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妊産婦への気配りで「説明文書の手渡しが大切」が81%

妊産婦への気配りで「説明文書の手渡しが大切」が81%

【厚労省・妊産婦保健医療体制検討会】「気配り不十分の経験ない」は88%

 厚生労働省の「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」(五十嵐隆座長)は4月17日、妊産婦の医療や健康管理等に関する調査結果を報告した。産婦人科以外を受診した妊産婦の回答で、「気配りが不十分と感じた経験はない」は88%で大多数だった。一方で、回答者の81%が妊娠に気を配った診察・薬の内容で、「説明文書を手渡して説明を行うことが大切」と答えている。
 今年3月下旬に、分娩を取り扱う病院250施設と有床診療所250施設の合計500施設において、◇妊娠28週以降◇産後8日以内の入院中の褥婦◇産後2週間・1カ月後に外来受診した褥婦を対象に、1,916件の回答を得た。調査を概観すると以下のような結果が明らかになった。
 ◇63%が「かかりつけ医はいない」と回答した◇妊娠中の産婦人科への受診回数は妊婦健診を除いて、平均3回だった◇妊娠中の産婦人科以外の診療科への受診回数は平均3回だった◇産婦人科以外の受診先は、内科、歯科・歯科口腔外科、耳鼻咽喉科の順だった◇産婦人科の受診に当たり、約60%が妊娠前からのかかりつけ医を受診した。
 そのほか、産婦人科以外の診療科の受診における情報提供の状況を詳しく調べた。産婦人科以外の診療科を受診した回答者の58.0%が、「産婦人科以外の医師から産婦人科の主治医に対する情報提供はなかった」と答えている。情報を文書で伝えられたとの回答は9.8%、口頭で伝えられたとの回答は10.1%となっている。
 回答者の81%が、妊娠に配慮した診察・薬の内容について、「説明文書を手渡して説明を行うことが大切」と答えた。ただ、88%は「気配りが不十分と感じた経験はない」との回答だった。出産後1年以内の産婦人科以外の診療科の受診でも、「気配りが不十分と感じた経験はない」が85%と大多数であり、説明文書による説明を76%が「大切」と考えている。
 2018年度改定で導入され、今年1月から凍結されている「妊婦加算」は、妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療を評価する観点で、新設された。「配慮」が感じられないのに、加算が算定された事例がSNSなどで広がり、批判を受けた。
 今回の調査をみると、妊産婦の多くは配慮が不十分だとは感じていない。また、配慮を文書で示すことが大事であることをうかがわせる結果になった。厚労省はこれらの結果を踏まえ、引き続き議論を進める方針を示した。
 また、妊娠中の保健指導については、約50%が「指導を受けて満足している」と回答している。満足の内容では「出産・産後の準備についての指導」が最も多くなっている。

 

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