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ホーム全日病ニュース(2019年)第939回/2019年5月1日号看護師特定行為研修のモデルチェンジに対応...

看護師特定行為研修のモデルチェンジに対応

看護師特定行為研修のモデルチェンジに対応

【全日病研修セミナー】判断力のある看護師を病院は求める

 全日病は4月10日、看護師特定行為研修セミナー「じっくり語ろう」─指定研修機関以外も知っておくべきモデルチェンジへの対応─を開催した。看護師特定研修委員会委員長の神野正博・全日病副会長は、医師の働き方改革などを背景に、特定行為研修を修了した判断力のある看護師が病院に求められていることを強調。厚生労働省医政局看護課看護サービス推進室の習田由美子室長は、パッケージ研修の修了者を2023年度末までに1万人とする目標を示した。
 神野委員長は、医師の働き方改革や医師偏在対策、地域医療構想という現状の医療を取り巻く状況を取り上げ、医師から看護師へのタスク・シェアリングをはじめ、多職種協働の取組みがこれまで以上に病院に求められていることを強調した。「今後の社会で、どんな看護師を病院は望むか」と問いかけ、「療養上の世話」や「診療の補助」がある中で、「判断すること」の重要性が高まると指摘。判断ができる看護師の能力の「底上げ」が急務であり、その一つとして、今回の看護師特定行為研修を位置付けた。
 さらに、地域包括ケアシステムの中で、生活の場である住まいを中心に、医療、介護、生活支援・介護予防などの各事業者がメディカル・ネイバーフッドを形成し、患者・家族を支える姿を提示した。その上で、そこで活躍できる看護師が求められているとした。
 働き方改革の影響を特に、強調した。2024年度から適用される年間1,860時間の医師の労働時間の特例水準を2036年度までに解消するためには、医師の業務見直しが不可欠とされている。厚労省が示す医師の労働時間短縮の緊急的な取組みでも、タスク・シフティングの推進で、特定行為研修の受講が掲げられていることなどを示した。
 神野委員長はその際に、仕事を委譲するタスク・シフティングより、仕事を分かち合うタスク・シェアリングが病院全体で多職種が協働する上で、大事だと述べ、各病院の取組みを促した。

研修内容の精錬化とパッケージ化
 厚労省医政局看護課看護サービス推進室の習田由美子室長が、指定研修施設ではない病院参加者もいることから、従来からの特定行為研修制度の内容とあわせ、今回のモデルチェンジの概要を説明した。
 特定行為研修制度は、2014年6月に成立した、いわゆる医療介護総合確保法で制度化された。目的は、医師の判断を待たずに、手順書により、内容を標準化し、一定の診療の補助を行う看護師を養成することである。
 特定行為として38行為、特定行為区分として21区分を定めた。看護師が手順書によって行う特定行為は、「実践的な理解力、思考力および判断力ならびに高度かつ専門的な知識および技術が特に必要なもの」。これらを学ぶための研修は、すべての特定行為区分に共通する「共通科目」が315時間、特定行為ごとに異なる「区分別科目」として15~ 72時間が課される。
 研修は、厚生労働大臣が指定する病院や学校など研修機関が実施。複数の病院と協力して研修を実施する協力型もある。一部事務は当該機関の所属する団体や組織の本部等に委託できる。
 習田室長は、「2025年に向け約10万人以上の特定行為看護師の養成を目指している」と述べ、多くの看護師が受講できるよう、身近な場所で研修を受けられる体制整備の必要性を強調した。
 今回のモデルチェンジでは、より多くの研修修了者を養成することなどを狙い、「研修内容の精錬化による研修時間数の短縮」と「3つの領域別パッケージ研修の設定」が行われた。共通科目が315時間から250時間に、21%短縮され、区分別科目も総じて、短縮される。3つのパッケージは「在宅・慢性期領域」、「外科術後病棟管理領域」、「術中麻酔管理領域」がある。
 習田室長は、パッケージ化の効果として、「特定行為ごとに個別に分かれていると、活用しにくい面があったが、一定の領域で同じことができる看護師をそろえることができる」と述べた。
 日本大学病院の木澤晃代・看護部長は、パッケージの想定利用法をシミュレーションした。「在宅・慢性期領域」の活動場所は、訪問看護ステーションや療養施設等で、役割は慢性期・終末期の症状マネジメントとした。「外科術後病棟管理領域」の活動場所は、ICU・SICU・外科病棟等、「術中麻酔管理領域」の活動場所は、手術室や病棟等で、役割は両方とも、周術期患者の症状マネジメントとした。
 S-QUE研究会の兼久隆史・事業本部長は、従来の共通科目と区分別科目の配信も継続するとした上で、モデルチェンジに順次、適切に対応していく準備を進めていることを説明した。
 最後に、質疑応答の時間では、近くモデルチェンジの省令が公布・施行されるのを踏まえ、指定研修機関の移行手続きなどが確認された。

 

全日病ニュース2019年5月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 教育研修 - 全日本病院協会

    https://www.ajha.or.jp/seminar/index2.html

    8, 2019年度 第1回 看護師特定行為研修指導者講習会(福岡会場) 主 催:【全日本
    病院協会】 .... 受講要件:多職種が参加して、業務フロー図を作成 することが目的の
    ため、看護師を含む多 職種の参加が条件となります。医師、事 務職の .... 医師の働き
    方改革

  • [2] 2019年度 事業計画・予算

    https://www.ajha.or.jp/about_us/plan/2019.pdf

    2019年度は医師の働き方改革、医療法・医師法改正に基づく医師偏在対策、消費 ... 者
    、等を対象にした研修の他、総合医育成事業、病院の多職種リーダー研修会、看護師
    特定. 行為研修指導者講習会、介護医療院への転換に資する研修会、外国人材受入に
     ...

  • [3] 【資料】「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170501/news08.html

    2017年5月1日 ... 【資料】「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」報告
    ... 疾病構造の変化/患者の期待の膨張②提供側の変化:働き方改革の趨勢/ ... な
    役割と責任の分担の下、医師を含む医療・介護・福祉の多職種がフラットに連携 ....
    看護師については、特定行為研修制度の養成数を増やすべく受講しやすい ...

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