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ホーム全日病ニュース(2019年)第947回/2019年9月1日号オンライン診療の適切な実施に関する指針...

オンライン診療の適切な実施に関する指針

オンライン診療の適切な実施に関する指針

【資料】2018年3月(令和元年7月一部改訂)

 厚生労働省は7月31日、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の改訂版を公表した。改訂版は「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」での議論を反映させたもの。以下で、「緊急避妊に係る診療」や「情報通信機器を用いた遠隔からの高度な技術を有する医師による手術等」など、改訂した文言について下線を引いて示した。詳しくは、厚労省ホームページを参照。(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00010.html

Ⅰ オンライン診療を取り巻く環境(省略)
Ⅱ 本指針の関連法令等(省略)
Ⅲ 本指針に用いられる用語の定義と本指針の対象(省略)
Ⅳ オンライン診療の実施に当たっての基本理念(省略)
Ⅴ 指針の具体的適用(省略)

1.オンライン診療の提供に関する事項
(1)(省略)
(2)適用対象
考え方(省略)
最低限遵守する事項
ⅰ~ⅳ(省略)
ⅴ 離島・へき地など医師、医療機関が少ない地域において、地域の患者を診療する医療機関の常勤の医師が1人のみであることや非常勤の医師が交代勤務をしていることにより、これらの医師の急病時等に診療を行うことができない時は、代診を立てることが原則であるが、代診を立てられないこと等により当該医療機関の患者の診療継続が困難となる場合において、二次医療圏内における他の医療機関の医師が初診からオンライン診療を行うことは、ⅳに該当し可能であること。ただし、対象となる患者は、診療継続が困難となった医療機関において、既に対面診療を受けたことがある患者であること、当該医療機関は患者からオンライン診療を行うことについて同意を得ること、及びオンライン診療を実施する医療機関とあらかじめ医療情報を共有することが必要である。なお、この場合においては、オンライン診療の後の対面診療は、既に対面診療を受けている医療機関で実施すること。
ⅵ 患者が医師といる場合のオンライン診療(以下「D to P with D」という。)において、情報通信機器を通じて診療を行う医師は、患者といる医師から十分な情報が提供されている場合は、初診であってもオンライン診療を行うことが可能であること。
ⅶ 原則として、オンライン診療を行う全ての医師は、直接の対面診療を経た上でオンライン診療を行うこと。
 ただし、在宅診療において在宅療養支援診療所が連携して地域で対応する仕組みが構築されている場合や複数の診療科の医師がチームで診療を行う場合などにおいて、特定の複数医師が関与することについて診療計画で明示しており、いずれかの医師が直接の対面診療を行っている場合は、全ての医師について直接の対面診療が行われていなくとも、これらの医師が交代でオンライン診療を行うこととして差し支えない。ただし、交代でオンライン診療を行う場合は、診療計画に医師名を記載すること。
 また、オンライン診療を行う予定であった医師の病欠、勤務の変更などにより、診療計画において予定されていない代診医がオンライン診療を行わなければならない場合は、患者の同意を得たうえで、診療録記載を含む十分な引継ぎを行っていれば、実施することとして差し支えない。
 加えて、主に健康な人を対象にした診療であり、対面診療においても一般的に同一医師が行う必要性が低いと認識されている診療を行う場合などにおいても、診療計画での明示など同様の要件の下、特定の複数医師が交代でオンライン診療を行うことが認められる。
ⅷ オンライン診療においては、初診は直接の対面診療を行うこと、直接の対面診療を組み合わせることが原則であるが、以下の診療については、それぞれに記載する例外的な対応が許容され得る。
・禁煙外来については、定期的な健康診断等が行われる等により疾病を見落とすリスクが排除されている場合であって、治療によるリスクが極めて低いものとして、患者側の利益と不利益を十分に勘案した上で、直接の対面診療を組み合わせないオンライン診療を行うことが許容され得る。
・緊急避妊に係る診療については、緊急避妊を要するが対面診療が可能な医療機関等に係る適切な情報を有さない女性に対し、女性の健康に関する相談窓口等(女性健康支援センター、婦人相談所、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを含む。)において、対面診療が可能な医療機関のリスト等を用いて受診可能な医療機関を紹介することとし、その上で直接の対面診療を受診することとする。例外として、地理的要因がある場合、女性の健康に関する相談窓口等に所属する又はこうした相談窓口等と連携している医師が女性の心理的な状態にかんがみて対面診療が困難であると判断した場合においては、産婦人科医又は厚生労働省が指定する研修を受講した医師が、初診からオンライン診療を行うことは許容され得る。ただし、初診からオンライン診療を行う医師は一錠のみの院外処方を行うこととし、受診した女性は薬局において研修を受けた薬剤師による調剤を受け、薬剤師の面前で内服することとする。その際、医師と薬剤師はより確実な避妊法について適切に説明を行うこと。加えて、内服した女性が避妊の成否等を確認できるよう、産婦人科医による直接の対面診療を約三週間後に受診することを確実に担保することにより、初診からオンライン診療を行う医師は確実なフォローアップを行うこととする。注 オンライン診療を行う医師は、対面診療を医療機関で行うことができないか、再度確認すること。また、オンライン診療による緊急避妊薬の処方を希望した女性が性被害を受けた可能性がある場合は、十分に女性の心理面や社会的状況にかんがみながら、警察への相談を促すこと(18歳未満の女性が受けた可能性がある性被害が児童虐待に当たると思われる場合には児童相談所へ通告すること)、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター等を紹介すること等により、適切な支援につなげること。さらに、事前に研修等を通じて、直接の対面診療による検体採取の必要性も含め、適切な対応方法について習得しておくこと。
 なお、厚生労働省は、初診からのオンライン診療による緊急避妊薬の処方に係る実態調査を適宜行う。また、研修を受講した医師及び薬剤師のリストを厚生労働省のホームページに掲載する。
(3)診療計画(省略)
(4)本人確認(省略)
(5)薬剤処方・管理(省略)
(6)診察方法(省略)

