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ホーム全日病ニュース(2019年)第947回/2019年9月1日号副業・兼業の場合の労働時間管理で検討会が報告書...

副業・兼業の場合の労働時間管理で検討会が報告書

副業・兼業の場合の労働時間管理で検討会が報告書

【厚労省・労働時間管理検討会】通算規定見直しの選択肢示す

 厚生労働省の「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」(守島基博座長)は7月25日、報告書をまとめた。副業・兼業を行う労働者の複数の事業場の労働時間を企業側が日々厳密に管理するのは難しいことから、上限規制や割増賃金の算定にかかる労働時間の通算規定については、一部緩和する案を示した。一方で、労働者の健康管理の強化を図る観点から、通算した労働時間の状況に基づく健康確保措置の実施を企業側に求めることも提案している。
 厚労省は今後、副業・兼業における労働時間規制について、検討会の報告書を踏まえて、労働政策審議会で検討を進める方針だ。今回の報告書の考え方で、今後、医師の働き方改革における勤務医の労務管理も整理されると想定される。
 これまで副業・兼業を行う労働者に対する企業側の労働時間管理については、労働基準法第38条およびその解釈通達によって、他の事業主の下での労働時間を通算することが求められ、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」において、「労働者の自己申告により副業・兼業先での労働時間を把握する」とされていた。
 だが、検討会が実施した企業ヒアリングによると、日々の労働時間管理を労働者の申告により行うのは実務上難しく、また申告の真偽も確認が難しい。裁量労働制やフレックスタイム制などを採用している事業場では、さらに実務が難しくなる。また、副業・兼業を認めている企業であっても、労働時間の通算の問題が生じないような働き方(非雇用や法定労働時間内での副業・兼業)しか認めていない場合が多いことがわかった。
 こうした状況を踏まえ報告書は、副業・兼業を容認する企業の労働時間管理が容易になる方法を選択肢として提示した。
 具体的には、労働時間の上限規制に関して、◇あらかじめ事業主が月単位などの長い期間で副業・兼業が可能な上限時間を設定し、その範囲内で副業・兼業を認める◇通算規定に関して副業・兼業の場合は厳密な遵守を求めず、適切な健康確保措置を講ずることを要件に、事業主ごとに労働時間の上限規制を適用する─ことなどをあげた。
 また、割増賃金の算定についても、「他の事業主の下での労働時間は、週や月単位などの長い期間における所定労働時間のみを通算し、割増賃金の支払いを義務づける方法」や「労働時間の通算はせず、事業主ごとに法定労働時間を超えた場合のみ割増賃金の支払いを義務づける」などの選択肢を示した。
 一方で、副業・兼業を行う労働者の健康確保の観点から、規制を強化する選択肢を提示した。具体的には、◇通算した労働時間の状況に基づき労働安全衛生法上の医師の面接指導等の対象とする◇副業・兼業を行う旨の申告をした労働者に対しては、労働時間の長さにかかわらず、現行の健康確保措置の枠組みに組み込む─などの選択肢を示した。

 

全日病ニュース2019年9月1日号 HTML版

 

 

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    2019年5月1日 ... 医師の働き方改革に関する検討会報告書の概要(3月28日了承)|第939回/2019年
    5月1日号 HTML版。21世紀の ... 時間管理の取扱いについては「副業兼業の場合の
    労働時間管理の在り方に関する検討会」において検討されている。

  • [2] 「医師の働き方改革に関する検討会報告書」について(厚生労働省医政

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2019/190401_17.pdf

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