情報・指標等のWGだ。特に、後者は、DPCデータにより入院患者の医療必要度を測定するための検討を行うと想定される。WGでは「特に調査研究に関わる事項の作業を行う」。入院医療等の調査研究に関わる専門家(臨床、研究、社会、経済等)を構成員とし、現在の分科会を中心に専門家を選ぶ考えだ。
 全日病会長の猪口雄二委員は、「WGは専門家だけの議論になるのか。また、救急医療の評価は分科会のテーマになるのか」と質問。迫井正深医療課長は、「WGは極めて技術的・専門的な事項を取扱う。議論はすべて分科会に報告する。救急医療の評価について、予断は持っていないが、まずは総会が何を分科会で議論するかの前さばきをする必要があると思う」と述べた。
 なお、現時点で全日病からは、神野正博副会長が入院医療等分科会、美原盤副会長がDPC評価分科会の構成員となっている。

 2018年度改定結果検証調査案を了承
 同日の総会では、2018年度診療報酬改定結果検証の特別調査案を了承した。特別調査は2018年度改定の結果を検証し、2020年度改定につなげるのが目的で、調査事項は2018年度改定答申の附帯意見に沿ったものになっている。2018年度調査と2019年度調査がある。2018年度調査は今年10~ 12月に実施し来年1月頃に公表。2019年度調査は来年7~9月に実施し10 ~ 11月に順次公表する予定だ。改定項目によって検証できる時期が異なるため、2回に分けて調査する。
 2018年度調査は4項目。①かかりつけ医機能の外来医療に係る実施状況(その1)②在宅医療と訪問看護に係る評価等に関する実施状況③医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進に係る評価等に関する実施状況(その1)④後発医薬品の使用促進策の影響および実施状況調査─となっている。
 猪口委員は、①で「200床以上の病院における紹介状なしの大病院受診時の定額負担の徴収状況や外来機能分化の取組み」が調査事項になっていることについて、「200床以上でも一般病床、療養病床、精神病床で違いがあるので、種別に調査してほしい」と要望した。
 調査の留意点としては、引き続き回答率の向上を目指し、NDBデータの積極的な活用や質問項目の簡素化を進める。全日病を含む関係団体に調査への協力を会員にアナウンスするなどの対応を求める。

 在宅自己注射の運用見直し
 また、「在宅自己注射指導管理料」の対象薬剤の運用基準を修正した。現状で、頻回投与が必要な注射や、発作時に緊急投与が必要な注射は、医師の医学管理の下で、在宅で患者が自己注射することが認められ、「在宅自己注射指導管理料」の対象となっている。対象薬剤の追加は運用基準に基づき行われる。
 一方、最近は運用基準に適合しない薬剤が出てきており、改めて整理が必要になった。新たな分類として、「新たな効能・効果を有する製剤、既存治療で効果が不十分な場合に用いる生物学的製剤等」を設け、現行の運用基準を基本に、「より多角的な視点による検討を求めること」を追加する。
 学会などからの要望は、患者の利便性が中心であることが多いため、診療上の必要性の検討を十分に行うため、追加の要望があるものについて、厳格な規定を設けるなどの対応を行う。後発品は自動的に追加されるが、バイオ後続品については、分子構造などが異なるため、個別に中医協総会で審議する。対象薬剤全体を診療報酬改定のタイミングで再評価するなどの見直しを行う。運用基準の修正は同日から適用された。

 

全日病ニュース2018年6月1日号 HTML版

 

 

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