2.オンライン診療の提供体制に関する事項
(1)医師の所在(省略)
(2)患者の所在(省略)
(3)患者が看護師等といる場合のオンライン診療
考え方
 患者が看護師等といる場合のオンライン診療(以下「D to P with N」という。)は、患者の同意の下、オンライン診療時に、患者は看護師等が側にいる状態で診療を受け、医師は診療の補助行為を看護師等に指示することで、予測された範囲内における治療行為や予測されていない新たな症状等に対する検査が看護師等を介して可能となるもの。
 D to P with N においても、指針に定められた「最低限遵守するべき事項」等に則った診療を行うこと。
実施可能な診療の補助行為
 医師の指示による診療の補助行為の内容としては、診療計画及び訪問看護指示書に基づき、予測された範囲内において診療の補助行為を行うこと。
 オンライン診療を行った際に、予測されていない新たな症状等が生じた場合において、医師が看護師等に対し、診断の補助となり得る追加的な検査を指示することは可能である。ただし、その検査結果等を踏まえ、新たな疾患の診断や当該疾患の治療等を行う場合は、直接の対面診療を行わなければならない。
提供体制
 D to P with N を行う医師は、原則、訪問診療等を定期的に行っている医師であり、看護師等は同一医療機関の看護師等あるいは訪問看護の指示を受けた看護師等である。
(4)患者が医師といる場合のオンライン診療
考え方
 オンライン診療の形態の一つとして、患者が主治医等の医師といる場合に行うオンライン診療であるD to P withD がある。D to P with D において、情報通信機器を用いて診療を行う遠隔地にいる医師は、事前に直接の対面診療を行わずにオンライン診療を行うことができ、主治医等の医師は、遠隔地にいる医師の専門的な知見・技術を活かした診療が可能となるもの。ただし、患者の側にいる医師は、既に直接の対面診療を行っている主治医等である必要があり、情報通信機器を用いて診療を行う遠隔地にいる医師は、あらかじめ、主治医等の医師より十分な情報提供を受けること。
 診療の責任の主体は、原則として従来から診療している主治医等の医師にあるが、情報通信機器の特性を勘案し、問題が生じた場合の責任分担等についてあらかじめ協議しておくこと。
(4−1)情報通信機器を用いた遠隔からの高度な技術を有する医師による手術等
適用対象
 高度な技術を要するなど遠隔地にいる医師でないと実施が困難な手術等を必要とし、かつ、患者の体力面などから当該医師の下への搬送・移動等が難しい患者を対象に行うこと。
 (※具体的な対象疾患や患者の状態などの詳細な適用対象は、今後は、各学会などが別途ガイドラインなどを作成して実施すること。)
提供体制
 情報通信機器について、手術等を実施するに当たり重大な遅延等が生じない通信環境を整え、事前に通信環境の確認を行うこと。また、仮に一時的に情報通信機器等に不具合があった場合等においても、患者の側にいる主治医等の医師により手術の安全な継続が可能な体制を組むこと。
 (※具体的な対象疾患や患者の状態などの詳細な適用対象は、今後は、各学会などが別途ガイドラインなどを作成して実施すること。)
(4−2)情報通信機器を用いた遠隔からの高度な専門性を有する医師による診察・診断等
適用対象
 希少性の高い疾患等、専門性の観点から近隣の医療機関では診断が困難な疾患であることや遠方からでは受診するまでに長時間を要すること等により、患者の早期診断のニーズを満たすことが難しい患者を対象に行うこと。
提供体制
 患者は主治医等の患者の状態を十分に把握している医師とともに、遠隔地にいる医師の診療を受けること。また、患者の側にいる主治医等の医師と遠隔地にいる医師は、事前に診療情報提供書等を通じて連携をとっていること。
(5)通信環境(情報セキュリティ・プライバシー・利用端末)
考え方
 オンライン診療の実施に当たっては、利用する情報通信機器やクラウドサービスを含むオンライン診療システム
 及び汎用サービス等を適切に選択・使用するために、個人情報及びプライバシーの保護に最大限配慮するとともに、使用するシステムに伴うリスクを踏まえた対策を講じた上で、オンライン診療を実施することが重要である。(省略)
1)医師が行うべき対策
 医師は、オンライン診療に用いるシステムによって講じるべき対策が異なることを理解し、オンライン診療を計画する際には、患者に対してセキュリティリスクを説明し、同意を得なければならない。医師は、システムは適宜アップデートされ、リスクも変わり得ることなど、理解を深めるべきである。
1-1)共通事項(省略)
1-2)医師が汎用サービスを用いる場合に特に留意すべき事項(省略)
1-3)(省略)
2)オンライン診療システム事業者が行うべき対策(省略)
3)患者に実施を求めるべき内容(省略)

