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ホーム全日病ニュース(2019年)第939回/2019年5月1日号重点分野ごとのAI開発の課題を整理...

重点分野ごとのAI開発の課題を整理

重点分野ごとのAI開発の課題を整理

【保健医療分野AI開発加速コンソーシアム】

 厚生労働省の「保健医療分野AI 開発加速コンソーシアム」(座長=北野宏明・ソニーコンピュータサイエンス研究所所長)は、4月17日に会合を開き、医療安全におけるAIの活用についてヒアリングしたほか、AI開発を進めるための課題の整理に向けて意見を交わした。
 同コンソーシアムは、急速にAI開発を進める諸外国に遅れをとらずに、産学官が一丸となってAI開発に取り組むための課題や対応策を検討するために、昨年7月に設置された。これまで画像診断支援の領域について議論し、今年1月に「迅速に対応すべき事項」を整理。その後、AI開発の取り組みについてヒアリングを重ね、AIの開発・利活用が期待できる分野/領域ごとにAI開発を促進するために必要な施策や企業、アカデミア、行政に期待される役割について議論を進めていて、6月の取りまとめを目指している。
 この日は厚労省が、これまでの議論の概要を重点分野ごとに整理して提出。①がんゲノム②画像診断③診断・治療支援④医薬品開発⑤介護・認知症⑥手術支援⑦AIホスピタルの各分野について論点を示した。
 このうち診断・治療支援では、AIを用いた場合の責任の所在を論点にあげている。診療プロセスの中で効率を上げる支援ツールとしてAIを評価する一方、「医師が最終的な判断の責任を負うことが原則」としているほか、医師に対して診断支援AIの教育が必要になると指摘している。
 介護・認知症の分野では、カメラやセンサーの導入で夜間ケアの負担軽減が期待できるとし、開発を促進するためにAIを活用した機器を入れた場合の人員配置の緩和が必要としている。
 医療安全におけるAIの活用について発表したのは、聖路加国際大学公衆衛生大学院のウォン・スイー准教授。インシデントレポートを収集してビッグデータとして分析することで有害事象を防ぎ、医療安全を促進するための研究を進めている。AIを活用することで、インシデントレポートから根本原因分析につなげることなどが期待できる。

 

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