3.その他オンライン診療に関連する事項
(1)医師教育/患者教育
 オンライン診療の実施に当たっては、医学的知識のみならず、情報通信機器の使用や情報セキュリティ等に関する知識が必要となる。このため、医師は、オンライン診療に責任を有する者として、厚生労働省が定める研修を受講することにより、オンライン診療を実施するために必須となる知識を習得しなければならない。

※  2020年4月以降、オンライン診療を実施する医師は厚生労働省が指定する研修を受講しなければならない。なお、既にオンライン診療を実施している医師は、2020年10月までに研修を受講するものとする。(省略)

 

全日病ニュース2019年9月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] いわゆる「遠隔診療」

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2018/180410_12.pdf

    2018年3月30日 ... (公印省略). 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の策定について. 情報通信
    機器を用いた診療については、これまで「情報通信機器を用いた診療(い ..... り、診療
    計画において予定されていない代診医がオンライン診療を行わなけれ.

  • [2] 厚生労働省医政局長:H31.4.11

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190416_4.pdf

    2019年4月11日 ... (月I. J紙の様式(CSV形式)は除く). 医政発 0314第 15号. 平成 31年 3月 14日. 各都
    道府県知事殿. 長. ) 局. . 政医 ...... 病院において、健康保険法(大正11年法律第70号
    )により厚生労働大臣の定める評価療養のうち、先進医療を実施して ..... オンライン診療
    を実施しているかどうかロ実施している場合、対象者や疾患について。

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